●生死を分けたのは「津波てんでんこ」
後藤さんの話は、「津波で死んだ人、助かった人、その差は何だったのか」に及びます。今回の講演で最も気になっていた点です。生死を分けたのは、シンプルに「津波てんでんこ」を実践したかどうかでした。「てんでんこ」とは、「てんでんばらばらに」を表し「人にかまわず1人で高台へ逃げろ」という意味。「一族を存続させるためにも、1人だけでもとにかく早く高台へと逃げろ」「自分の命は、自分の責任で守れ」という意味も含みます。さらには「他人を助けられなかったとしても、それを非難しない」という暗黙の約束事にもなっているのです。
他人に構わず、自分だけでも逃げて助かる。そのための気のきいたコツだとか、目からウロコのノウハウなどありません。あの時津波によって亡くなったのは、せっかく避難をしたのに身内を心配して家に戻ったり、貴重品やタンスの現金を取りに帰ってしまったりした人が多かったのです。
さらに驚いたのは、死んだ人の中には“そもそも逃げなかった”人もいたこと。「あの津波で逃げないなんて!?」とわれわれのような部外者が感じるのは、きっと後の状況を知っているからなのでしょう。津波の恐怖を知っている東北沿岸在住の人でさえ、予想ができなかった。それほど想定外の津波だったようです。
後藤さんの話は、「津波で死んだ人、助かった人、その差は何だったのか」に及びます。今回の講演で最も気になっていた点です。生死を分けたのは、シンプルに「津波てんでんこ」を実践したかどうかでした。「てんでんこ」とは、「てんでんばらばらに」を表し「人にかまわず1人で高台へ逃げろ」という意味。「一族を存続させるためにも、1人だけでもとにかく早く高台へと逃げろ」「自分の命は、自分の責任で守れ」という意味も含みます。さらには「他人を助けられなかったとしても、それを非難しない」という暗黙の約束事にもなっているのです。
他人に構わず、自分だけでも逃げて助かる。そのための気のきいたコツだとか、目からウロコのノウハウなどありません。あの時津波によって亡くなったのは、せっかく避難をしたのに身内を心配して家に戻ったり、貴重品やタンスの現金を取りに帰ってしまったりした人が多かったのです。
さらに驚いたのは、死んだ人の中には“そもそも逃げなかった”人もいたこと。「あの津波で逃げないなんて!?」とわれわれのような部外者が感じるのは、きっと後の状況を知っているからなのでしょう。津波の恐怖を知っている東北沿岸在住の人でさえ、予想ができなかった。それほど想定外の津波だったようです。