お城にいく話

偉大な小説の一場面を引用させていただきながら、城を紹介していけたら、と思っております。

上田城

2010-10-07 02:31:26 | 長野県
サマーウォーズのポスター 大河ドラマ「風林火山」のポスター  

八月二日の夜が明けたとき、徳川軍の先鋒は、千曲川を北へわたっていた。
千曲川の北面を一気に進み、上田城へ肉薄しようとしている。
たちこめている霧が、微風にすこしずつ吹きはらわれてゆく。
霧の中で、遠くが近く、法螺貝の音が鳴りひびき、諸部隊の進行をととのえていた。
槍の列が川霧を押しのけるようにして、北岸の、なだらかな斜面を絶え間なくつづいて行く。

徳川軍は、千曲川寄りに、鳥居元忠・大久保平助(のちの彦左衛門)が七百の部隊とともにすすみ、その先に、甲州部隊が進軍していた。


(略)


「真田の命運も、もはや、これまで」
と、だれの目にも、そう映ったのだが……。
異変は、このとき、突如として起こった。
塀が崩れはじめたのだ。
石垣の上の塗塀が、めりめりと軋みはじめ、かたむきかけた。
「ああっ……」
「何じゃ、あれは……?」
一部の徳川の将兵がこれに気づいたときには、すでに遅かった。


池波正太郎「真田太平記」より

交通:JR長野新幹線「上田」・しなの鉄道「上田」駅より徒歩約10分
メモ:戦国のヒーローともいえる真田の郷。駅をおりれば、戦国BASARA(ゲーム)とサマーウォーズ(映画)の大きな垂れ幕がお出迎えです。(個人的には戦国無双派ですが)
一見「アニメオタクのための街」かと思ってもしょうがない感じ。
私は時間がなくて行けませんでしたが池波正太郎真田太平記記念館も近くにあります。

小諸城

2010-09-25 18:47:36 | 長野県
天守台 城内の弓道場
       

家康は、秀忠に自分がもっとも大事にしている謀臣本多正信を顧問官として付属させた。さらに軍事参謀としては、徳川家きっての戦さ上手である榊原康政をつけた。
その上で、出発した。
九月一日、軽井沢
同二日、小諸
小諸は、仙石秀久五万石の城である。秀吉がまだ若いころに取り立てた武士で、まだ一介の騎士であったころは仙石権兵衛と称し、戦場での働きがめざましかった。秀吉が天下をとってから、一時は讃岐の国一つをあたえられたこともあったが、九州征伐で戦術上の過失をおかしたために所領をとりあげられ、高野山に謹慎した。その後、家康のとりなしでふたたび大名になり、減知されてこの小諸城主となっている。自然、家康を無二の人と思うようになっていた。

司馬遼太郎「関ヶ原」より

交通:JR小海線・しなの鉄道「小諸」より徒歩三分

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