重い知的障がいを伴うASDの子どもの将来の姿は、
個人を取り巻くそれまでの支援体制や環境で大きな違いがあることは、明らかです。
知的障がいという視点では表に現れるこだわりや問題行動を軽減していくことはできません。
その子のASD特性を理解し支えていく視点を持つことは不可欠です。
『こだわりや問題行動を無くす』ことに囚われていると個人の尊厳を軽視してしまうことになるからです。
何故あることにこだわりを示すのか。
その行為を繰り返すことでその子どもは安心できる居場所や自己の存在意義を確認しているのかもしれません。
なぜ問題行動を起こすのか。
こうすればこういう反応が返ってくると、行動パターンとしてその行為を習得している可能性もあります。
あるいはその行為でSOSを発信しているのかもしれません。
何らかの感覚過敏により、苦しんでいるのかもしれません。
表に見える状態を暗に止めさせようとしたり、薬物療法に偏ったり、逆に放置のままにしておくことは、
その子の持つせっかくの力を発揮できなくさせてしまいます。
情報の多さがその子の混乱を招いているのだとしたら、情報を整理し環境を整えてあげればいい。
その子にとって必要な情報をその子が理解し行動に起こせるように視覚化してあげればいい。
感情コントロールが出来ない場合は無理に押さえつけようとはせず危険なものを避け落ち着くまで待つ。
成人した個人が一人の時間はほぼ一人で過ごす人となるのか、
一人の時間ではなく複数の人たちと過ごす人となるのか、
支援者の見守りの中で過ごす人となるのかは、
ASDの特性を発揮しているかどうかで、その違いが現れてくるのではないかと思います。
電車でのマナー学習