「多様性バカ」~矛盾と偽善が蔓延する日本への警告~
池田清彦氏の著書だが、面白く一気に読ませて頂いた。
最後の教育に関する章で、自分の感じていた矛盾を改めて認識した。
現在、義務教育の制度のもとにどの子どもにも平等に教育の機会が本当に与えられているのだろうか。
冷静に考えてみれば、これだけ不登校の子どもたちがいる中で、とてもそうとは思えない。
では何故、学校に行けない子どもの数は増える一方で減らないのか。
日本社会では同調圧力が強く働くと言われている。
同調圧力が強く働く日本社会の中で異議を唱えようなものなら、その社会からはじき出されてしまう。
同じようにその同調社会に属さない、平均値から外れてしまうタイプの子どもは学校に居場所を見い出せるはずがない。
「一人一人の個性を大切に」とは言っても、平均値から外れてしまわない範疇での「個性」だ。
出る杭は打たれてしまう。
無駄な杭は引き抜かれてしまう。
多様性の尊重もヘッタクレも無いのである。
ネットの普及によって現在は世界中の様々な情報が入ってくるようになり、グローバル化が進み、SDGsや多様性の価値観が広がる中で、今の子どもたちはもっと自由に羽ばたいても良いものなのに、それができる土壌が、日本には未だ無いように思える。
どの子どもにも学ぶ権利がある。
個々の子どもたちが、自由に羽を伸ばして学びたいこと、興味関心があることを探求できるような土壌があれば、そこから必要な社会性も必然的に習得して行くことになるのだ。
しかしそうなるには、今の息苦しい制度の枠組みを一度ガラガラガシャン!と壊して再構築していくしかないのかなあと、池田氏の著書から思ったのである。