だらずだらじゃず・本音ジャズ

№1 ブッ壊れた刺激的バリトン《サージ・チャロフ(ts)》

何!コレ?リトン・サックスの音??
ブッれた刺激的バリトンが鳴り響く!
これが、脊髄麻痺・癌で界直前の音!!
①《Blue Serge/Serge Chaloff(bs)》(56)
サージ・チャロフ(bs)、ソニー・クラーク(p)、ジョー・ジョーンズ(ds)、
ルロイ・ヴィネガー(b)。 

ジャケットがイイ、バリトン・サックスが粋な女の腰高まである。
ところが、この長い楽器を半分に切り捨て、ルト・サックスのように。
1/3を切り捨てナーのように吹き鳴らす。
アドリブの最中にやたらと、アルトにテナーに取替えるように音色を変える。
 
コールマン・ホーキンス(ts)の如く「~~ボ~~」。
息を殺して「ワ~~ホア~~ホワ~~」。
と、迫ってくれば「リバリ・ブリブリ・・・」。
まるで、ジョニー・グリフィンの如く迫り倒してくる。
バリトンを壊滅・破壊する男、サージ・チャロフ。
流石に、ソプラノ・サックスの音は出せないようだが。
 
随所にビネガー(b)のソロが聴ける、とにかく太い・力強い。
ブ太い弦を手首と2本指で「れでもか」と、渾身の力を込めてはじく。
ベースの弦が唸り、ウッドベース本体も唸り・響く。
「ブォ~~ン・ドォオ~~ン」。

「壊滅的・激的・体感」を画に描いたサージ・チャロフの『ブルーサージ』。
ところが、この1枚を除いたリーダ作はどうもパッとしない。
品位と高級感のジェリー・マリガンのお隣さん的アルバムばかり。

このレコードは56年・33歳での録音。
翌年・若干34歳で脊髄麻痺・で死亡、病魔との闘いによる遺作といえる。
したがって、彼の作品は数枚残るだけ、残念としか言いようが無い。
 

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