前の記事に書きました通り、今回は落語を絡めた話題です
実は、私は音楽も好きですが、落語も大好きで、
お気に入りの落語家は古今亭志ん朝さんです
名人と言われた五代目志ん生さんの実の息子さんで、
十年ほど前、若くして亡くなられてしまいましたが、
この方の綺麗な江戸弁が何より大好きです

で、2年ほど前でしょうか。若い頃から壮年期までの
有名な演目が沢山収録されているDVDを大人買いしました。
ただ、買った当初は、ワクワクしながら観ていましたが、
何度も観ていると、細かい所作まで覚えてしまうので
当初の新鮮さは少なくなり、あまり観なくなったんですね。
ところが、昨年購入したiPadに入れる事ができてから、
ちょっとした休憩時間にも手軽に観られるようになり、
仕事で追い詰められた気分を変えるために観たり、
寝る前の子守歌

がわりに聴いたりしています。
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なんで、今、落語なのかと言いますと、
最近、人数の少ない構成でピアノを弾くことが増えてきて、
音の無い空間が非常に気になっているからなんです。
たとえば、フルートさんやボーカルさんとのデュオは、
自分がソロをとっているときは、ほぼ自分だけの音ですし、
ドラムレスの構成でも、ベースの音が余韻になってるときは
やはり、ほぼ自分だけの音になってしまいます…。
ということは、自分が音を出さないと、
まったく音のない空間になるわけです。
この「音のない空間」が、やたらと恐いんです…。

そして、その怖さに負けて、余計な音を出してしまう。
で、出した瞬間、「あ、弾かなきゃ良かった」と後悔…
音のない空間があるからこそ、
次の音が引き立ってくることは分かってるのに、
とにかく恐くて弾いてしまうんですね。



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当たり前ですが、落語は、たったひとりの演者が、
登場する複数の人物のセリフ、心の声、表情を演じ、
同時に、その場の空気感や、その時々の時代背景をも、
声色、仕草、表情、息づかい、所作、様々な方法で演じます。
早口でまくし立てるところ、訥々と話すところ。
静かに長い間をとるところ、静かに所作だけで演じるところ。
ふっと息を吸う音、手で膝や高座を叩いたり触る音…。
志ん朝さんの語り口を聴いていると、
この人は、なんでここまで客の気持ちを把握できるんだろう?
何百人も居る客ひとりひとりの呼吸のリズムまで
実は、この人は感じ取れるんじゃないか?
いや、もしかしたら、まったく逆で、
客の方が、この人に合わせて息をしてるんじゃないか?
そんな風に思います。
客が「そろそろ笑いたいな」って思った次の瞬間に、
「ほれっ!」って、笑うタイミングを作ってくれる。
「そろそろ笑わせるよ」って伝えてきて、
客が「よっしゃ!笑う準備できた」ってタイミングで
ちゃんと笑わせてくれる。
湿っぽい話で涙が滲んできそうになったところで、
意表を突いて笑わせて、後味のいい涙にしてくれる。
とんでもなく凄い技術とセンスだと思います
その技術やセンスが、生来のものなのか、それとも、
稽古や経験で得られるもののか、その両方なのか、
私にはまったく見当が付きませんが、
もしかしたら、この人の落語を聴くことで、
演奏している瞬間に作る「音のない空間」を
自分自身でも楽しめるようになるんじゃないか…、
そんな風に思いながら、落語の中の空間を楽しんでます


ちなみに、私の好きな演目は「抜け雀」と「芝浜」です

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さて、、、8月のイベントの告知をさせてください

ライブというよりイベント的なもので…。
8/4(土)
JAZZ in SEIJO 2012
東京世田谷区の成城ホールで開催される
ドラマーの猪俣猛さんがプロデュースされたイベントに
SWING BIRD と言うトリオで出演します。
午後2時頃からの20分間程度の予定です。
ビッグバンドからデュオユニットまで、
多彩な8組が出演する中の1つです。
前日や当日夜のプロのステージは有料ですが、
昼のアマチュアの部は入場無料です。
8/18(土)
すみだジャズフェスティバル
2日間のイベントで、まち全体がライブ会場になります。
有名なミュージシャンも数多く出演するようです。
私は、スウィングシャッフルと言うトリオで、
オールドスコット (錦糸町駅前) と言うお店で演奏します。
全6バンドの対バンで、私たちの出番は、
18日の午後3時からの40分間程度の予定です。
炎天下で暑くなった体を休めにおいでいただくとか♪(笑)
なんだかんだと色々ありまして、
無謀にも、両方ともトリオになってしまいました

ジャズのスタンダード曲を中心に演奏しますので、
お暇がありましたら冷やかしに来てくださいませ

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