邪道イングリッシュ

英語の魅力は“気楽”で“柔軟”なところ…

runのコアイメージ

2015年03月25日 | 語彙(単語力)
語彙の問題は、知識の量だけでなく、柔軟に対応できるかの問題でもある。

典型例が【センター試験 2009年(本)第2問A問10】だ。
「あなたって太らないね。どうしてスリムでいられるの」と尋ねられて
“Just lucky, I guess. It ( ) in the family.”と答えているのだが、ここで空欄にはいるのは次のどれか?
1. comes 2. goes 3. runs 4. works

難問かもしれない。しかし、満点防止の奇問ではなく、柔軟に対応すれば解ける。答は3. runsだ。

たしかに、辞書にはrunの項で「遺伝する」という記述がある(ジーニアス4版1676頁,5版1827頁)。しかし、覚えておく必要はなく、コアイメージをつかんでいれば正解にたどりつけるのだ。すなわち;

これまでの学習で、
He runs a restaurant.(彼はレストランを経営している)
Don't leave the water running.(水を流し放しにするな)
The engine is running.(エンジンが回っている)
という用例を見たことがあるだろう。これらに共通するのは何か。それは持続性だ。

改めて考えてみよう。どんなに勢いよく踏み出しても1歩であれば、「step」や「jump」である。継続して足を動かしてはじめて「run」といえるのだ。この「継続」というコアイメージをつかんでいれば本問は解けるのだ。「walkの速いのがrunだ」という固定概念にとらわれず柔軟に対応すれば解けるのだ。

では、どうすれば【コアイメージ】をゲットできるか。それには、日常の学習において常に抽象化を試みる学習態度が欠かせない。同じ単語であれば、異なる意味であっても、全て覚えようとせず、「何か共通点があるのかな」と想像をめぐらすことがポイントだ。これを抽象化という。

コアイメージは出題者に示す必要がないので、各自が勝手に作り、命名することが許されるのだ。

応用力って何?

2014年07月19日 | 入試の舞台裏
入試では、応用力が必要であるといわれます。この応用力はどうすれば身に付くのでしょうか?

思うに、応用力とは、未知の問題であっても蓄えた知識を活用して自分の頭で考えることと理解してよいでしょう。ポイントは、俯瞰(ふかん)、つまり高い位置から眺めること。

例として次の問題を解いてみましょう。
You live near us, don't you? Would you like to ( ) our taxi?
(1) enter (2) leave (3) ride (4) share
センター試験1993年(平成5年度)第2問 A 問15


この点、rideはhorseやbikeなどまたがる乗り物だけに使うという説明があります。しかし絶対的ではなく、ride a busやride a taxiも許容される表現です。ですから、真っ先にrideを切り捨てることはできません。

改めて問題全体を高いところから眺めてみましょう。第2文だけでも問題が成り立つのに、あえて第1文が先んじていることに注目。全体で「近所でしょ。いっしょに帰ろう」と誘っていることがわかりますね。すると、タクシーに乗るという行為ではなく、「いっしょ」する、つまり一つのタクシーを共同で利用するということに重点があることに気づくでしょう。

選択肢の中で、「いっしょ」「共同で利用する」のイメージを持つ単語を探すと、shareだとわかるでしょう。

なお、shareは、彼らの好きな単語です。FaceBookで写真をシェアするといいいますね。『ネクステージ』p216-609にも載っていますので確認しておきましょう。


入試では悪文が使われる~大人のウソ(2)

2008年07月05日 | 入試の舞台裏
言語が情報伝達のツールである以上、一読了解、つまり即座に内容が理解できるのが理想的な文章だ。

難しいことを難しく書くことは簡単だ。学術書のように、読者の読解のレベルが筆者と一致していればそれも許される。しかし、新聞・雑誌では、読者は素人だ。その素人にも理解できるように、できるだけ専門用語を排して、易しく書かかなければならない。それは難しい。

入試では、一読了解の文章が用いられることはない。一読了解だと、受験生全員がたやすく正解をゲットでき、入試の目的である“差”をつけることができないからだ。また、大学に入って読まされる文献は、悪文ばかりである。それらに対して、入試(準備も含めて)の段階で“免疫”を作る必要もある。

下記書籍に選別の基準をほのめかしてあった。まとめるとこうなる。
(1)何が書いてあるか、再読、三読してはじめて理解できる。
(2)言葉も分かりにくい専門的、古語が含まれている。
(3)受験生に読まれていない(人気がない)。

だから、内容を理解できなくても「自分は頭が悪い」と卑下する必要はない。

この基準に照らすと、私が寄稿する文章は完全に失格である。(3)を除き……(^^;

『狼少年のパラドクス-ウチダ式教育再生論-』内田樹(朝日新聞社)

三単現のs

2008年05月06日 | ガリュー文法
一つの動詞につき過去形は一つ。でも、現在形は、三人称の単数の場合にsが付く。いわゆる“三単現のs”だ。やっかいな規則だ。私なりに解明してみよう。

例えば、Tom play the guitar well.だと、「トムはギターを上手に弾く」という事実の描写なのか「トムよギターを上手に弾け」という命令なのか判別しにくい。

そこで、それを区別するために、事実の描写には;Tom plays the guitar well.とsが付くわけだ。

ところで、この語形変化、単数と正反対の複数を示す場合のsと同じであることもやっかい。これも解明しておこう。

英語はいい加減な言語である。何でもかんでもそのまま外来語として取り組むことでも分かる。だから適切な語尾を考えるのが面倒だったのだろう。「何かシッポに付けておけ」とばかりにsを付けたものと想像される。

やっかいな三単現のsだが、大学入試にも頻繁に出題されるので、しっかりマスターしよう。

単語帳のからくり~大人のウソ(1)

2008年03月23日 | 入試の舞台裏
大人はずるい。大した価値がないものを“過大評価”“過剰包装”して、暗記を強いる。ウソを真に受けると大変な遠回りをすることになる。

その典型が、単語だ。入試問題に使われた単語を集計して、「さあ、覚えろ」という教材が多い。しかし、覚える必要はない。

私は、物書きでもある。文章を書いていて葛藤がある。それは、別の表現を次から次へと換えたいという欲求だ。ライターは、同じ語句、類似の表現を続けるのを嫌がる。「語彙力が乏しいヤツ」と卑下されるのではないかと、常に怯えているのだ。同じ単語を使えないというのが作家の“職業病”なのだ。仲間のライターにもきいてみたが、同様の葛藤があるらしい。中には辞書を引き引き、意地でも同じ単語を使わない重症患者もいるくらいだ。

例えば、『信仰のかたち』(森本哲郎)の冒頭。「人間は母胎内で進化の過程をたどり、生まれてからは人類の歴史をたどる」という趣旨で子どもの遊びと原始人の文化を比較している。内容はともかく、悪文である。「たどる」の意味で、“反復”“復習”“再現”“復元”……と単語がコロコロ変化していく。

「コンピューターで弾き出した出題率」なんて噴飯ものだ。重要な単語であるかどうかと頻度は無関係なのだ。

くり返す。単語の暗記は不要だ。かえって思考を膠着(こうちゃく)させて、英語の学習に必要な柔軟性を阻害する。ジタバタせずとも、単語力は、自然に身に付く。

ある化学の教師が言っていた、「覚えようとすると、頭が固くなる」と。

邪道イングリッシュ~英語はなめてかかれ~

2008年03月09日 | 入試の舞台裏
邪道イングリッシュ~英語はなめてかかれ~

私は、学者でもなければ、学校の教師でもない。
君たちを救いに来た“メシア”だ!

英語は君たちが思うほど難しくない。

もう安心し給え。


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