センチメンタル

昨日草野球のスコアを書きに行った。
当然、新くんもいるわけで。
１年ぶり？でも変わってない。

「太郎、アメリカ行ったって知ってる？」
だいぶ前に留学するってメールは来た。
「１年留学するんだって。」
そっか。

「あいつ、全然変わってなかったよ」
そうだろうね。そういう人だった。
すごくすごく、自分を持ってる人だった。

高校のとき、ずっとずっと好きだった。

初めて告白した人だった。
にのみぃと、
久しぶりに名前聞いたねって。
そう言って笑った。こんな日が来るなんてね。

にのみぃと卓さんは「NANA」の京助淳子みたい。
絶対結婚式行くんだ。いつになるかわからなくても。
絶対いっぱい遊びに行くんだ。
未来の子供とも遊ぶんだ。

今日はOBさんがたくさん来てましたよ。
まりこに聞いた。
たくさん？とみさんと竹井さんとたましか聞いてない。
誰が来てたのか聞いたら、
ほんとにたくさん来てた。そのなかに、めずらしく。

ああ、来てたんだ。

あんなに好きだったのに。
今は別に会いたいとも思わない。
なんとなく会いたくない。

大学時代、ずっとずっと好きだった。

今は弘樹よりもけーすけくんに会いたい。
でも来たって聞いたときは、少し心が震えた。

夏は心が敏感だ。

最近は夏っぽいね。
夕立、かみなり、入道雲、まっかな夕焼け。
蝉しぐれ、虫の音、海の音。
アスファルトが冷える匂い、火薬の匂い。
陽炎、甲子園。
アイスコーヒー、カルピス、スイカ。
花火、お祭り、浴衣、下駄の音。

楽しいね。楽しいなあ。
だけど、せつないね。せつないなあ。

想い出になっていた。

あんなにつらくて、あんなにたくさん泣いた。
すごくすごく好きだった。
一緒にいたいと思ってた。

なのに、今じゃ思い出せない。

顔も声も姿も。
うっすらしか覚えてないよ。
なんで好きだったのかも。
思い出せない。
そんなものなのかな。

好きだった人が思い出になるというのは。

そうしていくしかないことも、
そうじゃないと哀しいだけだってことも、
次にいくには、それが必要なんだってことも、
ちゃんとわかってるのだけど。

それでもうちは覚えたままでいたかったなあ。

そんな想いが胸をよぎって、
あの人もそうなっていくのかなと思って、
今度こそは、覚えたままでいたいと

夏の空を見上げて、思った。