J’sてんてんてまり

はじまりは黎明期。今は、記憶と記録。

東海地震と想定東海地震

2009年09月12日 | 減災への道
昼間は何とか保っていた天気だったが、日が暮れると急に、堰を切ったような雷雨。
1か月前を、思い出した。
朝方の激しい雨と雷。そして、地震。

余震の少ない地震だったのにもかかわらず、県内でも被害の大きかった中西部では、
その後も、ゆれることに敏感になり、恐怖を感じるという市民の声があった。

本当に、東海地震は予知できるのだろうか。

来る東海地震の情報を発表する地震防災強化対策地域判定会の阿部会長は、
[東海地震は、予知は可能である]といった。
しかし[予知できる]とは一言も言っていません、とも言った。

特別講演でのことだ。




そも、私たちは東海地震というが、専門家にとってはそれは[想定東海地震」と称すのだそうだ。
「東海地震」は、過去の安政、宝永の地震のごとく、今で言う東海地震と東南海地震の連動した地震のこと。
一番最近に起こるはずであった東海地震の際には、南海、東南海地震の発生のみで
静岡県の地震がないままに、過ぎてしまった。
そこで、割れ残った断層のひずみが大きくなっているだろうと想定される地震を、一般に東海地震というようになった。
しかし、専門家は[想定東海地震]と呼称し、分けているらしい。

その想定東海地震が心配されているうちに、月日は流れ、研究が進み、
やはり東南海との連動、最悪は、南海、東南海、東海の連動が懸念されるようになった。

予知できる可能性がある、というのは、プレートの境界が陸地の下にあり、変化の観測がしやすいからだそうだ。
首都直下はM7クラスで、前兆となる変動を捕らえるには規模が小さい。
東南海、南海は、同じM8クラスでも、震源域が海底になり、予兆が捕らえにくい。
想定東海地震の予知の可能性は、観測機器のデータを捕らえやすいからこその賜物。
ただし、それも想定されるメカニズムにしたがって、スロースリップが発生し、
ひずみ計に順次変化が現れ、加速する想定どおりの観測データの変化が、機器のある場所で起こった場合。

限界があるのは、当然といえば当然のこと。
まずは、確実にこの方法ならば、という予知の第一歩。
そのほかのシナリオやデータに関する予知は、また次の段階の話だ。

阪神淡路大震災の後、振り返れば予兆だったのか、と言われる事後予知が収集された。
その数、1500例。満月が赤かった、竜巻雲を見た、ラジオにノイズが入った、カラスが鳴いた、など
後から思えば、そうかも、という情報が寄せられた。
しかし、これらの中から科学的に精査をして残ったのは、3例にとどまった。
3ヶ月前に断層の東端で発生していた群発地震が、深部から浅くなってきたこと。
六甲トンネルに染み出す水量が、3ヶ月前に増加したこと。
ミネラルウォーター[六甲のおいしい水]の塩素イオン濃度が、3ヶ月前に増加したこと。
しかし、この3要素があったからといって、それでM7.3の地震が発生するとは言いがたい。
つまり、残念ながら、確実な予知には結び付けられるデータではないのだ。

事象の因果関係は、難しい。
鳥がいなくなったからといって毎回地震が発生しているのか、鳥がいるときに発生した地震はないのか、
データを積み重ねて、変数を取り除いて、初めて本当に役立つ科学となりうる。

また、突然起こる場合には、緊急地震速報が頼みの綱となる。
これは、不意打ちに対処する方法として新たに科学が生み出した、救いのひとつ。

1分から3分続くという揺れの始まりに、大きな地震が来るという知らせがあるのは、
精神的な踏ん張りを与えてくれる可能性があり、また、被害の軽減にも役立つ。
ただし。
事前にシステムの理解をし、地震についても理解し、その上で、準備をしておけば。

阿部会長は言った。
「正しい知識で地震に備え、怖いからといって地震を無視しない」
そして
「自然に対して謙虚でいなければ」


今月19日土曜日には、静岡県地震防災センターで、
8月11日の地震について各研究者の発表が、おのおの持ち時間15分で行われる。
午後は、南海トラフに挑んでいる地球深部探査船「ちきゅう」の話も。

+日時 9月19日(土) Ⅰ部 10:00~11:50 13:00~13:20
             Ⅱ部 13:30~15:00 
+会場 静岡県地震防災センター(静岡市葵区駒形通5-9-1)
※会場の駐車場には限りがあるので、公共交通機関等で。
 
+「氏名・住所又は勤務先・参加人数・電話番号」を電話、FAX又はEメールで
*なお、定員になり次第、受付は終了。
 
+受講料 無料
 
+定員 180名(先着順)

■土曜セミナー
http://www.e-quakes.pref.shizuoka.jp/center/21seminar/index.html



*防災白書
平成21年度要求額:1,181百万円
(平成20年度予算額:495百万円)

■東海・東南海・南海地震の連動性評価研究(拡充)文部科学省
http://www.mext.go.jp/a_menu/hyouka/kekka/08100105/004/086.htm


*防災白書 図上にマウスを乗せて、伸縮



安政の大地震 1855年11月11日(安政2年10月2日)関東地方南部M6.9 



 
1854年12月23日(安政元年11月4日)に安政東海地震(M8.4) 


*地震研究推進本部

安政地震は、このほか安政東海地震のあくる日12月24日(11月5日)に安政南海地震(M8.4)
安政伊賀地震と安政飛越地震も発生していると、文献に残っているという。








■東南海・南海地震の想定震源域付近で海底の動きを観測します 海上保安庁
http://www1.kaiho.mlit.go.jp/KAN5/press/2006/06/06.html

海洋研究開発機構と東京大学などは、紀伊半島沖の南海トラフ(溝)沿いの浅い海底にある断層が
195万年前から活動していた可能性があることを突き止めた。
地球深部探査船「ちきゅう」で海底から深さ400mまでを掘削して地層の年代を調べた。
周辺は東海・東南海・南海地震の想定震源域が連なっており、
地震の発生メカニズムの解明につながると期待している。
■日米の研究機関、2010年から南海トラフ地殻構造の調査
http://kyoto-seikei.com/09-0825-n2.htm


元判定会会長の溝上恵氏
今後、地震活動が伊豆半島や伊豆諸島方面へと“飛び火”すれば「プレート境界のひずみがうずきかねない」と警戒する

防災科学技術研究所の松村正三研究参事は、「想定域周辺でひずみが解消されると、『東海』のひずみは増す」
東海地震のひずみは既に「限界状態にある」とも話し、
「あとは何が引き金になるか。駿河湾地震でもおかしくはなかったと思う」


名古屋大地震火山・防災研究センターの山岡耕春センター長(教授)は、
「東海地震とメカニズムが異なり、規模は『横綱と幕下』ほどにも違う駿河湾の地震は、長期的にも影響は少ない」
■駿河湾地震“東海”への影響は?「想定域周辺の変動警戒東海地震は今」 静岡新聞
http://www.shizushin.com/news/feature/jishin/news/20090821000000000024.htm


*防災白書 図上にマウスを乗せて伸縮可能。

■地震防災対策強化地域判定会
http://www.gsi.go.jp/cais/HANTEIKAI-index.html

■防災・防犯SOS
http://www.mie-sekiyu.or.jp/sos/toukai/01.html

■南海地震~東南海地震~想定東海地震のモデル化に関する検討
http://www.j-shis.bosai.go.jp/j-map/result/tn_257/html/html/5-2.html

■想定東海地震 中央防災会議
http://www.bousai.go.jp/jishin/tokai/index.html


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