日刊スポーツ一面 クロアチア x アルゼンチン (Sigma 18-50mm F2.8 EX DC)
なんと、日刊スポーツでは一面扱いだ
他国の、しかもただの親善試合なのに・・・。
日本 x ボスニア・ヘルツェゴビナは、色々なところで語られているので、ワールドカップ本大会で日本と第二戦を戦うクロアチアを分析してみた。
親善試合とはいえ、ワールドカップ前の最後の国際Aマッチデーである。
場所はスイスのバーゼル、両国から見れば中立国だが、一応クロアチアのホーム扱いになっている。
なかなか面白い試合だった。
■前半
クロアチアは3-5-2、アルゼンチンは伝統の3-4-3でスタートした。
試合はいきなり動く。
前半3分、クロアチアの指令塔クラニチャールからのフリーキックはキーパーのアボンダンシエリがパンチングで弾くものの、デフェンスとぶつかってこぼれ、それをクロアチアのクラスニッチが押し込んで先制。
普通のチームならここで浮つくところだが、さすが試合巧者のアルゼンチン。
リケルメを中心として、しっかりとパスをつないでクロアチア陣内に攻め込んで行く。
特に凄かったのはメッシだ。最初は右サイドからのサイドアタックを実践していたのだが、パスをはたいて中に切れ込んで行く。更には中央から左サイドまでどんどん出て行った。
前半4分、バイタルエリアでパスを回すクロアチアディフェンス陣を激しいチェイシングでメッシがカットし、そのままドリブル開始。リケルメとのワンツーで抜け出したメッシがシュート、それをテベスが押し込んで、あっさりと同点に追い付く。
う~ん、凄いぜメッシ。今のメッシは誰にも止められないかもしれない。少なくともクロアチアで止めれる選手はいなかった。あと、ワンツーパスを出したリケルメも凄かった。「そこに出すのか?」という感じで、完全にクロアチアディフェンスの裏をかいたパスだった。
これで同点、更にアルゼンチンの攻勢は続く。
ショートパスを正確につないで、時にはリケルメの正確なロングフィード。強いぜアルゼンチン。メッシとテベス、更にはリケルメまでもが頻繁にポジションチェンジを繰り返して、クロアチアディフェンスを翻弄していた。
ボールポゼッションは完全にアルゼンチン、クロアチアはアルゼンチンの正確なパスワークに翻弄され続けて2点目を失う。
前半6分、2点目はまたもメッシ。前線での激しいチェイシングからボールを奪うと、そのまま中に切れ込んでいってシュート。これがキレイに決まって、メッシの代表初ゴールとなった。またまたやってくれた、凄いぜメッシ。オランダ代表ロッベンより凄いのでは?
アルゼンチンペースのままで試合は推移するものの、クロアチアは引いて守り、奪ってカウンターという展開になってきた。クロアチアの戦法は、基点となる2トップ(プルショとクラスニッチ)がボールを落としてサイドへ展開。そこから1対1を仕掛けてクロスを上げる、もしくはサイドでワンツーを駆使してペナルティエリアへ侵入してくる、という感じだ。
前半で特に目を引いたのは、クレスポのブレーキぶりだった。
前線で基点になるものの、オフサイドが多すぎた。ギリギリだと思うのだが、ことごとくオフサイドを取られまくった。審判との相性が悪かったかな。決定的なチャンスは少なくとも2回はあった。キーパーと1対1になったものの、ドリブルが少し流れて失敗したり、チェイシングから奪って一気にカウンターを仕掛けラストパスを送るものの、ラストパスが長くてメッシが追い付けないなど、前半はあと2点ぐらいは取れていた内容だった。
■後半
ところが後半、クロアチアの逆襲が始まる。
アルゼンチンのパスワークに翻弄され続けていた前半とはうって変わって、球際の当たりが激しくなった。
後半7分、ここまで今ひとつ前線で基点になりきれていなかったプルショだが、サイドをドリブルでえぐってセンタリング。これをスルナがヘッドで決めて同点。
このスルナという選手は要注意だ。左サイドの三都主は大丈夫かな?
これで完全に波に乗ったクロアチア。どんどんと前に出てきた。
逆にアルゼンチンはボールの取られ方が悪くなって、クロアチアの効果的なカウンターに晒され出した。そんな中でも、指令塔クラニチャールは、はっきり言ってよくなかったし、消えている時間が長かった。
リケルメが凄かっただけに、余計にクラニチャールの存在が今イチに見えた。
ただ、フリーキックとコーナーキックの精度だけはよかったが・・・。
クラニチャールよりもモドリッチの方が全然よかった。解説の原さんも絶賛だった。A代表初招集初先発らしいが、堂々としたプレーぶりだった。パスも鋭かったし当たりも激しかった。
同点になった後半7分から後半25分すぎぐらいまではクロアチアペースで進んだ。
だが、アルゼンチンもリケルメを中心として、しっかりとマイボールをキープして前線に供給しようと頑張ってた。
後半も30分に差し掛かってくると、一進一退の攻防になってくる。ここが勝負どころだと感じさせた。どちらも引き分け狙いではなく、勝ちに来ているようだ。
この時間帯のプルショは切れていた。前半は今イチだったのに、同点アシストをしてからというもの、1対1でもボールを失わず、アルゼンチンにとって危険な存在であり続けた。
クロアチアディフェンスも、最初に2点を奪われた時は「ん?」と思ったが、やっぱり固い。
特に最終ラインは強いし高いので、アルゼンチンのセンタリングを跳ね返していた。
最終ラインだけではなく、時間を掛けるとフォワード以外の全員が守備に戻ってくるという徹底ぶりだ。
さすがのアルゼンチンも、クロアチアディフェンスが戻ってスペースを埋めると攻撃が停滞気味になった。
このまま同点で試合終了かと思われたその時、レコからのコーナーキックをシミッチが肩なのか背中なのかわからないがとにかくアルゼンチンゴールへ押し込んだ。
これで3-2、クロアチアが勝ってしまった。
■感想
クロアチアは強い・・・。
相手が格上のアルゼンチンだったからなのか、ボスニア・ヘルツェゴビナが日本戦で見せたような細かいパスワークは、クロアチアにはあまり見られず、引いてカウンター戦術だったが、それが効いていた。
前半は、正直あまりクロアチアに見るべき所はなかったが、後半になってリケルメやテベスにも激しく当たってボールを奪っていた。奪ってからのカウンターは速くて正確だ。
アルゼンチンは不運だった。レフリングでアウェー扱いを受けていた感じだ。
三都主はスルナや、サイドに流れた時のプルショを止められるだろうか?
サイドアタックが多かったクロアチアだが、サイドに弱点を抱える日本代表はかなりヤバいのでは?
最後に、日本と2-2で引き分けたボスニア・ヘルツェゴビナ代表キャプテンであるバルバレスの日本戦終了後のコメントを紹介しよう。
「日本はもっとスキルを上げた方がいい。クロアチアは俺達より強いよ。」