はじめてバロンダンスを観た時、豪華絢爛な獅子舞のようだと思いました。
愛嬌のあるギョロ目のお面、藁で作った胴体。この胴体にあたる部分がとても大きくたくさんの生花で飾られています。足は4本。ふたりの男性が入って舞います。
善の象徴とされるバロンに対し、悪の象徴たるランダが登場します。
見開いた大きな目、ダラリと垂れた長い舌。不気味なお面をつけたダンサーが、尖った長い爪を震わせながら踊ります。
夜空に響き渡るガムラン、夜空を突き刺す割れ門と、そこに灯されたオイルランプの幾つもの揺らめく炎、天空の月、そして、甘ったるい線香のかおり。
激しい攻防が繰り広げられます。ランダの魔法にかけられて、自らの裸の胸に剣を突き立てるダンサーたち。バロンとランダの戦い。
鑑賞しているうちに、不思議なことに気が付きました。
「まさか」わたしは思いました。
そしてついに、クライマックスを迎え、終演。
わたしは、会場を去る大勢の観光客を尻目に、解説書を食らいつくように読みました。
思わず「なるほど、そういうことだったのか」と声が漏れました。
バリの人々の信仰様式に、『悪に対しても祈る』ということがあります。
それまでわたしは、「祈りは、生活上の悪感情や、人と人とのいさかいへの一種の 保険のようなものかな」と解釈していたのですが、そんな半端なことではなさそうです。
善と悪の戦いに、結論がない。
結論がないからこそ、どちらにたいしても敬意を持って祈る。
バランスを持って生き抜く。
善は勝つものと思いこんでいた、わたしへの強烈な一撃でした。
摩訶不思議なバリダンスを観てホテルに帰ったわたしに、魔物の最後の訪問がありました。彼らは、何を伝えようとしたのでしょうか?
愛嬌のあるギョロ目のお面、藁で作った胴体。この胴体にあたる部分がとても大きくたくさんの生花で飾られています。足は4本。ふたりの男性が入って舞います。
善の象徴とされるバロンに対し、悪の象徴たるランダが登場します。
見開いた大きな目、ダラリと垂れた長い舌。不気味なお面をつけたダンサーが、尖った長い爪を震わせながら踊ります。
夜空に響き渡るガムラン、夜空を突き刺す割れ門と、そこに灯されたオイルランプの幾つもの揺らめく炎、天空の月、そして、甘ったるい線香のかおり。
激しい攻防が繰り広げられます。ランダの魔法にかけられて、自らの裸の胸に剣を突き立てるダンサーたち。バロンとランダの戦い。
鑑賞しているうちに、不思議なことに気が付きました。
「まさか」わたしは思いました。
そしてついに、クライマックスを迎え、終演。
わたしは、会場を去る大勢の観光客を尻目に、解説書を食らいつくように読みました。
思わず「なるほど、そういうことだったのか」と声が漏れました。
バリの人々の信仰様式に、『悪に対しても祈る』ということがあります。
それまでわたしは、「祈りは、生活上の悪感情や、人と人とのいさかいへの一種の 保険のようなものかな」と解釈していたのですが、そんな半端なことではなさそうです。
善と悪の戦いに、結論がない。
結論がないからこそ、どちらにたいしても敬意を持って祈る。
バランスを持って生き抜く。
善は勝つものと思いこんでいた、わたしへの強烈な一撃でした。
摩訶不思議なバリダンスを観てホテルに帰ったわたしに、魔物の最後の訪問がありました。彼らは、何を伝えようとしたのでしょうか?