チェロ弾きの哲学ノート

徒然に日々想い浮かんだ断片を書きます。

ブックハンター「グーグル検索だけでお金持ちになる方法」

2018-05-05 11:03:07 | 独学

 164. グーグル検索だけでお金持ちになる方法  (午堂登紀雄著 2015年8月)

 本書を読む時の考慮すべき点

 (1) グーグル検索によって、善意の情報だけではなく、悪意の情報が混在しているので、整合性や裏をとって、自分の頭で考え、取捨選択をおこなうことは重要です。

 (2) 一般にお金儲け本で、億の資産を得るまえに、数千万の種銭があったり、授業料として、一千万の損失を経験している等、まったく余裕のない状態からでは、ハードルは高くなります。

 (3) 著者がすでに米国公認会計士の資格があって、グーグル検索で利益を得なくても、そこそこの収入を得る手段を持っている、失敗しても、自分の居場所が確保されていることは大切なことです。

 (4) グーグル検索で、15歳で膵臓癌の検査方法を開発した、ジャック・アンドレイカ君のように、誰でもが、グーグル検索で、医学に貢献できるわけではありません、個人の能力の限界は存在しますが、すさまじい努力をしたことも確かです。

 (5) 著者は2013年に1ドル90円の時、円をドルに両替し、アメリカの不動産を購入し、2015年には、1ドル120円になって、さらに買った不動産が値上がりし、利益を得ましたが、逆もまた真なりで、大きな損失も発生します。

 (6) 誰もがお金持ちになれるわけではありませんが、ノーベル賞も、お金持ちも、グーグル検索と努力と工夫次第で道は開けるのではないでしょうか。

 余計な話をしてしまいました。では、読んでいきましょう。


 『 「15歳の少年が、Google 検索と Wikipedia を駆使し、難病の膵臓ガンを早期発見する画期的な方法を発明した」という話をご存じでしょうか。

 2013年のことですが、かなり話題になったので覚えている人も多いと思います。それは、ざっと次のような内容でした。

  アメリカ・メリーランド州に住むジャック・アンドレイカ君は13歳のとき、親しい人を膵臓ガンで亡くした。

 悲しみに暮れたジャック少年は、それをきっかけに Google 検索と Wikipedia、そしてオープンな学術サイト Public Library Science などで膵臓ガンのことを調べはじめる。 

 そして、膵臓ガンの検査は800ドル(約10万円)もかかるのに、精度が低くて30%以上の見落としがあることを知る。彼は「もっといい方法があるはずだ」と信じ、さらに検索を続けた。

 膵臓ガンを発見するには、血液中のごく少量のタンパク質の発生量の変化を調べなければならないのだが、ジャック少年は、膵臓ガンに特有なタンパク質8000種をリスト化した資料をネット上で見つける。

 彼は「この中のどれかが膵臓ガンを見つけるバイオマーカー(目印)になる」と考え、その一つひとつを検索して調べることにした。

 そんな気の遠くなるような作業を続け、4000種ほどの検証を終えたころ、ようやく目印となるタンパク質を見つけた。

 そこから先は実際の検証実験が必要なため、彼は膵臓ガンを研究する200人の研究者を調べ、検証を依頼するメールを出した。

 そのうちの199人からは断られたが、一人だけ「私のところで手助けできるかもしれない」という返事をくれた研究者がいた。

 その研究者のおかげで、ジョンズ・ホプキンス大学に検証の場を得たジャック少年は、試行錯誤の末、16歳になる直前、ついに安価で精度の高い膵臓ガンの発見法を開発した。

 この方法を使えば、費用3セント(約4円)の一つの小さい検査紙で、わずか5分でテストができるという。従来の方法と比べると、168倍速く、2万6000分の1以下の費用、400倍の精度で検査できることになる。

 この方法は、膵臓ガンだけでなく、ほかのガンやHIVなどの検査にも転用が可能とされている。彼はインテルが設立する Gordon E. Moore Award を受賞し、7万5千ドル(約900万円)を獲得。

 ———という話です。このジャック・アンドレイカ君は後日、世界中の注目を集めるプレゼンイベント「TED(Technology Entertainment Design)カンファレンス」に登壇してプレゼンを行っています。

 (キーワード「ジャック・アンドレイカ」で検索するとその動画はすぐみつかります)。そのプレゼンの中で、彼は次のように語っていたのが印象的でした。

 Through the Internet, anything is possible. (ネットがすべてを可能にします) そして彼は最後にこう締めくくります。

 「僕の場合には、インターネットに対してまったく新しい見方をしたのがすべてでした。ネットはもっと別の使い方ができて、皆さんのふざけた顔の写真をアップロードする以上に、使い方によっては世界を変えていけるかもしれないと、気づきました」

 「もし、膵臓ガンが何かさえも知らなかった15歳の子が、新しい膵臓ガンの検査法を発見できたとしたら、皆さんなら何ができるか想像してみてください」

 このエピソードとTEDのスピーチから、私が確信したことが2つあります。1つは、「検索でなんでもできる」ということが証明されたこと。

 私は数年前までは、ネットの情報をあまり信用していませんでしたが、いまでは「ネットは使い方次第で、自分の世界を変えることもできる」という考えに変わりました。

 あらゆる情報がネット上で公開される時代になり、誰でもいつでも簡単に、人類の叡智にアクセスできるようになったからです。それらの情報が世界を駆け巡るのも一瞬で、最新の情報もリアルタイムで得ることができます。

 とはいえ、ネット情報を完全に信用するということではありません。誰かが発信する情報は、基本的にはすべてがポジショントーク。

 皆がそれぞれの立場や好き嫌い、価値観、思い込みや先入観に基づいて公開していますから、検証もせず鵜呑みにすると、賢い人に搾取されてしまう。つまり「情報弱者」となりかねないのです。

 知識も情報も、しょせんは「考えるための材料」にすぎません。ネットによってなんでもできるかどうかは、それを使う側のリテラシーに大きく依存します。

 先のジャック少年もおそらく、ネット情報を鵜呑みにしたわけではなく、複数の情報ソースにあたって比較するなど、正しい(と思われる)情報を選り分けて活用したからこそ、世紀の発見をすることができたのではないか、と私は受け止めています。

 もう一つは、「調べるだけで終わりではなく、それに基づいて行動を起こせば、かなり高い確率で実現させられる」ということ。多くの人は、「調べて満足して終わり」がちです。

 でも、それでは自分の環境も人生も、何も変わらない。知っているだけでアウトプットに反映されない知識は、そもそもなにも知らないと同じ。

 重要なのは、「それを実現するためにはどうすればいいかを考え」 「そのための行動を起こす」ことです。ジャック少年が調べたことを検証するため、実際に200人もの研究者にメールを送ったように。

 当たり前のことではありますが、「検索したあとの行動」こそが、物事を実現する力になるのです。

 本書では、「検索すれば未来は開ける」というテーマで、ジャック少年が医療の発見に活用した方法を、私たちの生活を豊かにするために使おうと提案しています。

 つまり、「ネット検索し」 「それを基に考え」 「行動する」ことで、自らをお金持ちに導こうというものです。そのコンセプトに基づき、PART1では、「人生を変えるための検索」を、PART2では、「検索を駆使して実行するマネープラン」を、紹介する構成になっています。

 お金を増やす方法として、私はこれまで「国内・海外の不動産投資」 「FX」 「商品先物取引」や、「起業」などが多かったですが、これらの方法論の根底には「相手の力を利用して稼ぐ」という考えがあります。

 それは、国や企業がつくった仕組みにうまく乗る、あるいはそのひずみを捉えて利益を得るということ。いわば「弱者の兵法」的なマネー戦略です。

 インターネット、そしてグーグルに代表される「検索エンジン」は、その仕組みやひずみを見つけ、弱者が這い上がるための”強力な武器”となり得ます。

 その武器は、世界中でベストセラーとなったトマ・ピケティ教授の経済書「21世紀の資本」の中で述べられている「経済格差は拡大し、富は財産を持つ上位1%に集中していく」という理論すら覆す力を、個人に与えてくれます。

 「検索」を駆使すれば、やり方次第で誰でも経済的にハッピーな人生を切り開くことができるのです。 』 (以上序より)


 『 以前の私は、ネットサーフィンはただ時間を奪うだけの暇つぶし行為だと思っていましたが、最近は考え方が変わりました。もちろん、なんの目的もなくゴシップネタを追いかけるだけでは、単なるタイムイーターです。

 しかし、「生き方」 「仕事」 「マネー」などに関してネットサーフィンをすることは、未知の世界を知るきっかけになります。

 調べたいことや目的がはっきりしていれば、関連情報を次々にサーフしていくことで、新たな検索キーワードが浮かんでくる。それをまた検索して、どんどん広げていく。

 すると、自分が思いもよらなかった情報やキーワードに辿り着くことがある。そしてそれが、自分の生活がよりよくさせてくれるきっかけになることがあるのです。 』


 『 3・11の原発事故直後、私の頭には「海外移住」 「永住権取得」というキーワードが思い浮かびました。

 仕事や家があるという理由で身動きが取れず、放射能に怯えつつも、やむを得ずそこで子育てをしている人のことをニュースで見たときです。

 私はそのニュースを見ながら、「住む場所を選べないのは一つのリスクだ」と、住居地分散の必要性を感じました。

 そこで、すぐにそのキーワードでネット検索し、その結果、東南アジアがよさそうだと考えました。続いて、東南アジアのフリーツアーを検索。「4ヵ国周遊で食事付き」が一人7万円で出ているのを発見し、すぐに予約しました。

 さらに、現地の不動産エージェントを検索します。

 たとえば「シンガポール+不動産」 「シンガポール+永住権取得」というキーワードを入れると、現地で不動産業あるいは移住支援ビジネスを営んでいる日本人エージェントのブログやホームページがヒットします。

 それら数社にアポイントを入れ、家族一緒に見て回りました。

 最終的に私はマレーシアで家を買ったのですが、そこに至るプロセスを「日本脱出」という本にして出版したところ、5万部を超えるベストセラーとなりました。

 印税という副収入を得ただけでなく、これをきっかけにアジア不動産投資セミナーや視察ツアーを主催し、雑誌の取材を受けるようになり、関連の仕事も広がっていったのです。

 一つのアクションから連鎖反応的にアクションを起こし、次々と収益に変える。つまり「すべての行動を収益化する」。

 私はこれを自分の行動指針とし、常に念頭に置いて検索しています。こんなことができるのもすべてインターネットのおかげです。ネットがなければ、こんな稼ぎ方はできなかたでしょう。 』


 『 本書で紹介する方法論の根拠にあるのは、「相手の力を利用して稼ぐ」という発想です。ここでいう”相手”は国家や企業。目指すのは彼らの巨大な力を利用して利益を上げる、合気道のようなマネー戦略です。

 相手の力を利用して稼ぐとは、たとえば次のようなことです。

 さかのぼること2013年初頭、私は1ドル90円台のときに円を米ドルに両替し、アメリカの不動産を購入しました。そしてこの原稿を書いている2015年7月現在、為替レートは1ドル120円前後をつけています。

 もちろんこれは現時点でのスナップショットにすぎないとはいえ、為替変動だけでも25%も資産が増えていることになります。

 増えたというのは、あくまで円に戻すことを前提にした表現ですが、円に戻さない場合でも25%のバーゲンプライスで不動産を買えたといえるでしょう。

 さらに、米国経済の復調により不動産価格が上昇しており、私の物件も10%以上値上がりし(あくまでも評価上)、家賃も毎年アップし利回りも改善しています。

 これはまぐれではありません。私が特別な予知能力を持っていたわけでもありません。チャンスは誰にも平等にあったのです。この時期、同じようにして利益を上げてヒトはたくさんいました。

 では、このマネー戦略のどこが”相手”の力を利用しているといえるのか。

 覚えているでしょうか。2012年に自民党が政権を奪取する以前から、安倍晋三自民党総裁は「金融緩和によるデフレ脱却・インフレ誘導」の必要性を声高に主張していました。

 安倍氏が選挙前からこうした政策を掲げていたというニュースは、日本国民であればほとんどの人がなんらかの形で耳にしていたでしょう。

 また、民主党が解散総選挙を決めたとき、自民党が勝利しそうだということも、かなり早い段階から報じられていました。ならば、選挙のあと何が起こるかを予測するのは、そう難しいことではありません。

 仮に安倍氏が発言した「金融緩和」の意味がわからなくても、「金融緩和ってなんだろうか?」と検索すればすぐに調べられます。そうやって知識を得ると、次はこんな疑問が湧きます。「それで、何がどう変わるのか?」と。

 疑問が湧けば、たとえば「金融緩和+影響」とか「金融緩和+効果」というキーワードの組み合わせで検索してみます。すると、「円安になる」 「資産インフレになり、株や不動産の価格が上る」という記事や解説が見つかります。

 検索結果を下にスクロールしていくと、日本の金融緩和だけではなく、アメリカの金融緩和のニュースなども出てきます。すると、「QE3の縮小」とか「金融緩和の出口を検索」などといったキーワードが出てくるので、これも調べてみる。

 これらを総合的に判断すれば、米ドルは円に対して強くなり、逆に円はドルに対して弱くなる――つまり、「円安・ドル高になりそうだ」ということがわかります。

 であれば、手持ちの円を米ドルに両替しておくことが有利なのででは? と判断することは、そう難しくありません。

 また、検索の途中で「今後は株や不動産に資産が集まる(=値が上がる)」という評論家やアナリストのコメントなどもでてきます。

 その関連ニュースを見てみると、米国ではシェールガスの影響によりエネルギー情勢が変化していること、失業率が低下して経済に復活基調が見られることがわかります。

 そのから、一度は暴落した不動産にも再びお金が集まり、価格が上がっていく可能性が高いと予測できます。

 選挙で勝った政党が日本を動かす。その政党を動かすのは首相。つまり、自民党総裁の安倍氏が「やる」と宣言した政策は現実となる可能性が高くなる。ならば、私たちはその安倍氏の力を利用すればいい。

 というわけで私は、自民党の圧勝を確認するとすぐにアメリカの不動産エージェントを検索し、アポイントを取りました。そして翌1月にはカルフォルニアに飛び、投資物件を購入するに至った――というわけです。

 そこには特別な情報源も、特別な頭のよさや知識も不要。一般的な公開情報だけでも、ある程度の対応策は検索で見つけられるということがおわかりいただけると思います。

 もちろん将来どうなるかはわかりません。再びリーマンショックのような金融恐慌や景気のリッセションという局面がやってくる可能性もあるでしょう。

 そうなれば不動産価格は下落に円高という状況になり、結果的には成功ではなかった、ということになるかもしれません。

 それでも、政府、与党の動きに対して興味関心を持ってキーワードを探し、検索してみるという行為は、ときとして大きな ”差” を生むだろうと私は考えています。 』 (第163回) 


コメントを投稿