マーシャ メヘラーン著 渡辺 佐智江訳 白水社
時は1970年代後半に起こったイランでのイスラム革命の動乱。その混乱をどうにか逃げてきた美しい3姉妹の物語です。長女のマルジャーンは料理のセンスが光るまじめで現実的な人、次女のバハールは暗い過去を持つが姉妹思い、末娘のレイラーは陽気な美しい足を持つ元気な女の子、この3姉妹がイランを抜け出し、アイルランドの田舎でカフェを開き、そこで生きていく話しです。アイルランドの小さな町バリナクロウに混じった異国情緒あふれる美しい姉妹が起こす出来事を、各章でひとつのイラン料理を交えながら進む(章の頭にレシピまであります)ストーリィです。情景や描写のみならず味覚や嗅覚にまで想像を刺激するためにイラン料理が食べたくなります。イラン料理はいつか食べたいです。特にドルメと呼ばれるラムひき肉とたくさんのスパイスを用いてブドウの葉で巻いてオーブンで焼く料理や、アーブグーシュトと言うやはりラム肉を使った料理も(神父が食べるシーンがたまらない!)とても美味しそうです。この味覚や嗅覚にも訴えてくるというのは新鮮な感覚でした。
料理と気分と精神と官能の世界を繋いだ描写、新しいと思います。
料理を絡めるというのは私には新しく感じるストーリィですし、テクニックだと思うのですが、定番として街を取り巻く人々を巻き込んで登場人物がとても多く、その上非常に生き生きしていているのが、ツイン・ピークス的とも言える世界を醸し出していてその辺もたまらなく好きです。街と取り巻く人に弱い私としてはとても良かったですし、これ続きがありえるのではないでしょうか?是非書いて欲しいです。
料理が好きな方にオススメ致します。