「縞模様のパジャマの少年」を読みました

2009-08-04 21:10:14 | Weblog
ジョン・ボイン著    千葉 茂樹訳     岩波書店


第2次世界大戦時の悲惨なホロコーストの話しは、たくさん本になり、また映画になり、それぞれいろいろな名作を生んでいます。苦い事実を含んだ話しですので、様々な角度から検証されるべきですし、実際そうなっています。その中でも、この話しは(もちろん創作ではありますが)少し特別な視点から展開しています。迫害を受ける側、そして迫害する側、あるいはより2次的な接触側からが多いのですが、この本は「(父親が迫害する側の)男の子」目線で描かれています。9歳の設定です、ここがほぼすべてのミソです。


アテンション プリーズ!

以下ネタバレ無しでお送りいたしますが、基本バレバレな話しでありますので、より楽しみたい方はご遠慮願います、どうか読まれてからをオススメ致します。出来れば先入観なく読まれるのがもっとも面白い読み方である作品だと思われるからです。それに、この夏、映画化されて見られます(いったいどんな風に撮るつもりなのでしょうか??)。


ベルリンに住む9歳の男の子が収容所の所長として赴任する父親と一緒に収容所の付近で暮らすことになって起こる騒動を追った物語です。9歳にしてはあまりおりこうさんではないTHE・男の子代表のような、感情=行動に近い子がフェンスの向こう側にいる「縞模様のパジャマ」を着たたくさんの人々の中の自分と同い年の子と友達になります。そのことを秘密にして生活するのですが、家に一緒に住むお父さんは軍人で、しかも収容所を管轄する立場なのです。

あまりに当然過ぎることですが、収容所を管理し、ナチスに加担する人々にも家族があり、生活があるのです。そして、子供ともコミュニケーションをとらなければならないのです。

ちょっと無い視点からのホロコーストを扱った物語、なかなか読ませます。これが女の子だったら、まず成立しないしかけではありますが、男の子なりの葛藤もあり、良い結末であって、その点はかなりよかったです。

歴史の重い結果を知りつつも考えさせられる内容になっていて良かったです、男の子に接触する機会のある方に(父親なり、先生なり)オススメ致します。