床屋

　私には、高校時代から通い続けている、行きつけの床屋がある。


　通学路の途中にあるお店。
　腕も悪くなく、価格も安いほうだったので、小遣いの遣り繰りにも一役かっていた。

　床屋のおじさんは、人懐っこく本当に良い人。
　上辺だけではなく、本当にフレンドリーに接してくれる。

　「今日はどうしましょうか？」
　「いつもの通りで・・・」
　普通のやり取りですが、完全に信頼しているから、出来ることなんです。

　散髪中も、色々な話を聞いもらい、おじさんもたくさん話をしてくれた。心を開いてくれている人だからこそ、こちらも心を開いて話していける。

　そんな、心地よさが楽しくて嬉しくて、この店に通い続けるようになっていた。



　高校卒業後、通勤・通学路とはかけ離れてしまって、お店に行きにくくなったのですが、散髪する時には、そこへ通うようにしている。
　それは、私が福岡在住中であった時も変わることがなかった・・・。

　「最近、お客さんが少なくなって・・・」。
　土曜の昼時などは、次のお客さんが来るまで、話相手になってあげたりして一緒に暇な時間を過ごしてあげたこともあったっけ（笑）。


　今日、休日出勤の帰りに、その床屋へ行くことにした。
　そこで待ち受けていたものは。

　閉じっぱなしになっている扉。
その前には、１０日分くらい詰まれた新聞誌。


　おじさん、体調崩したのかな・・・。とても心配です。