若手総合法務アドバイザーの備忘録

ビジネスマン・経営者・転活、就活中の方へ
日々のビジネス判断の助けになればと思いますm(_ _)m
毎週更新!

担保物権

2016-05-03 11:32:04 | 法務
制限物権には、前回お話しした用益物権の他に担保物権というものがあります。

【定義】
担保物権とは、債権者が債権の履行確保のため、優先して権利行使ができる権利

【種類】
担保物権には法定担保物権約定担保物権とに分けることができます。
法定担保物権は法律の規定により存在する担保物権で、留置権と先取特権が民法で規定されています。
約定担保物権は本人同士の話し合いにより発生する担保物権で、質権と抵当権が民法で規定されています。

【4つの性質】
担保物権には4つの性質があります。
(1)附従性
債権なきところに担保物権なし
担保物権は債権の担保として存在することが圧倒的に多いため、債権と共に発生し債権と共に消滅します。

(2)不可分性
債権の全部を弁済するまで、目的物の全部に対して担保物権の効力が生ずることをいいます。
1/3弁済したから、1/3返してねは認められないということです。
(3)随伴性
債権が移転等をした場合に、担保物権も一緒に移転するという考え方です。
担保物権は債権と運命を共にするので、債権譲渡があった場合、債権と一緒に担保物権も譲渡したものとして考えます。
(4)物上代位性
債務者が目的物を売却や交換などをして得た収益についても、優先的に受けられるという考え方です。
土地に抵当権がついてるから、換金しちゃえば土地がなくなるから抵当権チャラね。は成り立たないということです。
(当たり前ですが…)

【3つの効力】
さらに担保物権には3つの効力があると考えられています。
(5)優先弁済的効力
目的物を換金した場合に、優先的に弁済を受けられることをいいます。
(6)留置的効力
弁済があるまで、目的物を占有し、引き渡しを拒む効力のことをいいます。
(7)収益的効力
目的物を運用した場合に、そこから得る収益を優先的に受けられることをいいます。

【各担保物権まとめ】
上の(1)から(7)が担保物権の全てに当てはまるわけではありません。
それぞれ当てはまるもの、当てはまらないものが存在します。
留置権→(1)(2)(3)(6)
先取特権→(1)(2)(3)(4)(5)
質権→(1)~(7)まで全て〔(7)については不動産質権のみ〕
抵当権→(1)(2)(3)(4)(5)


それぞれの内容については、次回お話しします。
それでは、また。良い連休を。