いきもの散歩

近所の自然観察、飼育している川魚の記録

アサヒナカワトンボの楽園

2019年05月14日 | 昆虫類
初見のサナエトンボを求めて、河川上流部に行った。そこにはいたるところにアサヒナカワトンボがいた。100頭、あるいはそれ以上といった数だ。
水辺では川石にとまり、縄張りを主張する橙色翅型オスが目立っていた。また、オス同士の縄張り争いがしばしば見られた。


アサヒナカワトンボ 橙色翅型オス

アサヒナカワトンボを普段観察するフィールドでは、オスは無色翅型の方が若干多いイメージがある。しかし、ここでは圧倒的に橙色翅型の方が多いと感じる。
川石にとまる無色翅型オスが、いないわけではない。


アサヒナカワトンボ 無色翅型オス

橙色オスに比べてその数は少なく、橙色オスに見つかると追い出されていた。
逆に、無色オスが橙色オスを追い出すことはないのだろうか?川沿い数百メートルを何度か往復しながら観察したが、今回そのようなケースは確認できなかった。

川石にとまるメスがいた。


アサヒナカワトンボ メス

オス待ちのメスだろうか?何かが起こることを期待し、川石に座りながら眺めたが、近くに複数のオスがいるにも関わらず、何も起こらなかった。


水辺から少し離れた林では、未成熟個体をよく見かけた。


アサヒナカワトンボ 橙色翅型オス・未成熟


アサヒナカワトンボ 未成熟メス

水辺周辺には成熟オスもいた。


アサヒナカワトンボ 橙色翅型オス

成熟したばかりで、これから水辺に向かうのだろうか。或いは、争いに疲れて一休みしているところだろうか。


今回、多数のアサヒナカワトンボに会うことができた。自分の子孫を残すために必死に縄張り争いするオスたちを見た。しかし、肝心な生殖行動(交尾・産卵)は1ペアの交尾しか見かけなかった。縄張り争いに終始していたわけではなく、きっと私の気づかないところで生殖活動は頻繁に行われているのだろう。そうでなければ、あまりにも非効率だと感じる。



今回唯一見かけた交尾だが、そのオスは「あの」無色翅型だった。過去に撮影したアサヒナカワトンボの交尾を調べてみると、橙色翅型オスの交尾は1件だけで、無色翅型オスの交尾が8件だった。この僅かなデータだけで何かを結論付けることはできないが、喧嘩では橙色オスには勝てない無色オスが、生存競争という観点からは勝利しているように見えておもしろい。

自分が最も時間をかけて観察しているトンボは、アサヒナカワトンボだ。しかし、未だに産卵を見たことがない。今回あれだけの数がいたにもかかわらず、産卵を見かけることはなかった。運任せだけではだめで、何かを変えないとずっと見られない気がしてきた。





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