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ある大学教授の思い

ある女子大学で情報、統計、ファイナンスなどを教えております。気がついたことなどまとめてみたいと思います。

官僚指導国家(1)

2012年10月29日 09時28分45秒 | Weblog
官僚指導国家(1)
    まず官僚が「こういう政策をやりたい」と考える。その所属する省庁内での議論を経て「実行しよう」ということになれば、その法律の原案が作られる。こうしてできた法案は、霞ヶ関の全省庁との間で調整がなされた後に、内閣に提出される。日本の法律の80%以上は、こうして官僚の頭と手で 作 られる。   

    次に、内閣法制局で法律の形式的なチェックが厳格に行われる。憲法や既存の法律との整合性がここでチェックされる。閣議決定を経て内閣提出法案となり、衆議院あるいは参議院に送られる。そして、両院で可決されれば法律として制定される。もう一つのルートは議員提出法案「議員立法」がある。

   議員立法はハードルが高い。「実現したい政策」を法律の文書にする事の難しさ、予算措置が必要な場合は、衆議院で50人、不要なものでも20人の賛同者がいなければ法案自体が提出できない。さらに、予算案を作り、それを活用できるのは内閣以下の行政府だけだ。立法府の議員だが立方は困難だ。

    提出される法案の約80%が内閣提出によるものだ。議員提出法案の成立率は引くういから、90%以上が内閣提出法案になりる。日本はやはり官僚指導国家であることが法律作成を見れば証明される。米国では逆に法案の70%が議員立法だ。これこそ真の民主主義だ。

2012ノーベル賞

2012年10月28日 11時25分21秒 | Weblog
2012ノーベル賞解読
物理学賞
    極微の世界には現実の世界にはありえない現象がある。それは「1であると同時に0である」というような重ね合わせの状態だ。この状態は観測すると壊れてしまう。これを壊さずに測定して取り出す手法が、今年のノーベル物理学賞だ。量子コンピュータへの道を開いたという。これが完成すればスパコンは不要となる。

化学賞
    人の細胞の表面に外からもたらされる情報を受け止める受容体がある。これはある蛋白質からなり、これを通じて血圧、心拍数などを抑制する生理現象を調節する役割を担っている。この受容体の基本的な性質と構造を解明した事で、より効果的な薬の開発などが可能になった。これが本年度ノーベル化学賞だ。

経済学賞
    需要と供給の関係は伝統的経済学では自然に最適化される。実際の市場では理想通りにはいかない。人材の配置、臓器の提供などで制度設計やゲームの理論の適用で、需要側と供給側の双方に利益となる安定配分と市場デザインを理論的に構築する方法を提案した。本年度ノーベル経済学賞受賞の内容だ。


文学賞
    受賞理由として、「幻想的なリアリズムで、民話、歴史、現代を融合させた」としており、莫言氏は受賞に対して「受賞は何かを意味するものではない。中国には数多くの優秀な作家がおり、彼らの作品も世界で認められるべきだ」と述べている。反体制的な内容でも隠喩、暗喩など文学的技法でカモフラージュできる。ここ数年の文学賞が民族、人種、平和などに関係した内容が対象となっている。

医学生理学賞
    iPS細胞で山中先生が受賞した。受精卵から作りだす万能細胞をES細胞と言うが、これは生命倫理の問題があり、実用化には壁があった。山中先生は受精卵を使わないで万能細胞を作る方法を生み出した。これがiPS細胞と呼ばれる。
*ES細胞:Embryonic Stem cells
*iPS細胞:induced Pluripotent Stem cell

サウダーデ続編

2012年10月27日 09時42分34秒 | Weblog
小説「孤愁 サウダーデ」の続編
小説「孤愁-サウダーデ」
   明治から昭和にかけて日本に滞在した文化人では、松江に住んだ小泉八雲こと、ラフカディオ・ハーン(1850~1904)が有名である。日清戦争後、ポルトガルの総領事として神戸に赴任したモラエス(1854~1929)は、伴侶となった女性の死後、職を辞して彼女の故郷である徳島に移り住んだ。そこでの生活は優雅なものではなく、変人と見られて、西洋乞食とかスパイなどとさげすまれていた。それでも、彼はその著作の中で、「ポルトガルの田舎町で暮らす日本人よりはまだましかもしれない」と書いている。著作は全部ポルトガル語で書かれていたので、長い間、うずもれたままであった。モラエス全集が集英社から出たのが昭和40年頃だった。モラエス研究家の花野富蔵氏らの努力の結果である。

      生誕100年を迎える作家新田次郎さん(1912~80年)の小説「孤愁-サウダーデ」にモラエスが描かれているが、未完で終わっている作品を、次男の数学者藤原正彦氏がその続編を執筆している。世界的にも珍しい親子2代の合作として、32年ぶりに完結する予定という。新田氏の物語はモラエスの神戸時代まで、時代でいえば日露戦争開始まで、毎日新聞に連載されたが急逝したため、未完のまま遺作となっていた。正彦氏は晩年の徳島時代まで作品にするという。

   気象庁に職を持ちながら、作家としての新田次郎(本名・藤原寛人)氏は主として山岳小説で有名だ。奥さんの藤原てい氏も「流れる星は生きている」で名をなしている。娘の咲子さんはエッセイスト、息子の正彦氏は「国家の品格」で文筆家としても有名となった。徳島で没したポルトガルの文人、モラエスを主人公にした小説「孤愁-サウダーデ」を執筆している最中の父の突然の死にあって、正彦氏はこの作品にかけた並々ならぬ父の気迫を感じていただけに「たぎり立つ情熱をかけた仕事を半ばにしての、無念の戦死」と今でも思っているという。

   小説「孤愁」では、日清戦争のあと、日本がロシアと戦争をしなければならない状況に追い込まれて行く様子がよく分かる。ポルトガルと日本は1543年に鉄砲をもたらしたとき以来の付き合いで、多くのポルトガル語が日本語となって未だに残されている。また、日本人の心とよく似た心情をもつポルトガル人の控えめなやさしさや自然への愛情などは、モラエスを通してよく描かれている。「孤愁-サウダーデ」は愛する人や土地に対して、遠くから思いやる心情で、望郷とか郷愁といった情緒にある言葉だ。正彦氏による作品に完結がまたれる。

*新田次郎著「孤愁-サウダーデ」上下 毎日新聞社刊
*ポルトガル語からの単語集:テンプラ、シャボン、タント、ブランコ、ビスケット、ボタン、キャラメル、カボチャ、カルタ、カステラ、カッパ、コンペイトウ、コップ、
キリシタン、フラスコ、ジュバン、メリヤス、オンブ、ポルガン、パン、タバコ、トタンなど。

法務大臣の椅子

2012年10月26日 10時51分34秒 | Weblog
法務大臣の椅子
    法務大臣が直ぐに変わるよりも、もっと重要な問題が隠されている。陸山会事件での虚偽報告書作成事件で、検察は6月末に田代検事、佐久間元特捜部長ら関係者を不起訴処分にした。その前に指揮権発動を口にした小川大臣の首を首相がはねた。後任の滝大臣は何もしなかった。その人が再任された。

    小川「僕の場合は法務省の役人の言うことではなく、自分自身で判断していましたから。でも、もし、最終的な処分や調査結果について、法務省の役人の話だけを聞いていれば、あ、そうかで終わってしまうのではないでしょうか」。検察は首相を動かして小川大臣の首をはねたと容易に想定される。

    無理筋の不当捜査で政治に重大な影響を与えた陸山会事件で、東京地検特捜部が引き起こした「内容虚偽の報告書で、検察審査会の判断を誤らせる」という重大な問題に対して、11月12日に高等裁判所の判断が示される。田代検事の「記憶違い」で片づけられる問題ではない。

    PCの遠隔操作による警察の誤認逮捕の問題でも、警察や検察の取調べで不当な自白誘導が行われ、自白の信用性の裏付け捜査も行われなかった事件が起きた。遠隔操作だけをマスコミは取り上げているが、実は誤認逮捕の方が重大なだ。検察に対する国民の信頼が崩壊し、普通の国民に対する重大な脅威になっているこ事が明るみに出された。法務大臣には検察崩壊を立て直す重責がかかっている。

ノーベル文学賞

2012年10月25日 09時34分15秒 | Weblog
ノーベル文学賞の意図
    ノーベル賞で文学と平和賞は学問と言う領域ではないから、何らかの意図のもとに選考が行われているのは当然だ。これまでの受賞歴から、それは世界を正当な方向へ動かすであろう力を見せた人またはものという上からの視線を感じることができる。ここ数年の文学賞には明確にその意図を読み取れる。だから村上春樹さんの受賞は無理と言い続けてきた。    選考委員達はも はや「良い仕事した人を表彰する」という役回りには満足できなくなっている。民主社会とか世界平和への建設に能動的な役割を担いたいと思っているようだ。オバマ大統領に授与すればまさか彼は核兵器を振りまわすことはありえない。EUに授与すれば、ユーロで崩壊させる事はない。

   魯迅(1881~ 1936)の長編小説「阿Q正伝」では、阿Qという近代中国の一庶民を主人公として、無知蒙昧な愚民の典型である架空の中国国民を描き出すことで、当時の中国社会の病理を鋭く告発した。文学者は、直喩、暗喩、隠喩といったありとあらゆる文章技巧を凝らして政治批判を隠す。毛沢東はこの作品を最も気に入り、談話でしばしば引き合いに出した。旧体制の矛盾を描いた「阿Q正伝」を教材にして、共産主義革命を成し遂げたとも言える。莫言氏は共産党1党独裁の北京政府の矛盾を描いている。「社会の暗部に対する私の批判が厳しいことが分かるはずだ」と力説している。

   莫言氏は民主活動家で平和賞を受章した劉暁波氏について、早く自由になればいいとも言及もしている。北京政府は平和賞には内政干渉だと未だに反発しているが、莫言氏の文学賞を大歓迎するという矛盾を犯している。2人の違いは北京政府への直接的批判と文章技巧を凝らした批判の違いがあるだけだ。

近現代史の見直し(2)

2012年10月24日 10時27分30秒 | Weblog
近現代史の見直し(2)
東京裁判とA級戦犯
    1937年慮溝橋で最初に発砲し、攻撃を仕掛けてきたのは中国側で、それが上海に飛び火して戦火が拡大した。この上海への飛び火は中国側の正規軍が日本人居留地を攻撃したものだ。シナ事変を始めたのは日本ではなく、中国の側である。東京裁判でもこれを認め、日本のシナ事変の開戦責任を問わなかったことでも明らかだ。日本史の教科書では、あまりにも日本側の戦争責任と言う事が全面に出過ぎている。そろそろ事実に即して見直す時が来ている。      


    東京裁判でのA級戦犯判決は、1951年のサンフランシスコ講和条約では、A級はなかったという事と同じことになった。A級戦犯とした罪状は平和に対する罪、つまり戦争を計画した罪、戦争を準備した罪、戦争を始めた罪だ。日本はポツダ ム宣言を受諾して降伏した。ポツダ ム宣言には確かに戦争犯罪人を裁くという条項があるが、国際法上の事ではなかった。A級戦犯なるものが、いかに根拠がないものであるか、ということである。 国際社会も東京裁判が無法で根拠がな いものだったことを認めている。その表れがサンフランシスコ講和条約の第11条である。東京裁判に代表を出した関係国の同意があれば、A級戦犯を釈放していいと定められている。

    靖国神社には七人のA級戦犯が合祀されているから、中国国民には、ここを参拝することは国民感情として許せないと言う。1951年の講和条約では、東京裁判に代表を出した関係国の同意があれば、A級戦犯を釈放していいと定められている。A級戦犯として終身刑の判決を受けた賀屋輿宣、重光葵などは釈放されて大臣になった。ポツダム宣言が発せられた当時、戦争を計画したり準備したり始めたりする事を戦争犯罪とする条項は国際法のどこにもなかった。東京裁判は何の根拠もなしにA級 戦犯と決めつけたのだ。また、戦争を計画したり準備したり始めたりするのが犯罪であるという国際法の取り決めは現在も全く存在しない。

日韓併合の真実(3)

2012年10月23日 10時51分50秒 | Weblog
日韓併合の真実(3)
    日韓併合で日本が最も手を焼いたのが、官僚たちの意識改革だった。現在の霞が関と同様に、改革で搾取や不正利得ができなくなるからだ。役所の居候や取り巻きとともに、全員が私利私欲という最強の動機で結ばれ、改革には積極的にせよ消極的にせよ反対した。勤勉実直な階層を虐げて私腹を肥やす悪徳官吏が跋扈していた。      

日本が改革に着手したとき、朝鮮には階級が二つしかなかった。盗む側と盗まれる側である。そして盗む側には官界をなす膨大な数の人間が含まれる。搾取と着服は上層部から下級官吏にいたるまで全体を通じてのならわしだった。日本には朝鮮を隷属させる意図はなく、自立の保証人としての役割を果そうとしただけだ。

    「亡国を救う道は併合しかない。そして併合相手は日本しかない。欧米人は朝鮮人を犬か豚のように思っているが、日本は違う。日本人は朝鮮人を導き、世界人類の文明に参加させてくれる唯一の適任者である。我が朝鮮民族が豚の境涯から脱して、人間としての幸福が受けられる道はない。」と心ある官僚だった李成玉が書き残している。

先端研究のずさんな管理

2012年10月22日 09時22分11秒 | Weblog
偽研究者の横行
    ノーベル賞受賞の電話がきたとき、山中先生は自宅の洗濯機を直していたとの話を聞いて、閣僚から寄付を募って洗濯機購入代金を送った真紀子大臣はどのような精神構造をしているのか。そのような些細な事象に気を使うのではなく、それよりも文科省管轄の助成金から、世間を騒がせたニセ研究者に年間960万円も報酬を支払っていたことを問題とすべきだ。

    偽物に踊ろされたマスコミ、それを雇っていた東大、真贋も見抜けないで予算を配分したその部門の学会の権威者たちなど、大臣だけでなく頭脳と精神の劣化が酷過ぎる。内閣府が2010年度に始めた最先端、次世代研究開発支援プログラムの基金1500億円の中に森口尚史を中心とした研究として1億6千万円も支給されていた事が明るみに出た。

    偽物を雇った東大病院の研究プロジェクト代表者は「性善説にのっとって、研究者同士で疑いの目を向けることはない」と言いわけしているが、これでは何も理解していない新聞記者と同じレベルであることを恥ずかしく思うべきだ。背景には先端的な研究をしているとの語句、ここではiPS細胞と言えば、何でもまかり通る日本の研究風土にある。相も変わらずに続いている官僚たちの姑息さ、権威を振りかざす学会のボスたち、これこそが悪い風土を生む温床だ。大多数の真面目な研究者にははた迷惑なことだ。


サイバー犯罪

2012年10月21日 10時54分56秒 | Weblog
サイバー犯罪
     警察は3人を誤認逮捕し、検察はその うち1人を起訴した。冤罪と分かって慌てて3人を釈放した。加えて、7月に逮捕され、すでに保護観察処分が下されている都内の学生も冤罪みたいだ。犯人は警察や検察を嘲笑うような声明を出している。それでもこの犯人を捕まえるのは難しい。    

   IT機器を使った犯罪は巧妙化、凶悪化し、加速度的に増えている。PCや携帯は便利でいい面ばかりが宣伝されているが、悪用されれば危険な道具となる。。警察も検察も手を焼いているが、個人はなすすべなしだ。PCや携帯を持つ以上、個人情報や財産を盗まれる事を覚悟しなければならない。

   インターネット自体、軍事技術の転用だ。核戦争によって、どこかが壊滅しても通信網全体がマヒしないように設計されている。軍事技術の民生転用だから、いかに相手を弱らせ、多くを破壊して殺すかを競って進化してきた。最新テクノロジーで防御しようとも、同じ技術で攻撃されれば防ぎようがない。

   ネットは高度なハイテク機器なのだが、余り訓練せずに誰でも気軽に使え る所に罠がある。普通の個人が罠を防ぐ事はできない。プロバイダー、通信機器会社ではそれぞれ防衛機能を備えているが、その壁を破るにはそれほどの技術はいらない。ネット参加の利益と不利益を図って個人で判断する事だ。

   指紋、足跡、遺留品など犯人逮捕の手掛かりだが、ネット犯罪では各PCのIPアドレスだけが頼りだ。海外の複数のサーバーを経由して書き込みを犯人はしている。それらのサーバーをひとつずつ追跡する捜査だ。しかし、記録をログしていなければそこで足跡は消える。犯人特定は殆ど不可能だろう。

日韓併合の真実(2)

2012年10月20日 10時37分45秒 | Weblog
日韓併合の真実(2)
   1910年以前は、ほんの一握りの貴族(両班)が庶民(白丁)をまるで人間扱いしないで搾取していた。前近代的な農業以外の産業もなく、鎖国状態で輸出品は、封主国である支那への女性献上だった。このような極貧国なので欧米列強は植民地の対象にもしなかった。そのような国を日本が併合した理由は、放置すればロシアが南下してくるからだ。

   併合には日本でも国論が割れていて、最大の反対者は伊藤博文だった。韓国は1909年10月に、日韓併合に反対する伊藤博文を暗殺した。韓国は国をあげて、日本の総理を暗殺してまで、日本との併合を望んでいたのだ。韓国最大与党の一進会が韓日合邦を要求する声明書を出した。

   このような状態だから、日韓併合は欧米諸国から嘲笑された。対等合併なら、すでに日英同盟ができていたから、英国も韓国と同列になるからだ。やがては、列強諸国から「日本に韓国の面倒をみさせるべし」となった。欧米の白人国家が有色人種を支配するのが常識の時代だ。 国力のある国家が、そうでない国家を支配するのは当然だった時代だ。

   それどころか、米英伊仏独は日本に韓国支配を迫った。日本は欧米との外交上、韓国の面倒を見ざるをえない方向に追い込まれたのだ。韓国内に古くからある不条理な刑罰や牢獄制度を廃止させ、言語を統一し、5000校の小学校を作り、240万人を就学させ、道路をつくり、鉄道を敷設し、上下水道などのをインフラを日本のカネで整備した。併合から14年後の1924年には京城帝国大学まで創設した。


論文捏造(2)

2012年10月19日 09時52分47秒 | Weblog
史上最大の論文捏造

    電子顕微鏡でしか見ることのできないウイルスを、まだ電子顕微鏡のなかった時代に見たと論文にしていた野口英世博士の記事を、第一回野口英世アフリカ賞に関連して記事にした。今では果たして野口博士に論文の捏造があったのかどうかは分からないが、医学や生物学などのバイオ関連の分野では、論文捏造が圧倒的に多いことが知られている。米国では研究公正局という公の機関まで存在している。
 
   物理や化学の分野では、比較的に再現実験がしやすいので、データをごまかすのが難しく、こうした不正行為は少ないが、1998年から2002年にかけて高温超電導の分野で史上最大規模の論文捏造が行われた。NYマンハッタン島から西へ車で1時間ほど行ったベル研究所が舞台で、1人のドイツ人研究者によって事件が起こされた。ベル研はAT&Tの研究所であったが、今では経営者が変わっている。20世紀最大の発明の一つである半導体はここで生み出された。今でも玄関にはその実物が展示されているものと思う。

   超電導は極低温で、ある種の物質の電気抵抗がなくなる現象で、1911年にオンネスによって水銀がマイナス269度でこの現象を引き起こすことが確かめられた。彼はこれでノーベル物理学賞を受けている。1986年になって、銅の酸化物がマイナス243度で超電導が生じることが確認され、高温超電導が物理学研究の最前線となった。その後、マイナス140度まで温度は上昇したが、銅系の酸化物では限界に来ていた。注目され始めたのが炭素化合物からなる有機物で、熾烈な開発競争が始まった。

   この分野で彗星の如く現れた人物がシェーン博士で、ドイツの大学で博士号を取得して、1998年に、この研究所に参加して以来、5年間で60本もの論文を書きまくり、そのうち「サイエンス」誌に9本、「ネイチャ」誌に7本も掲載され、マイナス117度を達成した。そして彼は間違いなくノーベル物理学賞を目の前にしていたはずである。やがて米国、欧州、日本など関連する大学や研究所で追試が始まったが、彼が論文で書いているとおりには結果が出てこなかった。2002年5月になってNYタイムズが、論文捏造疑惑を報道してから、考査委員会が研究所に作られて真相が解明されていった。これは史上最大の論文捏造事件であったが、栄光あるベル研究所を傷つけ、彼の論文を掲載した「サイエンス」と「ネイチャ」誌の権威も落とす結果になった。
*村松 秀著「論文捏造」中公新書ラクレ
*http://iiaoki.jugem.jp/?eid=1814


論文捏造(1)

2012年10月18日 10時26分50秒 | Weblog
論文を書かない者は去れ
    旧帝大の国立大学では論文1本のコストが1000万円以上もするとのことだ。これは要するに、論文を書いている人が少ないということを表している。学校教育法58条によると「教授は学生を教授し、その研究を指導し、または研究に従事する」と規定されている。教育と研究が大学の先生の2大使命である。しかし研究の結果を論文にして公表しろとは書いていないので、別に論文を書かなくても首になることはない。
  
 
    米国の理工系の大学や研究機関では、書かない者は去れ「Publish or perish」という言葉があり、どこの大学でも研究所でも研究資金の獲得と論文書きに追われている先生方が多い。また、大学では授業のない夏休み期間は通常は給料がないので、この期間は企業のコンサルタントなどをして稼いでいる先生もかなりいる。

    こうなると、無理やり論文を書いたり、ひどい場合には論文の捏造まで生じることとなる。特に不正論文の多いバイオの分野では研究公正局(ORI)という公の機関まで存在している。1992年にアメリカ国立衛生研究所(NIH)に設置されたが、現在は独立した組織となっている。バイオ研究では不正行為で作られたデータが市民の健康に影響することもあるのでチェックが厳しくなっているようだ。年間200件の告発があり、実際に不正や捏造が摘発されるのはその1割程度という。

    物理の世界での最大の論文捏造事件は1998年から2002年に起きたシェーン博士の事件である。対象は高温超電導に関するもので、舞台は半導体開発で有名なベル研究所(現在はルーセント・テク社所属)である。驚くべきことに、研究者のあこがれの的である英国のネイチャー誌や米国のサイエンス誌に立て続けに論文が掲載されて、ノーベル物理学賞受賞は間違いなとまで言われていた。これについては、話が長くなるので別途、まとめさせていただくこととする。

    研究者は先端的なことを研究して、その結果を論文としてまとめなければ、研究者として生きている意味がない。そうなると多少は背伸びしてでも論文としてまとめたいとの欲望が出てくる。背伸びが過ぎれば捏造の領域に入り、論文偽装ということになる。研究者は絶えず何かに追いまくられ、如何にして独創的な先端的な成果を上げることに追いまくられている存在なのだ。


日韓併合の真実(1)

2012年10月17日 15時52分22秒 | Weblog
日韓併合の真実(1)
     韓国はいつまでも誤った歴史認識に捉われるのではなくて、正当で自然な歴史観を認めるべきだ。1910年の日韓併合の評価は事実によってなされるべきだ。これによって、中国からの独立を果たし近代国家形成 へと向かった事は事実だ。併合前の人口は千万足らずだったが、30年後には2.5倍にまで拡大した。まぎれもなく併合によって豊かになった証拠である。

     日韓併合後の人口増加は法治国家の確立により、生命財産が守られ、農業の改善により生産性の向上による食糧増産によるものだ。さらに、地下資源の開発も進み、これによってもたらされる近代的な産業の発展も見逃せない。歴代王朝による前近代的支配の頸機を脱して、農業依存社会から近代化社会へと転換できた事が大きい。
 
    歴史の教科書にも書いてあるから韓国併合を植民地支配と思っている日本人は多いが、19世紀から20世紀にかけて欧米諸国がアフリカ、アジアで行ってきた植民地とは全く異なる形態であった事に注目すべきだ。台湾、満州と同じく、これは同化政策で、日本の行政、産業、教育などのシステムを持ち込み、それぞれの地域に合った近代化を進めたものだ。1924年には京城帝国大学まで設立された。ここから未だに活躍している多くの人材が輩出した。

    日韓併合直後の明治44(1911)年の韓国 の年間総予算は3,565万円だ。韓国内からの税収は1,330万円で、不足分は全額日本から無理して補充した。韓国は14世紀末に李氏朝鮮によって、ほぼ500年間、支那の属国(冊封国)だった。文明は遅れ、庶民は悲惨な生活だった。

中国4千年の嘘

2012年10月16日 10時00分41秒 | Weblog
中国4千年の嘘
     NHKスぺシャルで「中国文明の謎1」が始まった。中国4千年の歴史と強調しているが、中国という同じ人種の国が継続してきたはずがない。12から14世紀にはモンゴル系の元王朝に征服されていたし、16から20世紀の初めまでは満州族の清王朝に征服されていた。NHKはまるでスポンサーが中国政府みたいな放映をしてはダメだ。     

     NHKはありもしない中国4千年の歴史や世界四大文明なるものを信じているみたいだ。現在の中国人が漢民族だから、古代中国人語は漢民族の言葉だと思ったら大きな間違いだ。今の中国人と古代中国人は民族が全く違う。秦の始皇帝による文字の統一と焚書坑儒 により春秋戦国時代の書物は全く現存していない。

    現存している春秋戦国時代の書物は漢王朝の時代に適当に作成されたものだ。 漢王朝時代の書物は唐王朝時代の人には読めない。つまり、民族が違う。中国の歴史書は古代より後の時代の人が都合の良いように歴史を書きかえて来た。新しい王朝ができると、まず最初にやることが前の王朝の歴史書を作りかえることだ。

   だから中国の歴史書は歴史的な事実も書かれてるが、嘘もいっぱい書かれている。古代より後の時代の人が都合の良いように歴史を書きかえて来た。これは日本でも同じことだ。今では日本書紀は藤原氏が適当に作成した事は誰もが知っている。同じ民族で同じ言語を使う中国と言う国が紀元前から継続してきたような錯覚にとらわれている人が多いが、中国と言う意味はちょうど欧州と言うことと同じだ。

リスクについて考える(6)

2012年10月15日 10時12分26秒 | Weblog
リスクについて考える(6)

安全とコストの兼ね合い
巨大技術の信頼性
科学文明は人類を疫病や過酷な労働から解放し、食物やエネルギーを安定的に入手する手段を生み出してきた。病気の克服は長寿化を生み出し、労働から解放された人類はスポーツクラブに行ってムダな脂肪を排除し、ダイエット食品という不自然な食物まで製造している。IT技術の進歩で多くの恩恵に浴しているが、コンピュータシステムの故障で多くの記録が失われたり、漏洩したしたりする。車も同じで、自動車事故で失われる世界の生命は年間で10万人に達している。人類の福祉と幸福を目指している技術が、逆に反対の方向に行ってしまうこともある。

    技術の信頼性を高めることで、どの程度まで人類の幸せに貢献することができるかを研究する分野が信頼性工学である。ものの信頼性研究は第2次大戦中に使われていた無線機や通信機器の真空管にあった。これは日米とも同じで、兵器の電子機器が直ぐに故障する事につながり戦争遂行に多くの支障をきたした。1950年の朝鮮戦争でも米軍はこの故障で多くのジエット戦闘機を失った。これを機会に電子機器の信頼性向上の委員会ができて、半導体の進歩とともに信頼性向上の体系が出来上がってきた。



   日本でも米国から教えられた品質管理とこの信頼性工学が一緒になり、その後のQC大国へと成長を遂げた。問題は信頼性向上のコストにあり、例えば、高信頼性のロケットの部品を2個納入してくれと注文を受けたとする。この部品の検査には破壊検査をしなければならない場合、10個作って8個テストし、全部合格したから、残りの2個を出荷した。この2個とも合格する確率はたった82%しかない。それでは、20個作って18個が良品の場合は91%、50個で96%、100個で98%だから、完全に2個とも合格する保障には莫大なコストがかかる事が分かる。



   要するに信頼性向上にはコストが伴うことが分かる。信頼性はカネくい虫なのだ。どこかで信頼性と妥協しない限り、メーカーとして成り立たない事になる。月へ人を運んだアポロ計画でもこの信頼性と経費については多くの時間がさかれている。そして、この時の結論は品質管理の3シグマ管理を上回るスリーナインでという目標を決定した。99.9%まで各部品の信頼性を高めることで妥協した。アポロ13号の事故はあったが、相対的にはこの巨大プロジェクトは成功した。その後のシャトル開発でもこの思想は受け継がれている。安全とコストはどこで妥協するのか、技術開発には必ず付きまとうものである。