goo blog サービス終了のお知らせ 

ある大学教授の思い

ある女子大学で情報、統計、ファイナンスなどを教えております。気がついたことなどまとめてみたいと思います。

民主党敗北の原因

2012年12月18日 10時46分38秒 | Weblog
民主党敗北の原因
1.前回の選挙と同じように予想以上に大差がつくのが今の選挙制度だ。だから自民党が待望されていると言うよりは、民主党が自滅したと言う事だ。民主党崩壊のきっかけは小澤問題に発する。結局無罪となったのだから、やはり霞が関の謀略であったことは否めない。政権交代で既得権益集団が最も恐慌をきたしたのだ。

2.当時の小澤幹事長は政権交代選挙の立役者で最大の功労者だ。しかも脱官僚を強硬に主張していた。政権を崩す標的は絞られた。第二の標的は鳩山首相に的が当てられた。例のお小遣い脱税問題で、国税庁が暗躍した。その上に鳩山は東日本構想などというから、米国に通じる外務省にも足を引っ張られた。

3.次に出た管首相だが、不幸なことに311大災害に襲われた。小心者の彼は原発問題でもじたばたして被害を拡大してしまった。次に現れた野田に至ってはもはや独自で政策を運営する能力は皆無で完全に財務省の傀儡となってしまった。ただひたすら官僚の言うとおりに動いた。最後に党首党論で意地を見せて解散のカードを切った。

4.安倍との討論で最後に野田は、解散で意地を見せたのが命取りとなった。消費税増税という小泉でも踏み込めなかった事に手をつけて、民主党を分裂と破滅に追い込んだ大馬鹿ものと後世に名を残すことだろう。2009年8月に新たな夜明けと国民に思わせて、それを見事に裏切ったつけが今回の結果だ。

5.民主党に同情する余地があるとすれば、小澤に襲いかかった検察、鳩山には国税庁、そして管には311大災害、野田には財務省の脅しだ。誠に既得権益集団の攻撃はすざましいものだった。マニフェストの実行どころではなかったのも事実だ。またそれらの攻撃を跳ね返すだけの団結力も、寄せ集め集団の民主党にはなかった。

安倍内閣の誕生

2012年12月17日 10時29分50秒 | Weblog
安倍内閣の誕生
1.自民党が勝って安倍内閣の出現となった。投票率が60%にまで上がると、自民党単独過半数とはならないから、公明党との連立となるはずだった。それにしても投票率が低すぎた。結果的にはアホ馬鹿と言われてもしょうがない野田だ。自民党ができなかった増税に手をつけ、民主党を破壊した張本人だ。野田は社会保障と税の一体改革などと官僚の言葉を使うが、このような誤魔化しは通用しない。

2.財務省からの悪智慧で野田は一体改革などとカモフラージュしてきたが、増税分が社会保障の財源に充てられる保証は全くない。安倍内閣はそれどころか軍事費に投入する事を考えている。消費増税で庶民から吸い上げられたカネは庶民に還付される可能性は低い。後で国民はそんなつもりはなかったと言うだろうが後の祭りだ。

3.社会保障改革は、年金、医療、福祉など制度改革をまず整備して、いつまでにどのくらい必要なのかを試算して、税率を決めるべきだが、民自公は何もしないで税率アップだけを決めた。ここに大きな落とし穴があり、国民はここに落ちてしまった。自民党の大勝で消費税増税を認めたことになった。

4.3年前の政権交代で官僚支配の脱却を期待したが、安倍政権の誕生で元の木阿弥だ。霞が関では、これで元に戻ったと高笑いだ。曲がりなりにも民主党政権では役人の天下り、無駄遣いを暴いたが、財務省の操り人形野田がすべてダメにしてしまった。国民の負担増は消費税だけではなく、厚生年金保険料は2017年まで毎年上がる。来月からは復興増税も始まる。

5.国民は自民党政権を選択した。消費税増税に認可を与え、官僚支配を許し、インフレを認め、憲法改正を認めて、福祉予算を削り、原発再稼働にゴーサインを出したことになる。この事を国民はみな明確に認識すべきだ。この選挙の結果はこれ以外の 何物でもない。

円安か円高か

2012年12月16日 11時13分37秒 | Weblog
円安か円高か
1.円高か円安かの議論をもっと深めるべきだ。安倍は円安誘導と金融緩和でデフレ脱却というが、日本経済を破壊する危険な芽が潜んでいる。「円高になると輸出が減る」と教科書にある。事実、今年は貿易赤字が6兆円になるだろう。然し、内容は輸出減は僅かで、20兆円の配当金利黒字を考量しても、化石燃料の大幅な輸入増によることが分かる。

2.これは1ドルが80円での数字だが、円安で100円になれば単純計算で赤字は20兆円だ。それに、日本の輸出額は高度成長期ではGDPに占める割合は30%だったが、今では10%だ。つまり輸出立国という固定観念にいつまでも捉われてはダメだ。原発が使えない現在、油とガスの輸入拡大は欠かせない。

3.円安による輸入エネの増大で、電気、ガス、石油、ガソリンなどすべて高騰する。金利配当は黒字でも、経常収支赤字国へ転落し、長期国債金利は上昇し、それこそギリシャ状態になる恐れがある。円安誘導ではなくて、節電家電、省エネ車、地域節電、再生エネ開発など内需拡大こそがデフレ対策の有効な対策なのだ。

4.国際的に成長著しい韓国はウォン安誘導でGDPに占める輸出の割合が50%に達している。輸入燃料代が増大して、韓国国内ではガソリン代など全て高騰している。日本では電気、車などの産業が国際競争力を失ってきているが、現状の輸出力は技術力で何とかキープしている。極端な円安誘導は国を破壊する恐れがある。

投票日を控えて

2012年12月15日 10時43分00秒 | Weblog
投票日を控えて
1.石原と橋下は選挙で選出された役職を任期途中で投げ出した前科者だ。石原は衆議院議員と都知事、橋下は大阪府知事だ。マスコミ操作は上手だが、信用できない二人だ。東京は本社機能が集中しているから、何もしなくても豊かだったが、経済政策では石原は銀行を作っ て失敗した。橋下のブレーンは竹下平蔵という絶望だ。この二人からはまともな経済政策は出てこない。

2.民主党は政権運営に失敗したと石破はいうが、政権交代の立役者だった小澤が既存勢力によって潰された時に、その先は見えていた。彼が脱官僚政治指導のリーダーだったからだ。鳩山に続いて管もドタバタ政治で官僚の思う壺だった。最後の登場した野田に至っては自民党以上の官僚政治となった。

3.野田政治は政権公約を根底から覆して、財務省指導の政権運営に徹した。シロアリ退治とかムダの排除を求めた民意に反して、却って官僚の意のままとなった。復興予算の使途でも明瞭だ。役人の生活が第一とばかりに国民負担は増加し暮らしは完全に破壊されてしまう。311に続く原発事故の処理もままならぬ。

4.自民党の安倍はまるで政権を取ったかのように、何かを取り戻すと自信満々だが、過去の反省もなしに政官財癒着の政治を復活させるつもりらしい。経済無策のこの人らしく、無制限の垂れ流しを日銀に要求すると言うが、カネは今でも余っているが、使う用途がないだけだ。これ以上はムダカネを溢れさせてはダメだ。

5.原発、外交、TPP、増税、福祉、年金、防衛など争点は多すぎて、整理が付かない。その上に政党乱立で、誰が何を主張しているのかも分かりにくい。誰が次期首相として相応しいかと考えて投票する以外にはない。

47士

2012年12月14日 10時47分46秒 | Weblog
討ち入りの日
1. 今日14日は赤穂浪士の討ち入りの日だ。芝居や映画などでお馴染みの話を誰でもが知っている。さまざまな場面は殆ど創作であり史実とは程遠いことも知っておくべきだ。それだからといって、芝居の価値が減るものではない。日本人の心にしみる名作には間違いはない。歴史は殆ど後に創作されている事も知るべきだ。


2.浅野藩主が吉良上野介にいじめられて宮中で傷つけたことになっているが、浅野にはもともと心の病があり、発作的に暴挙に及んだだけだ。戯作者たちは、畳替え、服装、賄賂、塩田など様々ないじめの原因を作り出して劇的効果を狙った。上野介にしてみれば、どうして浅野に襲われたのか死ぬまで首をひねっていた事だろう。

3.浅野夫人や大石内蔵助と夫人にまつわる話も殆ど芝居用で劇的効果を狙ったものだ。義士たちには主君の仇討にかこつけた武士の一分で、恰好をつけたかったのだ。時の幕府もこれを利用して、元禄末期で乱れた世相を正すために武士の権威を取り戻したかった。47士は見事に目的を達成したが、幕府にも利用された。日本書紀をあげるまでもなく、歴史的な事実は様々な目的で作りかえられてきている。逆に言うと、いくらでも改竄できることになる。

人は如何に意思決定するか

2012年12月13日 10時18分26秒 | Weblog
意思決定の仕組み
1.脳の働きをシステム1とシステム2に分ける。S1は直観、S2は熟慮を示す。S1とS2の相互作用で意思決定がされる。事故死は病死よりも報道される機会が多いから、リスクの見積もりが高くなるが、病死は事 故死の20倍だ。人はしばしば身近な事例に引かれてS1で結論することが多い。

2.思い込みに捉われて判断する事を認知的バイアスと呼ぶ。脳の重さは体重の2%だが基礎代謝の20%も消費する。だから、S1で問題を処理して、S2の負荷を軽減しようとする。原発とかTPPなど本来S2で処理すべき事を身近な事例から票稼ぎでS1で決めてしまう。国民性の問題もある。

3.S1(ファスト)は、支配的で、攻撃的で、慌ただしくて、直観的で、表面的で、こらえ性がなく、能動的な態度で、質よりも量を重んじることだ。S2(スロー)とはその逆で、ゆるやかで、物事に注意を払い、熟慮 的で、静穏で、辛抱強く、思慮深い態度があり、量よりも質を重んじることだ。

4.ノーベル経済学賞受賞者のカーネマン教授の著書:Thinking, Fast and Slow。意思決定の仕組みを直感的、感情的な「【速い(ファストな)思考(システム1)」と意識的、論理的な「【遅い(スローな)思考(システム2)」。判断がいかに錯覚の影響を受けやすいかを示す。

雇用を生む

2012年12月12日 10時51分27秒 | Weblog
まずは雇用創出
1.皆が働き給与を貰って買い物をする事が景気を良くするという単純な事ができていない。2008年以降、金融緩和で円供給量は40から130兆円までなったが、景気は上向かない。これを流動性の罠という。カネが需要に結びつかない事だ。これ以上緩和しても円の信用が失われるだけだ。

2.何よりも重要な事は雇用を創出し、需要を生みだし安心して皆がカネを使う事だ。雇用が増え賃金下落が止まり、消費も増え税収も増えデフレも収まる。仕事は防災工事、エネルギー開発、医療介護や保育、食の開発などいくらでもある。安心や安全も得られるから貯蓄などは必要でなくなる。

3.2014年に消費税2%分で5兆円の財源ができる。5%では13兆円の増収だ。これを財政健全化や年金の赤字補填など使ってはならない。景気が上向けば自然にそれらは解消する。何よりも貴重な財源は国民の雇用創出に回さなければならない。これまでの景気対策が節約や配分という視点のみだったからあまり効果はなかった。

原発と向き合う

2012年12月11日 11時03分40秒 | Weblog
原発と向き合う
1.この世界にリスクがゼロなどというものは存在しない。リスクは左右対称で、チャンスともなりうる。好機チャンスを掴むためには危険リスクを伴うのは当然だ。ただリスクを極限にまでゼロにすることは可 能だ。頭から原発を否定するのではなくて、どこまでも危険度をゼロに近付けることは可能だ。


2.大震災に伴う電源停止で燃料棒を融解させてしまった福一の事故は人災であり、トップの決断が遅れたために生じたものだ。つまり設備は使えなくなるが、メルトダウンだけは防ぐことが可能だった。このところをよく理解して、大地震が来ても二度と同じ災害を起こさない対策はできることを知るべきだ。

3.活断層の調査が大飯では詳細に行われているが結論を出すには至っていない。要するに地震研究最先端の日本の学者でも、何が活断層なのか分かってはいない。ただどこでも大地震は起きる可能性があると地震学会でも認めている。だから、例え起きても新幹線は止まり、原発の冷却機能が維持される仕組みこそ基本的に重要なことだ。地震発生の初期段階で新幹線も原発も停止させる技術は確立されている。新幹線は停止すればそれでいいが、原発は発電を停止すれば済む問題ではない。その後、冷却水をかけ続ける仕組みを何段階にも積み上げる必要がある。東電はこれに失敗した。

4.いま日本が原発を中止すれば、最も利する国は中国であり韓国だ。現在、既に稼働中の原発は中国に30基、韓国に15基ある。世界はこれから環境問題と化石資源問題から原発に向かう方針となっている。そして、現在、原発に関して最先端の技術を持っている国は日本だ。日本が止めたら、世界中に日本よりも遅れた技術の中国や韓国の原発がばらまかれるわけだ。これは許すわけにはいかない。さらには原子力技術は日米安保の重要な課題となっている。日本だけ勝手に原発を中止する事も不可能だ。世界の安全保障体制にも影響する。最も恐れるのは、風は西から吹いてくるから、もしも中国や韓国の原発が故障したら、日本中に放射線物質がばらまかれる。


平和主義が戦争をうむ

2012年12月10日 08時43分06秒 | Weblog
宥和主義か強行手段か

ズデーテンの悲劇 Sudetenland
平和主義が戦争をもたらした
   他民族共存のEUでは未だに多くの国境や民族問題を抱えている。ズデーテン地方もその一つで、現在はチェコ領となっている。チェコ共和国の領土は東西にクロワッサンが横たわっているような形をしている。この左側半分の外側を壁のように囲っているのがズデーテン地方と言われている。第一次大戦後、この地域はチェコ領となったが、もともとドイツ人住民が多いため、ヒットラーは割譲を申し入れていた。1938年9月のミュンヘン欧州首脳会談で、英仏はドイツへの編入を認めることで欧州全体の平和を維持できると考えた。会談後、英国へ帰国したチェンバレン首相は「私は平和を持ち帰った」と自賛して合意書を掲げた。
    

    この戦争回避の宥和主義がヒットラーへ誤ったメッセージを与えてしまったことが原因となり、その後の世界大戦へとなった。ミュンヘン会談後、ヒットラーははまずオーストリアやチェコスロバキアなどを併合した。翌年になって、ポーランドのドイツ系住民が迫害を受けている(ダンツィヒ問題)と言う理由でドイツ軍はポーランドへ侵攻した。これに対して英仏は漸く腰を上げて、ドイツへ宣戦布告した。ヒットラーはミュンヘン会談の英仏の様子から、英仏が立ち上がったのが予想外のことと思っていたらしい。

   この当時、ハーバード大学の学生だったケネディーは、このミュンヘン会談を研究テーマとして卒業論文に仕上げた。そして上院議員をへて、1961年に第35代アメリカ合衆国大統領に就任した。1962年に、ソ連がキューバにミサイル基地を建設する準備をしていた時、キューバに攻撃用ミサイルが持ち込まれた事実と米国によるキューバ海上封鎖措置を発表して、大統領はキューバ国民に対して攻撃用ミサイルは何の利益にもならない事を通告した。

   この断固とした大統領の決断の背後には、ミュンヘン会談で英仏がヒットラーに対してとった態度が誤っていたとの認識があった。敢えて核戦争も辞さないとのケネディーの強硬姿勢に、フルシチョフは譲歩して後退した。このケネディーの断固とした姿勢が、その後、米ソ間での危機管理の重要性が認識されて、両国首脳の間に直通電話が設けられて、やがて両国は核軍縮へと雪解けの方向へと進んだ。誰しも戦争は望まないが、ならず者に対して妥協や宥和で対処すれば、益々相手に付け込まれる事は歴史が証明している。「平和主義が戦争を誘発する」とその後、チャーチルが述べている。

TPP(3)

2012年12月09日 10時58分50秒 | Weblog
TPPについて(3)
1.平成の開国などと言われると、殆どの日本人はまだ日本は貿易鎖国状態と思ってしまう。ところが、日本の関税率は全体平均では僅か3%程度で、すでに裸同然の状態なのだ。日本への輸入車はゼロだが、日本車には米国で3%かけられる。農作物だって、平均10%前後で、韓国やEUの20%と比べても半分しかない。


2.TPP参加予定国の中で、貿易量の80%を占める日米であるから、日本が参加しない限り米国にはメリットは少ない。だから、米国の言うなりになるのではなくて、堂々と日本の主張を通せばいいのだ。オレンジや牛肉の自由化で、ミカンや牧場が潰れると言われたが、潰されるどころか日本の品質の高さが逆に証明された。

3.*TPP:Trans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreement環太平洋経済協定 :高度成長期でがGDPに占める輸出の割合は30%だったが、現在では10%だ。資源を輸入して加工して、日本が成り立っていると言う中学校の社会で学んだ話は過去のものだ。

4.1991年には牛肉とオレンジの輸入が自由化さた。この時、国内の蜜柑農家は潰れると大騒ぎしたが、日本のミカンは更にレベルが上がり、今では輸出までされている。牛肉も同じで、NYやパリの高級レストランでは日本製ビフテキが最高部類の格付けだ。コメについても、同じになると思う。TPPの問題はモノよりも、仕事のやり方など非関税障壁なのだ。


真珠湾攻撃前後

2012年12月08日 10時08分09秒 | Weblog
日米開戦前夜
1.昔から日本は石油や鉄鉱石などの原材料が自前で産出できない。大不況を契機として1930年にアメリカが課した高関税障壁をきっかけとして、世界経済は国ごとにブロック化し、貿易量は1930年から31年の一年間に半分近くに 滅少した。貿易なしでも近代国家として生きられる領土を持っている事が必要だった。日本は極めて不利な立場となった。

2.当時の言葉でアウタルキー(autarky)、即ち「自已完結経済単位」、即ち自給自足が要求されていた。当時、持てる国は米国、英国、和蘭、仏国、ソ連しかなかった。日本は米国の強固な対日制裁を受けながらも対話をつづける努力をしていた。ルーズベルトは日本を撃つ好機到来と腹にはあったが決心できなかった。

3.この時、近衛首相は松岡外相を外せというハル国務長官の要求までのんで、本気で戦争回避を考えていた。11月26日、ハル・ノートが提出され、日本のシナからの撤兵と三国同盟に対する態度について、明確 な譲歩を求めてきた。日本はこのノートを世界から同情を買うために公表すべきだった。

4.ハル・ノートはホワイト米財務次官補が作成した。彼は戦後、ソ連のスパイだったことが明らかになっている。ソ連指導部は日本の軍事的脅威を除くため、アメリカにたいして早急なる対日参戦を唆していた。と言うのもスターリンは日本の強さを恐れていたからだ(1999年8月22日付産経新聞朝刊)。

5.東條「供述書」の最後で、あの戦争が国家自衛戦だったことを縷々と述べている。これは、マッカーサー元帥が、米上院軍事外交合同委員会(1951年5月3日~5日)で発言した証言と全く論旨が同じなのだ。マッカーサーは、「日本には固有の原材料がない。石油も産出しないし、錫(すず)・ゴムといった多くの原料がない。もしこれらの原料の供給が断ち切られたら、一千万人以上の失業者が発生する。だから、彼らが戦争に突入した主たる動機は、自衛のためだった」と言っている。


TPP(2)

2012年12月07日 11時42分37秒 | Weblog
TPPについて(2)

多国間貿易交渉
国際貿易協定
   国連のWTO(世界貿易機関)は貿易に関するルールを取り扱う唯一の国際機関で、2007年3月現在、150ヶ国もの国々が参加している。WTOの目的はモノ・サービスなどの貿易がルールに基づいて円滑に行われることを助け、加盟国間の貿易紛争を解決し、更に自由で公正な貿易を進めるための多国間貿易交渉(ラウンド)を開催することだ。1995年に前身のGATT(関税および貿易に関する一般協定)が解消されてWTOが成立した。GATTは協定に過ぎなかったが、WTOの決定は強制力を伴う強力なものだ。これまでにも何回もラウンドが開かれているが、様々な分野で合意に達することは不可能であろう。そこでEPA,FTA,TPPなど他の形で2国間あるいは多国間での貿易交渉が盛んとなってきている。TPPについては既に日本から参加が表明されているが、相変わらず国内では賛否両論で賑わっている。

     当ブログでは、これについて特に反対や賛成をしてきたわけではなく、どちらかと言えば消極的賛成で態度を曖昧にしてきた。WTOの例を見ても多国間の貿易交渉がそう簡単にまとまるわけがなく、あまり無駄なことに精力を浪費する必要はないと思っているだけだ。基本的な態度は前述のWTOの精神にある通り、自由で公正な貿易を進めて、相互に発展して行くべきというのは正しいと思う。書店で見る限りTPP反対論の方が多いが、新書版で気軽に読める代表的なもの反対と賛成の内容を紹介しておきたい。

    中野剛志著「TPP亡国論」集英社新書。住宅ローン、リーマンで躓いた米国が巻き返しを図る戦略ととらえて、戦略物質である穀物類の輸出先の標的を日本としている。TPPを許せば、社会的文化的な規制や慣行まで侵され、デフレと格差は拡大し、ひいては、食の安全、医療、金融に至るまで弊害が発生すると懸念している。日本が取り組むべき事は、公共投資による需要作りというケインズ的な手法が重要と締めくくっている。いまさらケインズかと思う。

    戸堂康之著「日本経済の底力」中公新書。デフレ解消と震災復興のためには、海外との貿易、投資、知的交流を活発化させることがポイントという。日本の持つ高度な技術を生かして、震災地を始めとする各地に産業集積を結集することだ。関税については日本ではなくて他国の関税の存在を問題とすべきである。日本独自の農産物は付加価値を高めることで輸出産業となる。日本独特の文化はアニメなどと共に海外での需要は高い。グローバル化の流れに逆らうことはできない。

    こうして並べてみると、やはり、消極的な賛成論に歩があるように思える。原則は自由貿易という枠の外で日本が生きていけるとは思えないからだ。1970年からの高度成長期には、日本のGDPの40%は輸出産業で稼いでいたが、現在はわずか10%となっている。それだけ国内でのものやサービスで生み出す価値に依存している事が分かる。日本が21世紀において国際的に確かな地位を占めるためには、国際間の自由で公正な取引を欠かすことはできない。また国際的な取引の盟主としての日本の地位を確定したい。

TPP(1)

2012年12月06日 09時23分25秒 | Weblog
TPPについて(1)

言葉の障壁

英語と日本語の間
日本語特有の表現、あからさまな否定を避ける心、本音とたて前など日本外交でも数々の問題を引き起こしてきた。中でも、1960年代から70年代にかけての繊維交渉と沖縄返還交渉では、佐藤首相が「善処する」と言った言葉を、ニクソン大統領は「事は決着した」と誤解して、後で「嘘つきジャップ」と罵ったと言われている。その後の、頭ごなしの「米中国交回復」や「10%一律関税」などにニクソンの怒りが示された。



長年、異国に住んで仕事をしていると言葉は堪能となり、その国の国民性や文化にも精通する。長所や短所もよくわかっている。仕事上、頭にくることもいろいろと出てくる。母国に帰ると、つい体験してきたことで、言いたくなる事もあるであろう。しかしながら「暗黙の了解」とか「目は口ほどにものを言い」などという意味を理解できる米国人はライシャワー博士とキーンさんぐらいであろう。だから、本当の事は引退してから言うべき事だった。


   国会でも「オープン」という誰でも知っている日本語が使われている。1980年代であるが、日米の貿易不均衡が、現在の米中のような関係だった。1ドルが260円前後という円安が、その一つの原因だったが、それよりも、日本市場が開放されていないとの主張が米国側からしきりに出されていた。日本側からみると、十分に日本市場は他国と比べても開放されていても、日本には産業構造上や個人の意識の上での障壁が大きく、米国内の日本企業と比べると、米国企業の日本への進出は難しいと言う結論になる。



  「オープン」は「開放」としか訳しようがないが、何を基準としてオープンと言うのかの尺度が異なれば、交渉はすれ違うのは当然だ。このあたりの問題から、1980年代後半に日米構造協議なるものが米側から提案されて、数々の要求事項が毎年、米国から提案されてきた。その中の一つに、日本国を揺るがした郵政民営化もあった。さらに、この延長上に現在のTPPがあることを忘れてはならない。


選挙戦

2012年12月05日 10時30分18秒 | Weblog
選挙戦が始まった
1.愈々、日本の将来を決める戦いが開始された。誰に投票するか判断に迷う。有権者の半数は「支持政党なし」とか「未定」だ。争点は増税、原発、TPP、国防外交だが、誰が首相になって欲しいかなら争点は1つになる。安倍か、野田か、石原か、小澤かの4人に絞られている。この中にはいなければ、弱小政党に投票すればいい。日本の未来を見つめて考えたい。

2.デフレ下での増税には反対だが、脱中央集権から消費税はいずれ地方税とするべきだ。景気回復で増税をして、財政赤字削減をする。日本にとっても重要な貿易交渉は欠かせない。TPPに限らず二国間、三国間などのさまざまなカードをもつことで、二股どころか三股作戦を展開できる。原発はできるだけ活用する事で日本経済の発展を支えることができる。

3.自然災害を防ぐことはできない。然し、災害による被害を最小限にすることはできる。地震に対しては、原発に限らず新幹線でも危険度は同じだ。いつどのような災害が起きても、絶対にメルトさせない、絶対に転覆させない二重三重の対策を講じることだ。福島の事故は明らかに東電と政府の人為的なものだった。つまり人災なのだ。災害は起きても被害を最小限にできる対策はいくらでも考えられる。

天井落下事故

2012年12月04日 10時42分04秒 | Weblog
トンネル天井落下事故
笹子トンネル事故
   杞の国のある男が、天が崩れ落ちてくるのではないかと心配し、食事ものどを通らず、夜も眠れずにいた。心配する必要のないことを心配する事で、取り越し苦労を杞憂という。トンネル通行中に天井が落ちてきたらなどと、これまで考えた事もない。原発に続き日本国の安全神話に水をさす大問題だ。

   歴史的には宇都宮城釣天井事件がある。元和8年( 1622)、下野国宇都宮藩主で江戸幕府年寄の本多正純が宇都宮城に釣天井を仕掛けて、第2代将軍徳川秀忠が日光東照宮へ行く時の宿泊を利用して、暗殺を図ったなどの嫌疑を掛けられた事件だ。本多家は改易され、正純が流罪となった。本多家は家康の第一参謀だったが、家康没後、その権勢がうとまれていた。

   国際標準機構ISOの品質管理や環境管理が日本に持ち込まれて、普及し出したのはちょうどバブル崩壊の時期と重なっている。どうもそれ以来、製造業、土木建築工事、食品業などに様々な事故が増えてきている。国際標準は書類の上での審査が主体だから、指示命令の通りにすれば、それでいいという世界だ。それまでの日本的な品質管理は、書類などはどうでもよく、実質的によいものを目指して、とことん追求するやり方だった。

   このようなトンネルの釣り天井の構造には欠陥があるのではないかと思われる。ボルトでパネルを固定する方式で、ボルトそのものには張力(tension)がかからない使い方をするのだが、報道されているボルトを見ると、天井に垂直にボルトを固定している。これではボルトに緩みがでたら、抜けやすくなるのは当然だ。航空機構造では絶対にこのようなボルトの使い方はしない。ボルトにはせん断力が働くように使う。