綿繰りが終わった綿は、まだ紡ぐことはできません。
(*その気になれば紡ぐことはできます)
写真はカード掛けをした緑綿です。
この状態をローラグ
(日本特有の呼び名もありますがこれは後に紹介します)と呼びます。
カード掛けとは主に羊毛をほぐす技法ですが、繊維の細いメリノなどに使われている
針の細いハンドカードを使うと、綿もほぐすことができます。
最近では綿専用のハンドカードも売られています。
ハンドカードは猫用のブラシを大きくしたものを想像していただければよいです
二本のカードを使い、片方の針の上に綿を置きそれをもう一方のカードですくいます。
最近はYouTubeなどでも紹介されていますから、検索してみて下さい。
写真はカーディング途中の緑綿です。
これをカードから外して、巻いたものがローラグです。
ふんわりとして繊維もそろい紡ぎやすくなりました。
日本にはこのカード掛けに代わるものとして、古来から「綿打ち」技法があります。
弓の弦の部分に綿を置き、弦のはじきによって起きる振動で綿をほぐします。
ただこれがなかなか難しくて、慣れると多分良いのでしょうが
とにかく綿ぼこりがすごい
もう、半端ない そこいらじゅう綿 綿 綿
納屋ならともかく、住居の屋内では無理と思い諦めました
この先、カーディングで綿打ちを続けるには、時間と手間労力が必要になります。
それは分かっていたことでしたが……
織りに進めないもどかしさでいっぱいでした
そこで友人からのアドバイスで布団屋さんに頼むことになりました。
白綿1kgは引き受けて下さいましたが、色綿は断られました。
布団屋さんにとって1kgの綿打ちでは効率が悪いのでしょう。
それに色綿を綿打ちドラムに入れると
作業後、いくら掃除してもドラムに付いた色綿を
取り除くのは大変で、後のお客さんの綿に混じると信用問題になるからと
この先の依頼は断られました。
御商売ですからもっともなことです。
県内は諦め、鳥取、山口、愛媛‥などの布団屋さんに問い合わせても
廃業したお店も多く、もうカード掛けしかないかと諦めかけていた時
友人がネットで見つけた栃木県の布団屋さん
全国から自家製綿の綿打ち依頼があるらしく、色綿も打ってもらえるということでした。
さっそく電話したところ
洋綿、和綿 もちろん茶綿 OK
でも緑綿はあまりに繊維が細くて弱いので断られました。
ただし… すべて4㎏以上でなければ引き受けられないとのことでした。
洋綿4㎏、和綿4㎏、茶綿4㎏ 合計13㎏の綿
友人が半分を引き受けてくれることになって
この量の綿を用意できたのは、この時から一年半後
綺麗に綿打ちされ折りたたまれた綿が届きました。
参考資料
発行元 スピンハウスポンタ
2004年5月発行 はじめての糸紡ぎ スピナッツの本棚・2