聞いたことがある人も飲んだことがあるという人もいるかもしれない。
しかし、私はこの存在を今まで知ることがなかった。
この言葉との出会いはつい最近のことだ。
先日部室のソファーに座り竹中氏と西田氏が話していた。
「今年のタンポポコーヒーの出来は良かったな!」
「あぁあれは美味かった」
「近年まれにみる美味さだったな」
そんな声が聞こえてきたのだ。
コーヒーが好きな私としては反応せざるを得なかった。
そんなコーヒーがあるのかと自分の無知さを呪ったほどである。
この二人にお願いしてタンポポコーヒーを飲ませてもらおう。
こう思ったのがきっかけで「野人の会」を知ることになる。
さっそく2人に話を持ちかけてみる。
「もうタンポポがたくさん採れる時期は過ぎちゃったんですよ」
「やっぱり飲むのなら旬のものじゃないと…」
と渋る2人になんとか熱意を伝え
秘伝のタンポポコーヒーを作ってもらえることになった。
さっそく原料となるタンポポ集めからスタートである。
「あっちに大きいのがあるんですよ」
そう言って竹中氏はスコップ片手に歩きだした。

西田氏もスコップを使い採集を始めた。

タンポポ採集に同行させてもらって分かったことがある。
タンポポの採集方法には2パターンあるということだ。
○根が途中で切れてもいいからたくさん集める方法
○深くまで掘り根を無駄にしない方法
である。
前者が竹中氏の方法であり、後者が西田氏のものだ。
西田氏が採った根がとても長く感動していると
「こんなものは山中さんが採ったものに比べればまだまだですよ」
と言われてしまった。
ある程度集まったので採集を終え
次の工程へと進む。

「コーヒーは根の部分を使って作るので、葉はもったいないですけど思いきって捨てちゃいましょう」
まず、採れた根を良く洗う。

「この時、根の皮が剥がれ落ちない優しくやるのがポイントです」
「皮の部分がおいしさの秘訣ですからね」
そう言って
優しくかつ丁寧に洗っていく2人。
次に根を細かく刻む。

「本来ならうちにある自作の石包丁でやりたいところなんですがね」
「こういうことするときは近代の文明には出来るだけ頼りたくないんですよ。
普段の生活は別ですけどね(笑)」
と熱く語る2人。
「野人の会」の名にふさわしい発言であると感じた。
最後に水に浸して灰汁を抜く。

明日になったら
水をきり風通しの良いところで乾燥させるそうだ。
「乾燥させるから一週間待って下さい。おいしいコーヒーを飲ませてあげますよ」
こうして今日の作業は終わった。

「旬は過ぎてるがなかなかイイものもあったな」
そう語り合いながらくつろぐ2人。
完成が楽しみである。
次回に続く