対話 共謀

「どうでした？」
「・・・どう、とは？」
「あの場で意見を吐きだしてきた感想はいかがでしたか？」
「ブログに書くだけよりは多少建設的だったと思うよ。けど、ちょっと感情的に過ぎたかな。実際問題、通じたものかね？俺の言いたい事」
「全くの肩すかしというわけではないと思いますよ。実際食いついた方もいらっしゃったじゃないですか」
「あの人は当事者だからね。全く関係無い人にとってはウンともスンともならないよ」
「当事者にならなければあれはわかりません」
「言いたい事はあれであってるんだ。問題は言い方、伝え方だ」
「最終的な問題はそこですね。最低限の技術は必要だと」
「今回は時間が少なすぎた。次だな」
「万全に準備したうえで挑まなければいけませんね」
「相手を動かすには数字か、エピソードか、利益か恐怖か」
「ある種の啓蒙ですね。難しい事です。それこそ自分の人生を注ぎ切る位の覚悟で臨まなければ何も残りません」
「相手の心の中に同じ種があれば楽なんだ。こちらがほんの少しの刺激を与えれば、勝手に芽を出してくれる。問題はその種が無い人」
「世の中大半が後者です。そんな都合よくいけば世界は平和です」
「世界とか国とか言うと足元が浮くんだよね。あまり使いたくない言葉だ。その概念を否定する気はないけれど」
「五感でわかるモノを頼りに進みましょう。的外れになるかもしれませんが、少なくとも空中分解する事は無くなると思います」
「実現できなければただの概念か」
「どんな立派な志でもそうなりますね」
「けど言わなけりゃ何も進まない」
「言わなきゃ周りが勝手に進んでいくだけです。より声の大きい人を中心にね」
「本当不公平」
「ルールを変えたいならまず既存のルールで勝ち抜かなければいけない。しかしそのルールは既存の権益者にとって都合の良いものであるのが常です」
「しゃらくせえ」
「とにかくやってみましょう。考えるのはタダです」
「考えすぎて泥沼にはまらないか不安だ」
「大丈夫。もう引き返せるところは通り過ぎてます。毒食らわば皿まで」
「それ決して良い言葉じゃないよね」
「そう気を張らずに。別に貴方一人がめちゃくちゃやったとして壊れる世の中ではありません」
「それが救いであり、絶望でもあり」
「期待しなければいいんです。ただ全力を尽くして、結果を観測する。それでも楽しいものだと思います」
「それが自己満足に過ぎなくても？」
「自己満足では済ませません。祝杯を挙げる時は一人で、倒れる時は周りを巻き込んでやります」
「本当に本当に性質が悪い」