梅雨の合い間な今日の午後 (瓜獄で5題より*瓜獄同盟さん)
03 炎不足
びちょびちょに濡れたからだ、拭いてもらうのはママンがいい! きょうこでもいい! って思って勢い良く逃げ出したトコで、
……にょお?
かくん、て前足にちから入らなくなってつんのめってコケ、た。
にょおお?
勢いが付いてて止まれなくて、縁側からたたみの上、ごろごろ転がってテレビの台にぶつかって止まった。
「……にょっ!?」
ぱちぱちまばたきして、現状を把握する。
今、なにが起こった!?
あおむけで、大の字で、片足テレビの台にひっかけたまま呆然としてたら、つなのママンにやさしく濡れたからだふきふきされる。
ふきふきされるのが気持ちよくて眠たいみたいな感じ、なんだけど、なんかちょっと気持ち悪い、気も、する。……にょほん……?
からだにちから入らなくて、ママンにされるがままにうにょうにょする。だるだるする。
この感じは、あれだ。
「にょぉ、にょぉ」
拭いてくれてるママンの手、ニクキュウでぺちぺちする。ごくでら、ごくでら呼んでー。
ママンは、あらあらどうしたの? って頭撫でてくれて、それから両手でぶらーんて抱っこして、どうしたの? ってのぞき込んできたから、にょおん、てないたら、そういえば猫ちゃんのおやつまだだったわねーっていそいそキッチンに行った。
……にょぉ。
お、や、つ。
おなかへった、ことは伝わった。けど。
ママンに抱っこされなくなって、たたみの上にぺったり伸びる。尻尾ぺしぺしして探してもごくでらいない。
ごーくーでーらー。
おやつのミルクもにぼしもおしいいけど、そうじゃなくて、それじゃなくて。
火ぃくれ!
……て、前にいったら、それ聞いてたナッツが、瓜もタバコ吸うの!? ってびっくりしてた。つな並の思考回路だと思った。次郎はそういやはらへったなー、てのんびりしてた。やまもと並ののんびりだと思った。
とか、思い出してる場合じゃなくて、おなかとせなかがひっつくー、ごくでらどこいったー、死ぬ気の炎よこせー。力なく両手、ぱたぱたたたみ叩いたら、せなかなでてきたきょうこが、
「ツナ君の炎じゃダメなの?」
「えー、ダメなんじゃないかなあ。クロームのフクロウみたいに属性変わっちゃったら大変だし」
「そんなことあるんだね?」
「あるみたい」
獄寺君、ホースしまいに行っちゃったんだよね、早く戻ってこないかなあ。
つながぼやくのを聞きながら、このさいなんの炎でもいいからくれ! って思ったけど、
「………………にょおん」
ごくでらがさっさと戻ってくればいいだけだ、とかも思う。
思ってたら、十代目片付け終わりました! ってこっちは死にそうなのにバカみたいに元気にごくでらが戻ってきて、このやろーーー、って飛びついた。
ほのおよこせーーーー。
顔面にミラクルジャンプで飛びつくつもりだったのに、ちから足りなくて、ごくでらの腹にひっかかった。爪立ててしがみついて、尻尾ぺちぺちして、ほ、の、お、ほ、の、お!
死ぬ気で催促してるのに、ごくでら、
「あぁ?」
なにやってんだ、って、か弱い子猫を! 愛らしい子猫を! ぺって振り払った! ぺって!
「んにょ!?」
あまりの仕打ちに、ぺってやられたまま、ぺってやられた先の縁側でにょにょと打ちひしがれる。おなかいっぱいだったら五十倍返しくらいしてやるトコだけど、なんかもうその気力もない。
にょーーーーー。
このままだともうすぐ、じ、えんどおぶ、おれ!
みじかい生涯でした。いままでありがとう。ごくでらのせいでぐっばいです。
「……なんか変わった芸風でスネ始めたから、獄寺君、炎あげてあげてよ」
つなに抱っこされる。ごくでらに差し出される。
ごくでらは面倒そうにタバコくわえて、
「今のうちに匣にしまっちまいます」
あ、そう? ってつなはそれもいいかもって納得しかける。こら待てつな! そこ納得するとこと違う!
にょっ、にょっ。
匣はいやだー。死んでもいやだー。ころすならシャバでころせー。助けろー、たすけて、きょ、う、こ。
うるうるした目で、一番まともそうなきょうこにたすけもとめたら、愛らしさが伝わったのか、哀れさが伝わったのか、なんかわかってんのかわかってないのか、
「ツナ君のお母さんがおやつ持ってくるから、急に瓜ちゃんいなくなっちゃったら変だよ?」
ナイスなこといった!
ごくでらは、猫が気まぐれにどっかいったっておかしくねーじゃねーか、とかいいながらも、そのあほでゆたかな想像力で、あら猫ちゃんいなくなっちゃったの? とがっかりしたママンを思うい浮かべて、しょーがねーなー、ってリングに炎、灯した。ぼんごれリングに。ぼんごれとか、どーでもいいけどっ。
ほのお!
いただき!
「にょおん!!」
復活!!
猫ちゃんおやつよー、ってママンがちょうどきたから、ごくでらの横っ面両後ろ足で蹴飛ばしてママンに飛びついた。勢いでよろけたごくでらが、ごくでらを助けようとしたつなと一緒に庭に転がった。
「にょおおーーん」
ざまーみろーーー。
03 炎不足
びちょびちょに濡れたからだ、拭いてもらうのはママンがいい! きょうこでもいい! って思って勢い良く逃げ出したトコで、
……にょお?
かくん、て前足にちから入らなくなってつんのめってコケ、た。
にょおお?
勢いが付いてて止まれなくて、縁側からたたみの上、ごろごろ転がってテレビの台にぶつかって止まった。
「……にょっ!?」
ぱちぱちまばたきして、現状を把握する。
今、なにが起こった!?
あおむけで、大の字で、片足テレビの台にひっかけたまま呆然としてたら、つなのママンにやさしく濡れたからだふきふきされる。
ふきふきされるのが気持ちよくて眠たいみたいな感じ、なんだけど、なんかちょっと気持ち悪い、気も、する。……にょほん……?
からだにちから入らなくて、ママンにされるがままにうにょうにょする。だるだるする。
この感じは、あれだ。
「にょぉ、にょぉ」
拭いてくれてるママンの手、ニクキュウでぺちぺちする。ごくでら、ごくでら呼んでー。
ママンは、あらあらどうしたの? って頭撫でてくれて、それから両手でぶらーんて抱っこして、どうしたの? ってのぞき込んできたから、にょおん、てないたら、そういえば猫ちゃんのおやつまだだったわねーっていそいそキッチンに行った。
……にょぉ。
お、や、つ。
おなかへった、ことは伝わった。けど。
ママンに抱っこされなくなって、たたみの上にぺったり伸びる。尻尾ぺしぺしして探してもごくでらいない。
ごーくーでーらー。
おやつのミルクもにぼしもおしいいけど、そうじゃなくて、それじゃなくて。
火ぃくれ!
……て、前にいったら、それ聞いてたナッツが、瓜もタバコ吸うの!? ってびっくりしてた。つな並の思考回路だと思った。次郎はそういやはらへったなー、てのんびりしてた。やまもと並ののんびりだと思った。
とか、思い出してる場合じゃなくて、おなかとせなかがひっつくー、ごくでらどこいったー、死ぬ気の炎よこせー。力なく両手、ぱたぱたたたみ叩いたら、せなかなでてきたきょうこが、
「ツナ君の炎じゃダメなの?」
「えー、ダメなんじゃないかなあ。クロームのフクロウみたいに属性変わっちゃったら大変だし」
「そんなことあるんだね?」
「あるみたい」
獄寺君、ホースしまいに行っちゃったんだよね、早く戻ってこないかなあ。
つながぼやくのを聞きながら、このさいなんの炎でもいいからくれ! って思ったけど、
「………………にょおん」
ごくでらがさっさと戻ってくればいいだけだ、とかも思う。
思ってたら、十代目片付け終わりました! ってこっちは死にそうなのにバカみたいに元気にごくでらが戻ってきて、このやろーーー、って飛びついた。
ほのおよこせーーーー。
顔面にミラクルジャンプで飛びつくつもりだったのに、ちから足りなくて、ごくでらの腹にひっかかった。爪立ててしがみついて、尻尾ぺちぺちして、ほ、の、お、ほ、の、お!
死ぬ気で催促してるのに、ごくでら、
「あぁ?」
なにやってんだ、って、か弱い子猫を! 愛らしい子猫を! ぺって振り払った! ぺって!
「んにょ!?」
あまりの仕打ちに、ぺってやられたまま、ぺってやられた先の縁側でにょにょと打ちひしがれる。おなかいっぱいだったら五十倍返しくらいしてやるトコだけど、なんかもうその気力もない。
にょーーーーー。
このままだともうすぐ、じ、えんどおぶ、おれ!
みじかい生涯でした。いままでありがとう。ごくでらのせいでぐっばいです。
「……なんか変わった芸風でスネ始めたから、獄寺君、炎あげてあげてよ」
つなに抱っこされる。ごくでらに差し出される。
ごくでらは面倒そうにタバコくわえて、
「今のうちに匣にしまっちまいます」
あ、そう? ってつなはそれもいいかもって納得しかける。こら待てつな! そこ納得するとこと違う!
にょっ、にょっ。
匣はいやだー。死んでもいやだー。ころすならシャバでころせー。助けろー、たすけて、きょ、う、こ。
うるうるした目で、一番まともそうなきょうこにたすけもとめたら、愛らしさが伝わったのか、哀れさが伝わったのか、なんかわかってんのかわかってないのか、
「ツナ君のお母さんがおやつ持ってくるから、急に瓜ちゃんいなくなっちゃったら変だよ?」
ナイスなこといった!
ごくでらは、猫が気まぐれにどっかいったっておかしくねーじゃねーか、とかいいながらも、そのあほでゆたかな想像力で、あら猫ちゃんいなくなっちゃったの? とがっかりしたママンを思うい浮かべて、しょーがねーなー、ってリングに炎、灯した。ぼんごれリングに。ぼんごれとか、どーでもいいけどっ。
ほのお!
いただき!
「にょおん!!」
復活!!
猫ちゃんおやつよー、ってママンがちょうどきたから、ごくでらの横っ面両後ろ足で蹴飛ばしてママンに飛びついた。勢いでよろけたごくでらが、ごくでらを助けようとしたつなと一緒に庭に転がった。
「にょおおーーん」
ざまーみろーーー。