羊の歌

見たこと。聞いたこと。考えたこと。
感じたこと。・・・思いのままの手記

浦島太郎

2010年04月15日 08時55分22秒 | 生活

 「浦島太郎」の話は、あまりにも有名である。昔小学生二年生だったと思う。学芸会の劇で「浦島太郎」をやることとなって、私は、どういうわけか、「カメ」の役だった。浜辺で、村の子供たちにいじめられている場面から始まるのだが、その「カメ」の役で、舞台の上で、同級生から本当に蹴とばされて、泣き出して、見ていた観客が、笑ったり、気の毒がったりしたことがあったと、実母が生きていた高校生の頃、教えてもらって、今も覚えている。その時「浦島太郎」役が誰であったかは、覚えていない。浦島太郎は、その時、カメを助けて、竜宮城に行き、帰る時に「玉手箱」をもらって帰ってきたが、浜辺の様子がまったく違っていた。通りゆく人にも顔見知りがなく、意気消沈して、竜宮城からもらってきた「玉手箱」を開けた。すると、太郎は、見る見るうちにおじいさんになってしまった、という昔話である。

 なぜ、誰もが知っている昔話を、引っ張り出したかというと、昨日のことである。私は、久しぶりに市役所へ行ってみた。窓口にいる若い女子職員、係長席や課長補佐席に座っている職員、周りの職員はまったくの知らない人ばかり、わずか、課長席にいる者だけが、「久しぶりですね、お変わりありませんか」と、声をかけてくれ、奥に陣取っている部長室に足を運ぶと、この4月の異動で、昇進したほやほやの部長が、「お元気そうですね」と、声を掛けてくれた。つい数年前までは、市役所に頻繁に出入りしており、上は市長さんから末端の職員に至るまで、誰ひとりとして知らぬ者はなかったのだが、わずか数年で、様変わりである。まさに「浦島太郎」なのだ。

 この3月には、自分より二級年下の者たちが定年を迎え職場を去っている。あと数年たてば、ほとんど全員知らない人ばかりになってしまう。時間の問題である。何とも寂しい限りである。時の流れには逆らえないものだが、こんなふうに、年を取るということの“重み”を痛切に感じ取った一時であった。
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