熊野詣でのメインは、何と言っても「熊野本宮大社」への参詣である。かつては大斎原(おおゆのはら)のある熊野川の中州にあったそうだが、明治時代に水害にあい、流失を免れた社殿三棟を現在地に移して再建された。熊野本宮大社の宮司・九鬼家隆さんは、南紀最凶と言われた「九鬼水軍」の末裔なのだそうだ。(「九鬼」の「鬼」の字には、本来、上の点はなく、角を抜いて神になったといういわれがあり、「政」まつりごとを行うという意味を持っている)熊野三山の中心的「社」であるこの大社は荘厳で、まさに「聖地」にふさわしい。けわしい「熊野古道」を歩いてきた人々は、それぞれの「願い事」を心に秘めて、大社に鎮座まします神々に、祈りをささげたのだと思う。あまり「神」を崇めることのない私も、足腰が強くなることを願った。
大きな鳥居をくぐりうっそうとした木々に包まれる参道の先には、158段を数える石段があるのだが、私は、石段を登るのをやめて、車で回り道をして、境内に通ずる道を走り、裏手から入った。熊野古道から歩いてくる参詣者たちはこの裏手から入るのだという。しめ縄のかかった荘厳な神門をくぐると、大杉を背に従えて厳かに古風な社殿が建ち並んでいる。その社殿が素晴らしい。あの「伊勢神宮」や「出雲大社」にも負けずとも劣らない。とりわけ、桧皮葺(ひわだぶき)の社殿(重要文化財に指定されている)は、背後にうっそうと繁る森と調和して、何とも言えない雰囲気を醸し出している。境内には八咫烏の像が黒色のポストの上に乗っていた。このポスト投函もでき、八咫烏ポストから投函したこともわかるようになっているとのこと。私たちは、霊験あらたかな思いを新たにして、「熊野本宮大社」をあとにした。
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