平屋の鉄道官舎の家の前や後ろには
畑を作るスペースが必ずありましたね
大抵は縁側や南向きの窓の先に
洗濯物を干す場所と畑を作るための土地がありました
駅によって家から離れた場所にも
其々の職員の家庭に管理を任せた畑や室があり
直別時代は全部がフルにそろってました
家の南側、縁側の先には子供目線でとても広いスペースがあって
パパが作ってくれたブランコがあったり
レオが鎖につながれずに暮らすスペースがあったり
イチゴ畑を何畦か作ったり
ダリヤやグラジオラスみたいな大きな花が咲いていたり
あまり野菜は植えてなかったけど
或る年ビニールハウスを作ってたこともあったね
私はあのムーッとする匂いとじんわいとした暑さが大好きで
ビニールハウスに何度も入った
トマトを主に作ってたね
トマトとビニールと土の混ざった匂い
今でも思い出すけど入ってみたいです
あの当時パパが骨組みを建て
折りたたまれて売られていたビニールを広げて
パパとお母さんと二人で貼ってたね
一年しか持たないビニールは
次の年にまた張り替えるけど
どこかに穴が開いたり雨水が溜ったり
でも夏の朝の採れたてトマトが懐かしい
ちゃんとドアの形になっている入り口から
中に入ると小さな宇宙みたいでワクワクした
若い日のお母さんはビニールハウスで野菜を作り
その傍らで木の柱に竹竿を渡した物干しに洗濯物を干し
とても忙しそうだったけど
自然の中でとても生き生きと働いてた
あの頃はみんなが野菜や花のように生き生きと元気で
枯れることを知らず成長に向かっている毎日だったね
今年の春はまだまだ寒くて
うちのフルーツトマトの苗も
大きくなれなくて可哀そうです
手柴をたててビニールを張り巡らして
守ってあげようかと思ったりしたよ
お母さんは花や野菜を大切にし
動物を可愛がり家族を愛し
自然を愛でる人でした
私もそんな人になりたいと思うけど
もう遅いかな?