茶飲みばなし2

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光る君へ第27回「宿縁の命」を見る

2024-07-15 15:32:08 | 大河
これまでも、愛の力で史実から軽やかな跳躍を続けてきた本作ですが、
大弐三位まで道長の子としたことに驚きました。
しかも、どちらの子か定かではないというようなあいまいなことにはせず、
道長としか「してない」とはっきりさせる展開にしたのも潔いところです。

いとがまひろの妊娠に気づくのは良いとして、
本来、秘め事であり、通常のドラマなら水面下でなされるはずの、
最終月経から産み月と「いたした」時期まで推定し、
宣孝が父親でないことを確認にしたうえで「全力で押し通す」ことを勧めるあたりが、
愛が歴史を動かす本作らしいところです。

前回、さっそく若い女にうつつを抜かすスケベ親父として急落した宣孝株ですが、
不実を理由に別れを切り出したまひろに対し、
「そなたが生む子はわしの子だ」「不実な女でも良いと答えたのはこういうこと」と
少女まんがの王道の「そんなキミが好き」を発動して、一気にストップ高です。

一方、無口な彰子をなんとかしようと、久々に赤染衛門が登場します。
しかし、書も和歌も学び終えた彰子に衛門が教えられるのは、
色目から始まる(さすがに放送できない)「閨房の心得」くらいでした。
それにしても「ふだんの声」というセリフが、これほど示唆的になるとは。

ならばと、道長は彰子の屏風に貼るとして公卿らの歌を集めます。
実資の言うように高い身分の公卿が屏風歌を作る「先例はない」ようですが、
帝へのアピール以上に公卿たちに忠誠を誓わせる道具となりました。
ここでも、愛から発しているはずが誰も死なないのに政治が動いていきます。

そんな状況にあって、まだ逆転のチャンスをねらう伊周はますます取り残されていくし、
あの軽率な隆家の方がずいぶん世間が見えています。
定子の出産にあたり、鳴弦の儀を行うのが定子の兄弟二人なのは、
豪華メンバーなのでしょうか。
もうこの二人しかいないとみるべきなのでしょうか。

まひろも子を産みました。
1991年まで30歳初産が高齢出産だったことを思うと、29歳のまひろには大変です。
むろん、鳴弦の儀などありません。
定子の出産には僧侶による読経が響いていましたが、
まひろの方は乙丸と福丸がムニャムニャいうだけです。
無事を願う思いだけは負けませんが。

というわけで、今回の秀逸は、
再会に心が震えつつも和紙を「おねだり」するまひろのちゃっかりさんでも、
懸帯が物忌みの印であることを思うと、仏前でいかがなものかな道長の封印切りでも、
重い役目にオホホホホと言いつつ、墨と紅は忘れない宣孝の俗物なりの有能さでも、

子ができたことを素直に喜ぶ帝と比べると、
「子を産むことなど許されぬ身」と世情が見えている定子にはけっして戻らぬ権勢でも、
きちんと揃っていた伊周、隆家の鳴弦の儀と比べると、
200年近い時が流れ、どこか形式的だった「鎌倉殿の13人」での上総広常の蟇目でも、

筋を通して歌を作ることは断るものの、やはり気になる実資の野次馬根性でもなく、
あからさまな権力欲の発露でしかない彰子の中宮立后を、
あくまで晴明の発案、国家安寧のため、道長の体調も回復するからと、
実はガラスの魂の道長に配慮していろいろと正当化する脚本のやさしさ。

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