今日はちょっと悲しいことがありました。
私は
『化学物質過敏症の方の家づくり』
『電磁波過敏症の方の家づくり』
を長年続けてきております。
と申しますのも約30年前、健康住宅の”け”の字もなかった頃から住宅に使われる化学建材の危険性を指摘してきた設計事務所のひとつで約10年、設計担当として家づくりのお手伝いをしてまいりました。
1980年代から住宅に使われる化学建材の危険性を叫び続けてきた設計事務所は数社あります。「健康住宅の先駆者」、「健康住宅」などで検索していただきますと4、5名の方のお名前が出てくると思います。その中のひとりは残念ながら既にお亡くなりになってしまいました。また自ら化学物質過敏症を発症しながらも現在もコンサル業務を続けておられる方もいらっしゃいます。
私はその中のひとりに師事し、化学物質過敏症の方や電磁波過敏症の方の家づくりのお手伝いをしてまいりました。
現在も化学物質過敏症の方(CS)、電磁波過敏症の方(ECS)の方から相談を受けることがあります。
さて、話は本題に戻りますが、最近では『化学物質過敏症の方の家づくり』、『電磁波過敏症の方の家づくり』を標榜する設計事務所、工務店さんも増えてきており、うれしく思っております。
今日はその中の一軒の工務店さんのお話です。
化学物質過敏症の方は反応する物質も異なるため、家づくりに正解はありません。
それにしましてもその工務店さんは合板や化学建材を普通に使いながら、化学物質過敏症の方に対応しております、とPRしておりました。
そもそもなぜその工務店さんに相談させていただいたか?と申しますと、私が個別に相談を受けていた方がその工務店さんの家はどうでしょう?と相談してきたことがきっかけです。
私は設計事務所ですので、私の設計で建てていただく工務店さんを別に探さなければなりません。既に協力工務店の方が数社おりますので、基本的には協力工務店の方を紹介させていただきますが、今回は相談者がその工務店さんを指定してきたという経緯です。
私はその工務店さんのHPを拝見させていただき、その工務店さんに電話でヒアリングさせていただき、その家の構造、使われている素材をある程度把握した状況で、相談者の方と再度、お話をさせていただきました。
結論としましては、私は他社さんを否定しない、というスタンスがありますことから、
まずは素材にどのようなものが使われているか、構造はどのようなものが使われているか、事実のみをお伝えさせていただきました。
その上で
「〇〇さんが、その工務店さんの完成見学会や住み心地見学会などに参加されて、その工務店さんのお家で反応がないか、を確認されてはいかがでしょう?」
また
「その工務店さんの社長さまや現場監督さんのお話を聞き、信頼のおける工務店さんかどうか確認されてはいかがでしょう?」
とお応えしました。
繰り返しとなりますが、化学物質過敏症の方は反応する物質は人それぞれですので、その方が大丈夫というのならば、それはそれでよいのです。
それにしましても合板を普通に使い、素材にしましても化学建材を標準に使って『化学物質過敏症の方に対応した家』とうたっていることに驚きと悲しさがつのりました。
その工務店さんに、なぜ合板を使っているのですか?とお聞きしますと、やはり価格の課題が大きいとの回答がありました。加えて構造強度を考えて、とのことでした。
つまり化学物質過敏症の方のカラダのことは、価格と構造強度の次ということなのではないでしょうか?
化学物質過敏症の方や電磁波過敏症の方は現在、残念ながら増加しているようです。
加えて、対応する工務店さんがこのような状況では、今後どのようになっていくことでしょう。
化学物質過敏症という病気は以前、blogでも書かせていただきましたが症状が多岐にわたり、化学物質過敏症になった原因もひとそれぞれです。
また微量な化学物質に反応してしまったり、ひとつの物質に発症した後にいままで反応しなかった化学物質にも反応してしまう方もおられます。
だからこそ、健康住宅をつくる工務店、設計事務所は細心の注意が必要と思っております。
その工務店さんも自信をもって家づくりをしていることでしょう。また工務店を順調に経営するために売り上げをあげなければならないという思いもあるでしょう。
しかし化学物質過敏症の方の家づくり、電磁波過敏症の方の家づくりは、そんなに簡単なことではないと思います。
ひとりでも多く化学物質過敏症の方や電磁波過敏症で苦しんでおられる方が笑顔で暮らせる家が一軒でも増えることを祈るばかりです。
ひと・すまい・くらし一級建築士事務
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