ユウシロウとミハル。二人には、前世からの縁があった。千年前の京の都で、ともに骨嵬を操り、殺戮の限りを尽くしたのだった─。
で、前世の二人。名前は「憂四郎」と「美晴」ですが、まるっきりおんなじ姿形をしています。ので、一目瞭然。
顔、決められているんかい
そーいや、豪和家の古い倉に、8年前に死亡した憂四郎の遺体が冷凍保管されておりましたが、髪型からなにからユウシロウと同じ。
やっぱり、顔を決められているんか~
(初回放送でこの場面を見たとき、私は「ユウシロウはクローン人間だったのか」と思っちゃいましたよ。・・・違ったけど)
ところでこの平安編ですが、とーっても重要な人物が3人出てきます。現世でユウシロウと係わっている人々の中に、この時代に深いつながりがあった人物がいるわけです。
まずは、渡辺綱。憂四郎とは別の一族の長ですが、これが現世では豪和家長男の一清なんですね。やはり腹黒い人物です。
もうひとりが、憂四郎の一族の長・渡辺競の娘である三富(みとみ)。いわゆる姫武者です。で、憂四郎の許嫁です。
ありがちな「親が勝手に決めた結婚相手」ですが、三富は内心「ラッキー!いい男を婿にできるわあ」と思っている様子がアリアリです。
実はこの人、現世では鏑木大尉なのであります。
なぜに前世とわかるか?といえば、演じている声優さんが同じってことです。
初回放送では、私はそこまで考えなかったもんですから、色々な伏線とか人間関係のあやとか、全然気がつきませんでしたよ。解説本を読んだりして、さらに2度、3度見てはじめて「な、なるほどね」と理解できた次第。
なんといっても豪和一族が、千年前も今も全く同じこと(軍事クーデターを通じて世の中を支配する)を企てていたということ。それは、ひたすら腹黒い家長である渡辺綱=豪和一清の野望のなせるわざだったということ。
そして、ユウシロウに関しては、なぜか感情的(感傷的?)になってしまう鏑木かほる大尉。これが隠れたスパイスなんですよ。
たとえば、八臼岳演習場での「事故」で、ユウシロウが17式改のパイロットを救うために出撃しようとしている時。鏑木大尉は「なぜ、あなたが行くの!行くことなんかない!」と叫び、傍らの安宅大尉を唖然とさせます。鏑木大尉がいつも沈着冷静であることを知っている安宅サン、怪訝な顔をするんですよ。
(これに答えるユウシロウのセリフが「彼らも、僕と同じですから」です)
実は前世ではユウシロウの婚約者だった鏑木大尉の、その「秘めたる思い」は、物語終盤でも重要な場面で炸裂しますから、どうぞお楽しみに。
さて、最後の一人が、朝廷を背後で操る謎の僧侶・叡如(えいにょ)。
この人の正体は、シンボルのCEO・ファントム氏です。ただし、前世じゃなくて本人ってことらしい?
だとすると、少なくとも齢千年の人物・・・って、妖怪ぢゃん!
これは普通に「前世」という方がしっくりくるんじゃないかと。ファントムさんも嵬なので、蘇った前世の記憶に従って行動していた、とする方がいいんじゃないのかなあ。
そうじゃなきゃ、やはし妖怪だとしか考えられない~
ま、とりあえずいつものヤツ、行きましょう。
本編解説その6
2つの渡辺一族は、神事により進む道を決めることになった。双方の骨嵬が戦い、憂四郎が優勢となった。
相手の骨嵬の胴体が割れ、中にいる嵬の姿があらわになる。神事は決した。憂四郎の勝利である。この先は、古式にのっとり、敗れた嵬の首を落とす─首級を挙げるのが慣わしである。
しかし、憂四郎にはできなかった、相手の嵬を─美晴を殺すことが。どうしてもできなかった。
憂四郎は、黙って骨嵬を下りる。その憂四郎に向かって、郎党たちが罵声を浴びせる。「何故、やらぬ!」
憂四郎に駆け寄る渡辺競の背中を、綱の弓矢が射抜いた。渡辺綱は、競一族の支配権を簒奪したのである。
骨嵬を使った神事、めっちゃ野蛮
ですな(苦)。勝った方が、負けた方の首を取るんですから。
はっきりいって、嵬なんてやってられましぇん
、ほとんど「生贄」でございますよ。
ガサラキ召喚儀式においても、8年前に死んだ憂四郎みたいに犠牲になっちゃうこともしばしばなんですから、どう考えても嵬(=シャーマン、霊能力者)なんて御免ですよね。
それなのに、「何故、オレが嵬じゃないんだあっ!」とか劣等感を持つヤローもいるんだから、まことに理解しがたいものでございます。
(このセリフは誰の?というのは最後の最後でね)
さあ、美晴の腹黒いお兄さん、綱殿の暴走っぷりはいかに?
2つの一族を手中にした渡辺綱は、骨嵬を都に繰り出し、朝廷に対して反旗を翻すことを宣言する。もはや歴史の背後に埋もれている場合ではない、表舞台に出るべきだと。
競の娘・三富は、内心に鬱屈を抱えながらも、一族を挙げて綱に従うことにする。
いっぽう美晴は、ひそかに憂四郎を詰問する。「何故、あのとき私を殺さなかったの?そうすべきだったのに」
「わからない。でも、どうしてもできなかった」
あなたを知ってしまったから─二人の心に、同じ思いがあふれる。
憂四郎は、道端の鈴蘭をそっと手折り、美晴に差し出す。
嵬として生まれたこと。それは、二人にとって逃れられない運命である。骨嵬を操り、屍の山を築くこともまた。
しかし美晴の望みは、ただ「兄様のために戦うこと」。そのためならば、その手を血で染めてもかまわない。
骨嵬を操る二人は、一族と共に京へ上る。
実は、ミハルのMFイシュタルには、左肩(?)のところにスズランのイラストが描いてあります(!)。ので、ベギルスタンでミハルのイシュタルに遭遇した特自の連中は、「スズラン」と呼んでいました。
安宅大尉は「なにあれ、少女趣味」などといっておりましたが
、その謎がここで解けます。
前世の記憶、だったんですよ、ミハルの。
なにやらロマンチックですね。
渡辺一党は、二つの骨嵬を引き連れて都に入る。朝廷側の警備兵をなぎ倒し、死体の山を築き、まっすぐ内裏へ向かう。
都の惨状は凄まじいものがあった。疫病が蔓延し、腐臭を放つ病死体が延々と大通を埋めていた。
憂四郎と美晴は、死体を踏み分けながら、殺戮の限りを尽くしていく。戦う機械として、ひたすらに前へ進む。
飛び散る血飛沫の中で、二人の心が沸点に達した時。天空に異界の扉が開いた。
餓沙羅鬼、すなわち「真の恐怖」の降臨が始まったのだ。絶対的な無のパワーが、今地上に出現しようとしている。
朝廷を背後で動かしていた叡如の、その本当の目的はこれだったのだ。渡辺一族を敢えて追い込み、骨嵬を動かさせ、そして「ナダ」を呼び出すこと、である。
地面に、巨大な力が下りてくる。まるでクレーターの出現のように、大音響を伴い、一瞬にして穴が開く。一族が「閾(しきみ)」と呼ぶ「降臨のしるし」である。
餓沙羅鬼の完全出現まであとわずか─その時、憂四郎は叫ぶ。「だめだ!このままではあまりにもたくさんの人が死ぬ!」
憂四郎が正気に戻ったとたん、「ナダ」は天空に消滅してしまった。
逆上した綱は、骨嵬を下りた憂四郎を弓矢で射る。役に立たない嵬など、生きている価値はない。
美晴には、それが耐えられなかった。やっと見つけた自分の魂の半分を失うことが、どうしても耐えられなかった。
美晴の刃が、兄の綱に向けられた。誰よりも愛していた兄を、彼女は自らの手で殺した。
いまや三富に率いられた渡辺党は、戦いの敗北を悟り、弓矢を引いた。そして、そのまま歴史の彼方へ去った。
二人の前世の記憶は、そこで途絶えた。こうして渡辺一族は骨嵬を捨て、名前を変えてひっそりと生きてきたのだ。
ユウシロウの心に、自分のしたことは間違っていなかったという思いが沸きあがってきた。これでよかったのだと。
しかし、ふと傍らを見れば、そこには茫然自失のミハルがいた。
「あにさま・・・」
うわごとのように呟くミハルは、愛する兄を手にかけた自分が許せず、心を閉ざしてしまったのだ。
こうして、平安時代に魂を置き忘れたミハルを連れて、ユウシロウは苦難の逃避行を続けることになった。
呆然としたまま正気に戻らないミハル。抜け殻のお人形さんみたいになってしまいました。
さあ、次は二人の逃避行、「アジアン静脈瘤編」(注・勝手に命名)です。ユウシロウのコスプレ(爆)も、ちら~っと出てきて燃えます。
いや、ほんとに色々「燃え!」ポイント多し。
以下、次回。
で、前世の二人。名前は「憂四郎」と「美晴」ですが、まるっきりおんなじ姿形をしています。ので、一目瞭然。
顔、決められているんかい

そーいや、豪和家の古い倉に、8年前に死亡した憂四郎の遺体が冷凍保管されておりましたが、髪型からなにからユウシロウと同じ。
やっぱり、顔を決められているんか~

(初回放送でこの場面を見たとき、私は「ユウシロウはクローン人間だったのか」と思っちゃいましたよ。・・・違ったけど)
ところでこの平安編ですが、とーっても重要な人物が3人出てきます。現世でユウシロウと係わっている人々の中に、この時代に深いつながりがあった人物がいるわけです。
まずは、渡辺綱。憂四郎とは別の一族の長ですが、これが現世では豪和家長男の一清なんですね。やはり腹黒い人物です。
もうひとりが、憂四郎の一族の長・渡辺競の娘である三富(みとみ)。いわゆる姫武者です。で、憂四郎の許嫁です。
ありがちな「親が勝手に決めた結婚相手」ですが、三富は内心「ラッキー!いい男を婿にできるわあ」と思っている様子がアリアリです。
実はこの人、現世では鏑木大尉なのであります。
なぜに前世とわかるか?といえば、演じている声優さんが同じってことです。
初回放送では、私はそこまで考えなかったもんですから、色々な伏線とか人間関係のあやとか、全然気がつきませんでしたよ。解説本を読んだりして、さらに2度、3度見てはじめて「な、なるほどね」と理解できた次第。
なんといっても豪和一族が、千年前も今も全く同じこと(軍事クーデターを通じて世の中を支配する)を企てていたということ。それは、ひたすら腹黒い家長である渡辺綱=豪和一清の野望のなせるわざだったということ。
そして、ユウシロウに関しては、なぜか感情的(感傷的?)になってしまう鏑木かほる大尉。これが隠れたスパイスなんですよ。
たとえば、八臼岳演習場での「事故」で、ユウシロウが17式改のパイロットを救うために出撃しようとしている時。鏑木大尉は「なぜ、あなたが行くの!行くことなんかない!」と叫び、傍らの安宅大尉を唖然とさせます。鏑木大尉がいつも沈着冷静であることを知っている安宅サン、怪訝な顔をするんですよ。
(これに答えるユウシロウのセリフが「彼らも、僕と同じですから」です)
実は前世ではユウシロウの婚約者だった鏑木大尉の、その「秘めたる思い」は、物語終盤でも重要な場面で炸裂しますから、どうぞお楽しみに。
さて、最後の一人が、朝廷を背後で操る謎の僧侶・叡如(えいにょ)。
この人の正体は、シンボルのCEO・ファントム氏です。ただし、前世じゃなくて本人ってことらしい?
だとすると、少なくとも齢千年の人物・・・って、妖怪ぢゃん!
これは普通に「前世」という方がしっくりくるんじゃないかと。ファントムさんも嵬なので、蘇った前世の記憶に従って行動していた、とする方がいいんじゃないのかなあ。
そうじゃなきゃ、やはし妖怪だとしか考えられない~

ま、とりあえずいつものヤツ、行きましょう。
本編解説その6
2つの渡辺一族は、神事により進む道を決めることになった。双方の骨嵬が戦い、憂四郎が優勢となった。
相手の骨嵬の胴体が割れ、中にいる嵬の姿があらわになる。神事は決した。憂四郎の勝利である。この先は、古式にのっとり、敗れた嵬の首を落とす─首級を挙げるのが慣わしである。
しかし、憂四郎にはできなかった、相手の嵬を─美晴を殺すことが。どうしてもできなかった。
憂四郎は、黙って骨嵬を下りる。その憂四郎に向かって、郎党たちが罵声を浴びせる。「何故、やらぬ!」
憂四郎に駆け寄る渡辺競の背中を、綱の弓矢が射抜いた。渡辺綱は、競一族の支配権を簒奪したのである。
骨嵬を使った神事、めっちゃ野蛮

はっきりいって、嵬なんてやってられましぇん

ガサラキ召喚儀式においても、8年前に死んだ憂四郎みたいに犠牲になっちゃうこともしばしばなんですから、どう考えても嵬(=シャーマン、霊能力者)なんて御免ですよね。
それなのに、「何故、オレが嵬じゃないんだあっ!」とか劣等感を持つヤローもいるんだから、まことに理解しがたいものでございます。
(このセリフは誰の?というのは最後の最後でね)
さあ、美晴の腹黒いお兄さん、綱殿の暴走っぷりはいかに?
2つの一族を手中にした渡辺綱は、骨嵬を都に繰り出し、朝廷に対して反旗を翻すことを宣言する。もはや歴史の背後に埋もれている場合ではない、表舞台に出るべきだと。
競の娘・三富は、内心に鬱屈を抱えながらも、一族を挙げて綱に従うことにする。
いっぽう美晴は、ひそかに憂四郎を詰問する。「何故、あのとき私を殺さなかったの?そうすべきだったのに」
「わからない。でも、どうしてもできなかった」
あなたを知ってしまったから─二人の心に、同じ思いがあふれる。
憂四郎は、道端の鈴蘭をそっと手折り、美晴に差し出す。
嵬として生まれたこと。それは、二人にとって逃れられない運命である。骨嵬を操り、屍の山を築くこともまた。
しかし美晴の望みは、ただ「兄様のために戦うこと」。そのためならば、その手を血で染めてもかまわない。
骨嵬を操る二人は、一族と共に京へ上る。
実は、ミハルのMFイシュタルには、左肩(?)のところにスズランのイラストが描いてあります(!)。ので、ベギルスタンでミハルのイシュタルに遭遇した特自の連中は、「スズラン」と呼んでいました。
安宅大尉は「なにあれ、少女趣味」などといっておりましたが

前世の記憶、だったんですよ、ミハルの。
なにやらロマンチックですね。
渡辺一党は、二つの骨嵬を引き連れて都に入る。朝廷側の警備兵をなぎ倒し、死体の山を築き、まっすぐ内裏へ向かう。
都の惨状は凄まじいものがあった。疫病が蔓延し、腐臭を放つ病死体が延々と大通を埋めていた。
憂四郎と美晴は、死体を踏み分けながら、殺戮の限りを尽くしていく。戦う機械として、ひたすらに前へ進む。
飛び散る血飛沫の中で、二人の心が沸点に達した時。天空に異界の扉が開いた。
餓沙羅鬼、すなわち「真の恐怖」の降臨が始まったのだ。絶対的な無のパワーが、今地上に出現しようとしている。
朝廷を背後で動かしていた叡如の、その本当の目的はこれだったのだ。渡辺一族を敢えて追い込み、骨嵬を動かさせ、そして「ナダ」を呼び出すこと、である。
地面に、巨大な力が下りてくる。まるでクレーターの出現のように、大音響を伴い、一瞬にして穴が開く。一族が「閾(しきみ)」と呼ぶ「降臨のしるし」である。
餓沙羅鬼の完全出現まであとわずか─その時、憂四郎は叫ぶ。「だめだ!このままではあまりにもたくさんの人が死ぬ!」
憂四郎が正気に戻ったとたん、「ナダ」は天空に消滅してしまった。
逆上した綱は、骨嵬を下りた憂四郎を弓矢で射る。役に立たない嵬など、生きている価値はない。
美晴には、それが耐えられなかった。やっと見つけた自分の魂の半分を失うことが、どうしても耐えられなかった。
美晴の刃が、兄の綱に向けられた。誰よりも愛していた兄を、彼女は自らの手で殺した。
いまや三富に率いられた渡辺党は、戦いの敗北を悟り、弓矢を引いた。そして、そのまま歴史の彼方へ去った。
二人の前世の記憶は、そこで途絶えた。こうして渡辺一族は骨嵬を捨て、名前を変えてひっそりと生きてきたのだ。
ユウシロウの心に、自分のしたことは間違っていなかったという思いが沸きあがってきた。これでよかったのだと。
しかし、ふと傍らを見れば、そこには茫然自失のミハルがいた。
「あにさま・・・」
うわごとのように呟くミハルは、愛する兄を手にかけた自分が許せず、心を閉ざしてしまったのだ。
こうして、平安時代に魂を置き忘れたミハルを連れて、ユウシロウは苦難の逃避行を続けることになった。
呆然としたまま正気に戻らないミハル。抜け殻のお人形さんみたいになってしまいました。
さあ、次は二人の逃避行、「アジアン静脈瘤編」(注・勝手に命名)です。ユウシロウのコスプレ(爆)も、ちら~っと出てきて燃えます。
いや、ほんとに色々「燃え!」ポイント多し。
以下、次回。