第5週目は、9話と10話です。
第9話「恐怖のロッキー山脈」
さて、問題の(爆)エピソードです。
脚本は辻真先さんです。このエピソードが、辻さんの手がけた最初の作品です。
辻真先さんといえば、もう説明の必要もありませんね。小説も書かれる大作家先生です。
ですが、この「バビル2世」における辻さん担当のエピソードといえば、ですねえ。はっきりいって結構トンデモ話が多いんですよね
もっとはっきり言ってしまえば、辻さんは「悪ノリ」しっぱなしです。その最たるものが第34話「夏に降る雪の狩人」であるといっても、反論はないと思います
辻さんは、原作「バビル2世」がそれほど好きじゃなかったのか?と思ってしまうくらいに、「オレ流」一直線。確かに人間ドラマならさすがの手腕ですが、それが必ずしも「バビル2世」の世界を尊重したものか?と申しますれば、やはり「ちょっと違うでしょ」と感じるのです。
う~ん、回りくどいというか、奥歯にモノが挟まったような書き方ですな、スイマセン。
ま、ようするにですね、「オレは人間ドラマがやりたいんだよ。だから、登場人物を使って勝手に人間ドラマやらせてもらうから」みたいな感じ、とでも。
そんなわけですから、この第9話のキモは「善良な一般市民の皆さんが、ヨミの部下の卑劣な手段によって否応なしに悪の手先にされてしまい、小僧に襲いかかる。なんとまあ、その中には古見一家が!由美ちゃんがライフル銃を浩一君に突きつける!」という部分です。
─苦悩するバビル2世、でも愛の力が全てを救う!
これを描きたいだけ。ゆえに、細部がちょっと変だったりする。「おいおい、パラライザーってただの麻痺銃だろ?それ、特殊技能じゃないから。ってゆか、超能力者なのかい、アキムさんよ
」
しかも、戦闘服とバビル2世号の登場は厳命だったんでしょう、せっかくロプロスがやって来ても小僧は背中に乗らない、トホホ(これは辻さんのせいじゃないですね)。
このように、辻さんの目指す「人間ドラマ」が、細部のあれこれが足を引っ張って空回りしてしまい、なんとなくちぐはぐな印象のお話になっています。
学生服シリーズの時点でこういったお話ならば、結構うまくいっていたような気もします。(だって、ロプロスがバビル2世号を運んでくるシーンが脱力モノですからね。なにも無理してバビルカー・・・
)
全体的には、それでもやっぱり辻さんの脚本は達者だなあ、と感じます。
ロデムが由美ちゃんに変身するシーンとか、いかにも「辻流」が見え隠れしてニヤリとさせられますし、ロープウェイでの対決シーンはまるっきり「キイハンター」じゃありませんか(爆)。
また、由美子さんのファンにとっては、「由美ちゃん、それほど浩一君を愛してるのよね!やっぱり二人は結ばれなきゃ」と思わせるだけの説得力を持った超強力なエピソードであるといえるでしょう。
実際、この第9話でノックアウトされた少女ファンは多いのでは
第10話「必殺ロボット・バラン」
いよいよ学生服シリーズの、最後の最後のエピソードです
原作において、男子の絶大なる支持(爆)を集める「裸でパンツ一丁!鉄球をぶん回す、いかにも横山光輝的ロボット」であるバラン氏がご登場です。
原作において、バランがバベルの塔に乗り込んでくるあたりをかなり踏襲しています。ただし、ダック氏(今川版ジャイアントロボにおける草間大作君のお父上)の外見が似ても似つかぬものに。残念。
そのほか、原作をうまく取り入れつつ、アニメオリジナルな改変を施したところも多々あり、さすが雪室俊一さんの脚本はよろしいですね。
原作の「スプラッタ描写」(爆)をさりげなく軽めにしているところなんかも、お子様向けとしてはなかなかにナイスなのではないでしょうか。
この第10話におきまして、私が特に注目したい点があります。それは、バビル2世の詰問に対してすっとぼける(無視を決め込む)コンピュータ、です。
ダックたちがバビル2世君に吹っかけた「誘導液」を目指して、バランは進んできます。しかも、どういうメカニズムなのか、バランが発する電波(?)によってバビル2世のテレパシーが妨害され、いくら呼んでもロプロスやポセイドンに通じません。これはアニメオリジナルの設定です。
そのため、バビル2世は塔の外に出て、バランの妨害電波が及ばないところでしもべたちを呼ぼうとしますが、コンピュータは異議を唱えます。「主のいない塔は、ただの塔です」(・・・気弱じゃん!)
そこで小僧はあれこれ反論しますが、やっぱりコンピュータは是としない。「塔の外に出たら、僕がやられてしまうってことなのか?」と問い詰めると、今度はなんと「無言」。
原作におきまして、コンピュータは都合が悪くなると「ピューピュー!砂嵐が云々」とか言い出して話をそらしますが、それを踏まえたシーンです。
しかし、ご存知のように、この東映動画版においてコンピュータが「すっとぼける」シーンはこれだけです。これが最初で最後。原作では何度も出てきますが、アニメではここだけなのです。
そこで、ひとつの推論が成り立ちます。すなわち、このアニメ版においても、「超能力を使うほどに体力を消耗する、しかも、それは致命的な結果をもたらす」という原作どおりの設定を展開するはずだったのではないか?そのための伏線として、コンピュータのすっとぼけシーンが出てきたのではないか?
実際、第5話のラストでは「つ、疲れて眠いっス・・・」という場面がありましたし、続く第6話も「まだ疲れが取れない」なんぞと小僧は言っておりました。
しかし、特にこれが発展したお話になることなく、2クールに入る頃には、ひたすら人間ドラマやらアニメオリジナルストーリーやらが続くことに。
14話以降、2クール目から視聴率が低迷した原因は、裏番組に強力なライバルが出現したというだけじゃなく、原作の持つ「味」が希薄になっていったから、ということかもしれません。
さて、この10話における「燃え!ポイント」ですが、それはなんといっても。
黒髪、すみれ色の瞳のロデムでしょう。
・・・鼻血が出そうっス。エリザベス・テイラーなのか、ロデム?(古っ)
もひとつ、ヨミの部下に飛びかかろうとするロデムを押しとどめるバビル2世君が、いかにも「ペットを扱う手つき」です。
そこんところをじっくり見て、心をときめかせてください
余談
雪室さんの脚本は良くできておりますが、バランの頭脳が鉄球の中、っていうのはちょいと苦しい。もっとも酷使する部分に、最も重要な電子頭脳が入っているのは、リスクが大きすぎます。
こればっかりは「作りすぎ」ですね
第9話「恐怖のロッキー山脈」
さて、問題の(爆)エピソードです。
脚本は辻真先さんです。このエピソードが、辻さんの手がけた最初の作品です。
辻真先さんといえば、もう説明の必要もありませんね。小説も書かれる大作家先生です。
ですが、この「バビル2世」における辻さん担当のエピソードといえば、ですねえ。はっきりいって結構トンデモ話が多いんですよね

もっとはっきり言ってしまえば、辻さんは「悪ノリ」しっぱなしです。その最たるものが第34話「夏に降る雪の狩人」であるといっても、反論はないと思います

辻さんは、原作「バビル2世」がそれほど好きじゃなかったのか?と思ってしまうくらいに、「オレ流」一直線。確かに人間ドラマならさすがの手腕ですが、それが必ずしも「バビル2世」の世界を尊重したものか?と申しますれば、やはり「ちょっと違うでしょ」と感じるのです。
う~ん、回りくどいというか、奥歯にモノが挟まったような書き方ですな、スイマセン。
ま、ようするにですね、「オレは人間ドラマがやりたいんだよ。だから、登場人物を使って勝手に人間ドラマやらせてもらうから」みたいな感じ、とでも。
そんなわけですから、この第9話のキモは「善良な一般市民の皆さんが、ヨミの部下の卑劣な手段によって否応なしに悪の手先にされてしまい、小僧に襲いかかる。なんとまあ、その中には古見一家が!由美ちゃんがライフル銃を浩一君に突きつける!」という部分です。
─苦悩するバビル2世、でも愛の力が全てを救う!
これを描きたいだけ。ゆえに、細部がちょっと変だったりする。「おいおい、パラライザーってただの麻痺銃だろ?それ、特殊技能じゃないから。ってゆか、超能力者なのかい、アキムさんよ

しかも、戦闘服とバビル2世号の登場は厳命だったんでしょう、せっかくロプロスがやって来ても小僧は背中に乗らない、トホホ(これは辻さんのせいじゃないですね)。
このように、辻さんの目指す「人間ドラマ」が、細部のあれこれが足を引っ張って空回りしてしまい、なんとなくちぐはぐな印象のお話になっています。
学生服シリーズの時点でこういったお話ならば、結構うまくいっていたような気もします。(だって、ロプロスがバビル2世号を運んでくるシーンが脱力モノですからね。なにも無理してバビルカー・・・

全体的には、それでもやっぱり辻さんの脚本は達者だなあ、と感じます。
ロデムが由美ちゃんに変身するシーンとか、いかにも「辻流」が見え隠れしてニヤリとさせられますし、ロープウェイでの対決シーンはまるっきり「キイハンター」じゃありませんか(爆)。
また、由美子さんのファンにとっては、「由美ちゃん、それほど浩一君を愛してるのよね!やっぱり二人は結ばれなきゃ」と思わせるだけの説得力を持った超強力なエピソードであるといえるでしょう。
実際、この第9話でノックアウトされた少女ファンは多いのでは

第10話「必殺ロボット・バラン」
いよいよ学生服シリーズの、最後の最後のエピソードです

原作において、男子の絶大なる支持(爆)を集める「裸でパンツ一丁!鉄球をぶん回す、いかにも横山光輝的ロボット」であるバラン氏がご登場です。
原作において、バランがバベルの塔に乗り込んでくるあたりをかなり踏襲しています。ただし、ダック氏(今川版ジャイアントロボにおける草間大作君のお父上)の外見が似ても似つかぬものに。残念。
そのほか、原作をうまく取り入れつつ、アニメオリジナルな改変を施したところも多々あり、さすが雪室俊一さんの脚本はよろしいですね。
原作の「スプラッタ描写」(爆)をさりげなく軽めにしているところなんかも、お子様向けとしてはなかなかにナイスなのではないでしょうか。
この第10話におきまして、私が特に注目したい点があります。それは、バビル2世の詰問に対してすっとぼける(無視を決め込む)コンピュータ、です。
ダックたちがバビル2世君に吹っかけた「誘導液」を目指して、バランは進んできます。しかも、どういうメカニズムなのか、バランが発する電波(?)によってバビル2世のテレパシーが妨害され、いくら呼んでもロプロスやポセイドンに通じません。これはアニメオリジナルの設定です。
そのため、バビル2世は塔の外に出て、バランの妨害電波が及ばないところでしもべたちを呼ぼうとしますが、コンピュータは異議を唱えます。「主のいない塔は、ただの塔です」(・・・気弱じゃん!)
そこで小僧はあれこれ反論しますが、やっぱりコンピュータは是としない。「塔の外に出たら、僕がやられてしまうってことなのか?」と問い詰めると、今度はなんと「無言」。
原作におきまして、コンピュータは都合が悪くなると「ピューピュー!砂嵐が云々」とか言い出して話をそらしますが、それを踏まえたシーンです。
しかし、ご存知のように、この東映動画版においてコンピュータが「すっとぼける」シーンはこれだけです。これが最初で最後。原作では何度も出てきますが、アニメではここだけなのです。
そこで、ひとつの推論が成り立ちます。すなわち、このアニメ版においても、「超能力を使うほどに体力を消耗する、しかも、それは致命的な結果をもたらす」という原作どおりの設定を展開するはずだったのではないか?そのための伏線として、コンピュータのすっとぼけシーンが出てきたのではないか?
実際、第5話のラストでは「つ、疲れて眠いっス・・・」という場面がありましたし、続く第6話も「まだ疲れが取れない」なんぞと小僧は言っておりました。
しかし、特にこれが発展したお話になることなく、2クールに入る頃には、ひたすら人間ドラマやらアニメオリジナルストーリーやらが続くことに。
14話以降、2クール目から視聴率が低迷した原因は、裏番組に強力なライバルが出現したというだけじゃなく、原作の持つ「味」が希薄になっていったから、ということかもしれません。
さて、この10話における「燃え!ポイント」ですが、それはなんといっても。
黒髪、すみれ色の瞳のロデムでしょう。
・・・鼻血が出そうっス。エリザベス・テイラーなのか、ロデム?(古っ)
もひとつ、ヨミの部下に飛びかかろうとするロデムを押しとどめるバビル2世君が、いかにも「ペットを扱う手つき」です。
そこんところをじっくり見て、心をときめかせてください

余談
雪室さんの脚本は良くできておりますが、バランの頭脳が鉄球の中、っていうのはちょいと苦しい。もっとも酷使する部分に、最も重要な電子頭脳が入っているのは、リスクが大きすぎます。
こればっかりは「作りすぎ」ですね

辻さんはトンデモ話が多すぎる・・・は、全くの同感・・・というか、辻脚本でこんなに脱力(苦笑)、及び「おいおい」な突っ込みどころが多すぎるエピソードって、私が知る限り「バビル」だけのような(爆)。「エイトマン」や「鉄腕アトム」でもこんなにすごくありませんよ~(汗)。特に、9話は純粋な十代の頃に見ておいて良かったなぁという気のするお話です(笑)。
やはり「バビル」みたいな作品は向いてなかった気がするんですよねぇ、辻さん・・・(大汗)。
どんなに歳月が流れても、変わることなく「めっちゃ好き」なのは「バビル2世」だけです、ワタクシ。
ので、次から次へと新しい楽しみ方を発見しておりまする
そういえば私、辻さんのアニメ脚本家時代の自伝本と、雪室さんの自伝本、どっちも購入しております。ただ、雪室さんの・・・どこに行ったっけか??一度、中身も確認してみま~す。
で、早虎さん宅にてupしてくだされ~!
よろしくお願いします~