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別冊「バビル2世」マガジン

「バビル2世」のコミックス&アニメその他を中心に、オールドファンがあれこれ語ります。

高橋良輔監督作品その5「装甲騎兵ボトムズ」~その2

2009-07-26 22:52:19 | 高橋良輔監督作品関連
何度も(しつこくしつこく)申しあげておりますが、私の高橋監督ファン歴は、わずか干支一まわりの年数しかございません。なんといっても、「ガサラキ」がきっかけでしたから。
そのため、通常とは順番が逆になり、「ガサラキ」のあとで「装甲騎兵ボトムズ」を鑑賞した次第。
そのため、こんな風に思いました。「な~んだ、ボトムズってガサラキとおんなじだあ」(・・・逆だっつの

さてさて、人口に膾炙した「装甲騎兵ボトムズ」ですが、お約束のあらすじからいってみますか。

キリコ・キュービィ、自分探しの旅のはじまり
はるかな昔・・・かどうかわからないが、とにかく遠く離れた銀河系での物語。そこは、「アストラギウス銀河」と呼ばれていた。
この銀河系を支配しているのは、ギルガメス連合とバララント同盟の2大勢力。宇宙の覇権をめぐって、この2者は100年ものあいだ戦争を続けていた。いわゆる「100年戦争」である。
しかし、長きにわたった戦乱も、収束の時を迎えようとしていた。これは、終戦間際に起こった出来事である。
ギルガメス連合に属するメルキア軍の歩兵だったキリコ・キュービィ伍長は、小惑星リドの作戦に参加していた。極秘任務だった。
キリコは、ここで自分の運命と出会ってしまう。「あれ」を見てしまったのだ。透明なカプセルの中に横たわる、全裸の美女─なぜかスキンヘッドである。
ここから、キリコのはるかな旅がはじまった。


いきなりでアレなんですが、全裸の美女こそ、キリコとラブラブになるフィアナさんです。ちなみに、「フィアナ」とはキリコが名づけた名前。「炎」の女性形なんですと。
そこで「なるほど」と思うのが、主題歌のタイトルです。「炎のさだめ」といいます。
しかしですね、そのフィアナさんですが、裸体が無茶苦茶リアルです
う~んう~ん、これ、当時の中坊とか・・・どう感じたんだろう。いやほんとに、抽象的な「ないすばでー」じゃなくて、写実的でしてね。
でも、ボーズ頭(爆)。なんか・・・シュールです。

さて、裸体美女ですが、「素体」とか「PS」とか呼ばれています。「PS」というのは、「パーフェクト・ソルジャー」の頭文字。
すなわち、完全無欠な戦士として作られた人造人間─アンドロイドなのです。「素体」というのは、文字どおり「素材まんまの状態」ってことで、これからいろいろ教育を受けて、一人前の戦士になっていく・・・はずが、まだやっと目が開いたくらいの段階で、よりによってキリコの顔を見てしまいました。
刷り込みかよ、というツッコミそのままに、裸体美女は「キリコ~キリコ~」と慕うようになっちゃいます。
って、それあんまりといえばあんまりじゃないスか。こんな楽なことはないでしょ、男にとって。ずるいよなあ、この筋立ては

キリコが惑星リドに派遣されたのは、そこに隠されていた秘密兵器・PSの素体を密かに奪おうという陰謀のためでした。同じギルガメス陣営でありながら、退役軍人たちによる秘密結社(宗教団体?)がひそかに根を張り、PSを奪ってしまったのです。
キリコは何も知らないまま、陰謀に加担させられたのでした。そのため、メルキア軍(※メルキアはギルガメス陣営の主星)情報将校、ロッチナにマークされてひたすら追われる身となってしまいました。

ところで、キリコというキャラクターですが、これがもう無口なんですな。ちょうど「ガサラキ」のユウシロウと同じです。(だから、順番逆
しかも、戦闘機械のごとく育てられ、戦いにしか能がない。他人とのコミュニケーションが超絶苦手。
そのキリコは、「お前、素体をどこにやったあああっ!」とか言われてロッチナに拷問されますが、なんとか脱出。惑星メルキアの大都市・ウドに逃げ込みます。
さあ、本編第1部「ウド」編の始まり。

ウドの街は、100年戦争による環境汚染がもたらした「酸の雨」が降りそそぐ、退廃都市。
おや、この場面は既視感?・・・名作SF映画「ブレードランナー」(リドリー・スコット監督)のオマージュですね。
いや~、はやりましたよねえ「ブレードランナー」!「ブレラン現象」って言葉までありました。82年の作品なので、83年4月に始まったボトムズは、ものすごく早くパク・・・おっと、オマージュしたことになりますね。
ちなみに、裸体美女ことフィアナさんは、まさに「レプリカント」という設定です。そのため、寿命が限られています。
これが最終回のエピソードへつながっていきます。

猥雑なウドの街に逃げ込んだキリコは、あやしげな中年男・ゴウト、ゴウトのもとに入り浸る不良娘(?)・ココナ、ゴウトの手下(?)・バニラと親しくなります。
ま、キリコがAT乗りだと知ったゴウトが、最初は打算で近づいてきたわけですな。実はウドの街には、闘犬ならぬ闘ATみたいな殺伐とした競技「バトリング」があり、賭けの対象にもなっています。でもって、強いAT乗りを抱えていれば、エージェントとしてがっぽり稼げる、とゴウトは考えたわけです。
そして、腰ぎんちゃく(?)のバニラとココナも「いっちょ儲け話にのらせてよ」というわけです。
それほど惑星メルキアは戦争で疲弊しており、まともな経済活動があまりなく、所得格差が大きいのですね。このへん、さすが戦中生まれの高橋監督らしい感覚だと思います。

ところが、最初は打算で近づいてきたゴウトたちですが、根は善人なんですな。しだいにキリコにシンパシーを抱くようになり、助けるようになっていきます。
そして、戦いしか知らず、冷ややかな目つきをしていた戦闘機械・キリコもまた、3人と絡む中でしだいに人間らしさに目覚めていきます。この辺がやはり、「ガサラキ」と同じ構図で(いやだから逆)、人は、人とのかかわりの中でしか成長できない、だから一人でこもっていてはだめだ、というメッセージがあるように思います。

さて、治安警察に指名手配されて逃げているキリコですが、どうしても納得できません。そりゃそうです、「なんで俺が悪役になるわけ?俺、むしろだまされた被害者だぜ?だいいち、素体とかいう○ゲの女は何だよ?あー、納得できないなあもう。真相を知らないで済まされるかよ!」と、当然のように考えます。
あの裸体美女は、どうやらウドの街に潜んでいます。あやしげな宗教団体?に保護されているようです。
キリコは、「あの女を捕まえて、どげんかせんといかん」と考え、くだんの宗教団体の本拠地に乗り込ます。そして、彼らが「プロト1(ワン)」と呼んでいる彼女をついに見つけます。
キリコは思わず「フィアナ!」と呼んでいました。自然と口をついて出た彼女の「名前」でした。
「フィアナって呼んでくれたのね。私の名前でしょ?」
なんと彼女はもうキリコに夢中でした。さあ!愛の逃避行です。(・・・・
と思ったけど、いろいろあって、あっちう間に二人は別れ別れ。せっかく手に入れたPSを手放すはずがないですからね、怪しげな秘密結社にして宗教団体である敵さんは。
彼らの目的は、赤道直下の国・クメン王国にありました。そこへ連れ去られるフィアナ。
いっぽう、キリコに加勢して一緒に戦ったゴウトたちは、戦闘の中でキリコとはぐれてしまいます。
再び一人ぼっちになったキリコは、わずかの間に彼らを心底慕わしく思っていたことに気づき、呟きます。「ひとりにしないでくれ・・・」

キリコ・キュービィ、冷徹な戦闘機械。しかし、その身に流れるのは、ポリマーリンゲル液ではない。真っ赤な血潮である。
盗まれた過去を探し、砕かれた夢を拾い集める旅は、今始まったばかりである。

というわけで、ゆるゆるつづく。

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