ミラクル

昨年、二つの大病をして入院している母は、今、必死にリハビリにはげんでいる。
右半身に麻痺症状があるため、うまく歩けなくなってしまったのだ。
心臓の大手術をしたこともあり、リハビリは１日1時間のみ。

私たち家族は、苦労の多かった母の人生を思えば思う程、もう一度歩けるようにしてあげたい、そして新たな人生を元気に歩んでほしいと願うばかり。
だから、毎日病院に通い、自分たちなりに考えた手足の運動を、あの手この手で母にしているのだ。

最近ようやく杖をついて、ゆっくり歩けるようになってきたが、まだまだ外を歩けるような状態ではない・・・・
が、そんな母にミラクルが起きた。

なんと、昨日、突然すたすたと歩いたのだ。
リハビリの先生も、看護師さんたちもびっくり！
みんなが見守る中、母は歩きながら号泣していた。

もちろん、長い距離ではなかったが、歩ける可能性を私たちははっきりと見た。
母の脳の中で、ついに新たな神経回路が動き始めたのだ。

今のリハビリの先生は、ちょっとぶっきらぼうで強気な青年。
が、とても優しくて勉強家。
しばらく結果が出ななかった日々、先生は、よく頭を抱え悩んでいたが、常に新たなリハビリメニューを考えてくれた。

実は、昨日が、その先生からの受ける最後のリハビリだった。
母はきっと、今日までの先生の努力に対する感謝の気持ちを、“かっこよく歩く”ということで表したのではないかと思う。
渾身の力をふりしぼって。

すごい度胸。すごい根性の持ち主。
ここぞという時に肝がすわるのだ。
78才のおばあちゃん、やるな～