黒猫チャペルのつぶやき

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あなごのねどこ

2017年01月05日 | みのりのつぶやき-旅行

 年末から尾道に出かけて、あなごのねどこ、という宿で新年を過ごした。青春18きっぷを使って行くこと、泊まる宿については早々に決まったものの、旅程の詳細を決めるのがいつものことながら大変だった。というのもチャペルを連れていくからなのだが、宿に同宿ははなから無理だし、年末年始に猫を受け入れてくれるペットホテルもそうそうあるものでない。あっても出発時刻到着時刻が折り合わない。現地でレンタカーを借りてチャペは車に寝かせることとしたがではどこで借りるか?帰り早朝の電車に乗ろうとするなら営業開始時刻の関係で尾道に近すぎてもだめ、遠すぎても運転が大変、どうにか折り合いをつけて岡山のレンタカーを予約したが行きは本当の始発でなくてはどうにもたどり着けないがちがちのスケジュールとなり・・・。

 12月31日は朝3時に起きた。タクシーで鶯谷の駅に出て、始発の京浜東北線で品川へ、品川から東海道線で一本の乗り遅れも許されない過酷な乗り継ぎの旅をスタートする。小田原、熱海、浜松、豊橋、大垣、米原、姫路と乗り継ぎ、どうにか予定通り16時半岡山に到着、市電に少し乗ってレンタカーの営業所に駆け込み、いざ尾道へ。幸い渋滞もなく、20時過ぎには宿に入れた。古民家を改造した相部屋がメインの古めかしいゲストハウスだが、私たちの泊まるのは家族向けの個室で広さもたっぷり。もっとも私は、荷物を解いて外で尾道ラーメンを食べて、長時間の幽閉に耐えたチャペにトイレを使わせご飯とお水をやって車に残した後は、部屋なんかにいないで、階下の談話室で同宿の皆さんと遅くまで紅白歌合戦を見て起きていた。

          

 元旦も5時には起き出した。近くの港で母殿は早速今年の釣り初め、見事な初日の出を見たらしまなみ海道の入り口である向島に渡り、ここでも方々で釣り糸を垂れてみたがろくな釣果はなし。ただ静かな瀬戸内海の眺めは他に何もなくても心落ち着く素晴らしいものだった。

 午後は私だけ宿に戻り、宿の皆さんと終日カロムというゲームに興じるなどして過ごした。こうした交流の濃い宿というものが私には新鮮で飽きることがなかった。父殿母殿はその後も向島をめぐって、夕刻戻ってきたら皆で立ち寄り温泉に出かけてゆっくりと湯につかり、お刺身やカキフライなどの夕食となる。お刺身はどれも絶品であった。宿に帰った私はまた遅くまで階下で皆さんと遊んだ。

 翌2日私は朝寝を決め込み、早朝に出かける父殿母殿を布団にくるまったまま見送る。もっとも釣りに使うエサを調達したらじきに戻ってきて、私も一緒に改めて車で出かけて、今度はしまなみ海道のひとつ先の因島に渡る。昔は海賊の拠った島だそうだが今はいたるところ柑橘類の実りが見られる穏やかな美しい土地で、父殿母殿は自転車を借りて回ることに決め、私はこの日も宿に帰ってのんびり過ごすことを選んだ。宿まで送ってもらい、そこいらの人をつかまえてゲームの相手をしてもらったりテレビを眺めたりしていたら、アメリカ人の旅行者が現れて全く日本語の話せない彼とたちまち仲良くなれたのは愉快だった。

 父殿母殿は駅近くで自転車を借り、早速渡船で向島に渡り、海を真下に見下ろす橋を渡って因島をめぐり、さらに先の生口島でも釣りを試み、その間チャペは父殿がお腹に吊しただっこ袋の中で大層おとなしく過ごし時々出してもらっては水を飲んだりトイレを使ったりしていた由。生口島からは高速渡船に自転車を積み込んで帰ってきて、私を迎えにきて近くの焼き鳥屋さんで軽くお酒をのみながらの食事を楽しんだ。

 最終日3日はただ帰るのみ。朝5時に起きて車を駆り岡山へ、車を返したら往路の全く逆をたどり、家に帰り着いたのは夜も11時近かった。あわただしかったし私はほとんど宿にいてろくに観光もしなかったが、「あなごのねどこ」で出会った人々との交流は大いに価値のある経験と言え、是非またここを訪れたい!と心から思える旅となった。

          



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