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行き当たりばっ旅

2018年05月30日 | Weblog
「放浪と旅との違いは何だと思いますか」
 映画『あなたへ』のワンシーンである。
 「答えは、目的地があるかないかです。それに帰る場所があるかないかです」
 故郷に散骨を願う妻の遺言の真意を確かめる道中で高倉健さんに質問したビートたけしさんからの回答である。
 しかし、私は強く感じる。『放浪のような旅』もあるのではないかと。
目的地らしい方向性と帰着日は決まっているものの、到着時刻も場所さえも勝手気ままな放浪旅があるのはないか。自分の力で目的地らしきものをめざしながら、出会いの中から何かを学び、結果として自分の生き様を検証していく、ゆるやかな放浪旅のことだ。
それを私は、ツーリング『行き当たりばっ旅』と称している。
 必要な道具をはじめから買い求めて準備をするのではない。量販店で用品一式を買い求めて参加する、にわか仕立てのキャンパーとは一線を画している。
楽しみの一つとして、旅先で出会った人との会話や、知り合った人との会話を手がかりに便利グッズに買い換えていくことが好きだ。次第に機能的な品物を買い足していくのだ。
はじめに購入したものは、テント、ガソリンストーブ、コッヘルという必要最小限のものだ。やがて大きさや軽さや便利さから、買い換えていくのだ。そこには、人間が推し測ることの出来ない、人との偶然の出会いや、縁(えにし)が介在する。
バイクパッカーでは、積む体積と、積載重量におのずと限界がある。それは、各人の運転技能と、バイクの性能とによる自主規制でもある。より機能的なものを買い求めていくことだ。ツーリングを重ねて、人との出会いごとに、ふるい残されていく物品の機能が美しいほどに自己主張して語りかけてくる。それがなんともたまらないのである。

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