【平野】
今回はブルセラ病についてご紹介します。
<ブルセラ病とは>
ブルセラ・カンス(犬流産菌)という細菌に感染する事で雌雄共に不妊を引き起こします。
また、人獣共通感染症の一つで、別名「マルタ病」とも呼ばれていて、最も菌の広がり易い時期は繁殖期と言われています。
<症状>
感染しても健康状態に異変をきたすような重い症状が現れる事はほとんどありませんが下顎のリンパ節や後ろ足の付け根が腫大したり、
ごく稀に椎間板脊椎炎や肉眼球炎、ブドウ膜炎という他の病気を引き起こしてしまう可能性があります。
また、性別によって下記の症状が現れます。
【雄の場合】
睾丸(精巣)が一時的に腫れ、その後縮む。
正常な精子が作れなくなり無精子症を引き起こす。
違和感がある為、気にしてなめる。
雌犬を妊娠させる事は出来ても、雌犬が妊娠末期に入ると流産してしまう。
陰嚢皮膚炎や潰瘍、精巣上体炎、前立腺炎が見られる。
【雌の場合】
妊娠40~50日頃に流産や死産が見られる。
数週間にわたり膣内から緑褐色、灰緑色の分泌物、胎盤炎が見られる。
また、一度発病した犬はその後も不妊や流産を繰り返す事がある。
人に感染した場合、発熱や関節痛、悪寒等、インフルエンザに似た症状が見られる。
※ブルセラ病は症状が分かりにくい為、不妊や流産により初めてブルセラ病と診断されるケースが多くあります。
※ブルセラ病を発症した犬から産まれた子犬は出生後2~3時間で死亡し、稀に生存しても多くが先天性ブルセラ病になっています。
<原因>
ブルセラ菌に感染する事で発症し、その感染経路は下記の通りです。
感染した犬の尿、精子、子宮分泌物、乳汁、流産時に排泄された胎子等を介しての経口感染。
眼の結膜や鼻などの粘膜、傷口からの細菌の侵入。
交配感染。
<治療>
今現在、有効な治療法がなく長期的な抗生物質の投与が一般的な治療となります。
必ずしも完治するとは限らない為、投与後に再発する場合もあります。
他の犬から隔離したうえで治療を行い感染の広がりを防ぎます。
また、他の犬や人への感染の危険性を最小限にする為、可能であれば避妊・去勢手術を行います。
<予防>
予防ワクチンは、今現在ありません。
生活環境を清潔に保つように心掛け、犬が流産をしてしまった場合、他の犬が分泌物等に触れないようにし、
飼い主も直接触れない様ゴム手袋やマスク等を装着し、慎重に扱い速やかに処理しましょう。