ひさらのきまぐれ。

多趣味だけどどこかぼんやりな私(ひさら)の気まぐれブログ。
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フェリックス・ティオリエ写真展(世田谷美術館)

2010年07月19日 | 展覧会(美術館・博物館)
猛暑の中、砧公園まで行ってきました。

→世田谷美術館公式HP

美術館最寄の駅からは、住宅街が続きます。「いらか道」と名づけられたちょっとした散歩道、なんですが。
「いらか(甍)」つまり瓦をデザイン的に敷き詰めた道なんですよ。
どうお洒落にデザインしようとも、何せ瓦ですからね。
35度を超えようかという猛暑日の炎天下、思う存分熱せられた瓦の上を歩けって、アナタ。そりゃどうなのよと。
私たちは靴を履いているのでまだよかったのですが。
散歩に連れてこられたらしきペット犬が、ぽんっと飼い主の腕から飛び降りたはいいものの、余りの暑さにパニック起こしてました((^^;;
柔らかな肉球を焼けた瓦が直撃ですからね。
可哀想に…。

かくいう私も美術館に着く頃には、かなりなとこクタクタになっていました。

休憩室で一休みしてから企画展を鑑賞。

ティオリエは1900年頃の写真家…と言いながら、全く知られていなかった人。
というのも、当時の写真家たちと交流せず、展覧会にも出品せず、写真協会のメンバーにもならず、また存命中には写真を売ることもなかったからなのだが。
所謂お金持ちの余暇的に、当時新しく発明された写真技術を使って実験的に種々の風景を撮りためたといった風。
これらの作品群は、その孫にあたる人が改めて価値を見直し世に発表した、という。

実際作品を見てみると、現在の所謂写真家の写真(ゲイジュツ的な?)というものとしてはどうも力が弱いように感じられた。
むしろ、記録写真のようなものにこそ魅力があるというのか。
(本人には記録写真のつもりはないだろうが)

1900年と言えばパリ万博。最新の工業建築技術を駆使して建造されたさまざまなパビリオン。それらの建設途中の貴重な姿がおさめられているのだ。現在のパリの外観はこの時作られたと言っても過言ではない。それらが「出来上がってしまう直前に見せた一瞬の姿」「その時しか見られないモノ」がそこにはある。

写真は「その時」をくっきりと見せつけてくる。
良く見ると、鉄の枠組みを持つガラス張りの建物などが作りだされていく中、それらの資材を運ぶのが馬なのだ。地下鉄を通す工事をしているその時に、である。
「1900年」という時代を見た気がした。

家族の肖像や、お気に入りの自然を写した写真が大半ではあったのだけれど。
私にとっては自然風景、ポートレイトを含めたアートとしての写真展というよりも、時代を切り取った歴史資料としての写真展として、実に興味深いものだった。

見終えてから駅まで戻るのがまた一苦労…。
こらえきれずに駅前でまた喫茶店のお世話になったのでした。







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