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乙女の包容力

偏食乙女ゲーマーの日常をのんびりつらつらと。

古書店街の橋姫 感想

2018-12-07 23:40:15 | ゲーム感想
『古書店街の橋姫(PC版)』と、
『古書店街の橋姫 々(Vita版)』
の感想です。





久々に徹夜ぶっ通しで初回ルートクリア。面白くて、やめどころが分からなかった…
わたしの好みドストライクの作品。
前知識、ナッシング状態でしたので余計楽しめました♪

推しキャラは『水上』!(やはりメインキャラ!)
水上贔屓なのはご了承下さいませ!
面倒くさいキャラだと言われますが、その思慮深さも主人公の玉森を想ってのこと!恋愛テーマのルートなのでやはり一番キュンキュンしました!


※以下ネタバレ注意※


…けど、プレイ予定の方は見ない方が楽しめると思いますよ…
とくに最後の能面の男ルートは…


【ストーリー全体 感想】

もとはPC R18 BL同人ゲーム。
vitaに移植され、CERO D。

【大正十一年 六月 雨の神保町】
ストーリーは、親友の水上の死をきっかけに三日間のループ現象(過去への時間跳躍)に陥る。
そもそも水上の一族に憑いていた、橋に憑く水の妖怪『橋姫』がある出来事をきっかけに、玉森に憑き、時間跳躍ができるようになっている。
玉森は『橋姫』のことを全く知らない。水上は勿論知っているが、玉森の性格上、そのことを教えていない。

水上の死を止めるため何度も時間跳躍を繰り返し、見たくないもの、知りたくなかったものを知り、自分自身も罪を犯しながら、それでも決して諦めない。
『相手のためじゃない、自分ためだ!』と玉森は言ってますが、それが結局、相手のためになってます。

私はそんな玉森の気概が好きです!

最終ルート以外では、『立派な文士になる』という玉森の夢を攻略キャラたちが必死に守ろうとします。寧ろ、本人以上にその夢を大切に想ってます。
玉森は攻略キャラたちに愛されているのですが、その表現が歪んでいたり、玉森に理解されようと努力してないので分からないのです…
要はみんな不器用なのです。

舞台が古書店なだけあって言葉を大切にしており、丁寧に作り込まれている作品だと思いました。
セリフ回しも、全ルートクリア後に再プレイすると『あぁ、そういう意味だったんだ…』『実は●●だもんな…』とか、理解できるので楽しめます!

『何が現実で、
何が幻覚なのか…』

その区別、これが最終ルートのキーワード。
最後のルートで『してやられた』。 
この最終ルートをするか、しないかで、この作品の印象がかなり違います。大団円ではなく『そんなぁっ!?』って感じですが仕方ない…これはこれで仕方ない…自分自身を説得させるしかない…

あと、同人だからと言っていいのか分からないですが、ストーリー補完しないといけない部分もあって、そこはPC版HPの『奥付』をがっつり見てください。勿論、プレイ後にです!重要なネタバレ有りなので。面白いQ&Aも揃ってます(笑)
また、最後のルートについての解釈もありますから要チェックです!
副読本も欲しい…

さて、まず先にvita版をプレイした私ですが…
艶シーンの差し換え部分…
『これは…R18じゃないとキャラ心境よく分からんよ!?』。
PC版と比較すると所々に艶シーンのセリフは入っているのですが、殆どバッサリカットされており、vita版だとどんな状況のセリフなのか、前後の流れがいまいちよく分からない。

よし!PC版(R18)購入だ!
…結果、我満足!
前の記事にも記載しましたが、艶シーンって一番感情を吐露してくれるので、やっぱりここはR18で見なきゃだわ!
vitaで新OPや公式HP掲載の後日談(R18シーンカット)が追加されてますが、やはり本編はPC版をお薦めいたします。
よりキャラの心境を理解するにはやはり艶シーンは必須です!(断言)
艶シーンもそこまで痛々しいプレイがありませんでした。媚薬盛られて無理矢理はあるけど…

肝心の『ラブ要素』ですが、最後の最後にようやく艶シーンが一度あるだけで『これをどうやってBLにもっていくんだ!?』と思うほどでした。
友情の話や水上の『自殺』の謎を解く話かと思ってしまいます。普通に小説として面白い。
主人公、奔走しまくりです!

…ですが実際は、友情の果ての愛情の物語。
『側にいてくれるなら、孤独を埋めてくれるのなら誰でもいいと思っていたけど、やっぱりお前じゃなきゃ駄目なんだ』展開なので、とてもおいしかったです…とくに水上ルートが顕著。

好感度を上げるゲームではありませんので、もともと好感度高いです。玉森のこと好きだけどそんな素振りを見せないか、好意駄々漏れ(博士)かのどちらかです。
ひた隠しにしている感情の吐露までがじれったいので、その過程は楽しめました~
博士ルートも思いの外、よかったです。
皆さん、基本ムッツリさんです(笑)
攻略キャラたちは不器用で、変わっている、天才・奇人(変態含む)さんなので(それが魅力なのですが)、よくも悪くも人間らしい玉森に惹かれたんだと思います。

スプラッタ流血シーンのスチルもありますが、そんなに大したことはない。グロさは大丈夫。切断面がドン!とか、臓物がドバ!とかのスチルがないので大丈夫…
スチルの血が鮮やかなピンク色のものもあり『なるほど、赤よりピンクの方がより鮮明に映えるな…』と冷静に見ていたぐらいです(笑)
ピンク色だから生々しくもなく、冷静に見ていられる…


プレイ前はループもの(周回プレイ)なので正直、飽きないか心配でしたがそんなこともなく、とても楽しめました~♪


◆攻略順
水上→川瀬→花澤→博士→能面の男

この順序でしかプレイできません。
初回プレイは強制的に水上ルート。
またEDはひとつで、選択肢は分岐ルート選択のみ。
ゲームというより、小説を読むスタイルです。

◆時間跳躍回数
(大字で表記されます)
水上→拾(10)
川瀬→陸(6)
花澤→肆(4)
博士→漆(7)
能面→陸(6)

◆艶シーンスチル枚数(PC版のみ)
水上→6枚
川瀬→6枚
花澤→4枚
博士→4枚
能面→3枚

◆仕様
フルボイス仕様。
目パチ・口パク なし
回想シーン 再生なし
※セーブをオススメします
ED後、人物・所持品紹介

スチルは多いです。

◆vita版(々)追加
・新規OP
・PC版OPも収録
・公式HP(PC版)掲載『後日談』フルボイス収録・スチルも有り【玉森視点・攻略キャラ視点】


◆ルート別(キャラ別)感想
キャラ名はすべて『水』に関する名がついております。
水は全てを分かち、『孤独』にさせるものであり、体液や羊水など水を通して、経験という記憶を継ぐものでもある。
そのように『水』の定義がされてます。

◎主人公:玉森/本名:水森タマ
総受け主人公。
『立派な文士』を目指す、帝大浪人生。好みのタイプは40代後半で胸と尻が大きい人。

『現実と幻覚の区別』がつかず、
現実に向き合いたくないため、自分が書き上げた幻想世界に入り浸る主人公。
この一言に尽きる。

一番の曲者は実は攻略キャラより、この主人公です。
主人公にある意味、裏切られました…。それは最後のルートのどんでん返しにて。

第三者からの主人公の評価が辛辣…
『あなた(主人公)自身には何の価値もない。天才の幼なじみと一緒にいることで、自分も価値ある存在だと思い込んでいた』
『水上が死んだことよりも、君(主人公)に何も残さないことがショックだったんだ』
と水上が死んで弱っているところを主に川瀬と治司くんから詰られます。そこまで心抉らなくてもいいじゃないか!
主人公のだめっぷりや、人間性をこれでもか!?と詰られる…傷口に塩を塗り込まれるシーンです。
これが数回、回想シーンで繰り返されます…もう言わなくていいよ!
人間として理解できる弱さなのですが…
これほどまでに強調されるのは、必要なシーンだからだと、今なら分かる。意地を張らず、孤独は嫌だと認めろということでしょう。

でもまぁ…親友死んだのに意外と冷静にしているから薄情なヤツだな…と思わなくもないけど(本人も自覚してる)、最終ルートを見るとその理由が分からないでもない…
人間味溢れる、よくも悪くも生身の主人公でした。

因みに艶シーンのスチルは玉森メイン表情がよく描かれており、私的にはどうせなら攻略キャラの表情も一緒に見せてくれいっ!って感じでした。玉森の赤らめた表情はとても可愛かったですがね…黙っていればキリリとした美男子なので、そのギャップはよかった…
でも攻略キャラの耐える姿って余計萌えるからね…ニヤリ

あと、不服なのはキススチルが水上(2枚/PC版・1枚/vita)しかないんですよ。私は水上推しなのでまぁ、いいのですが、他キャラないっていうのは、ちょっと…
ただ、Vita追加後日談には、花澤のキススチルが追加されておりました。

怪奇(猟奇?)小説『橋姫』は玉森が、真の友情に憧れ、孤独を埋めるために書いた物語でした。
最終ルートがいい意味でも、悪い意味でも、憎い展開…


【第一話 「十六橋の橋姫」】
◎水上/本名:水前寺水人
ルートテーマ:恋愛小説
キャラモデル:泉鏡香



糸目の親友。四歳からつるむ幼なじみ。酒造家跡取り。
生まれる前の記憶(正確にいうと水上に流れる血の記憶)をもつ、なんでも記憶することができる天才。だが応用がきかないので、実は玉森と同じく帝大浪人生。玉森の気を惹きたいがために、帝大生の格好をして周囲を欺いている。それを知っているのは下宿先の奥さんのみ。

生まれる前の全ての記憶に、水上が魚であれば、玉森も魚であるように、いつも玉森の存在があった。玉森の存在が水上の生きる意味。

水上のループ回数は計10回。
[内訳]
1~8回目:自殺
9回目:博士と花澤によって殺害
10回目:生存

さて、私推しの水上です。
恋愛テーマルートなので、やはり、一番面白かったです。一筋縄ではいかない、気持ちのやり取りが萌えました。時間跳躍を何度も繰り返し、悶々としていた気持ちが萌えに昇華いたしました。

玉森の引き止めにも関わらず、自殺を繰り返している水上ですが、その理由が8回目の水上自殺後にやっと判明。
関東大震災と原爆投下が絡むとは思ってなかった。…だからこの時代なのね、納得。
玉森は、水上の気持ちを受け止めたら自殺しないと思ってたけど、まさか本当の理由が原爆投下につながる軍事的要素だとは…
これは予想してなかった。
23年後水上が予言者として『水先』を偽り陸軍に囲われ、玉森が自由に夢を追えるよう庇っていたとは…
玉森が水上にどれほど大切にされていたのか、庇われていたのかよく分かりました。

過去に水上自身、玉森が死なないように23回、時間跳躍しましたが、あのカッパとの相撲話、実は川瀬から殺されることを回避するためだったとは…(川瀬ルートで判明)
水上は川瀬が玉森を殺すために橋に呼び出したことを知っていたのだろうな…繰り返した回数ををみると。でもそんな川瀬と友達付き合いできたのは、どうしてだろう…悶々…

玉森の存在が水上にとって生きる意味。
玉森が紡ぐ物語に生かされてきた水上自身も玉森を助けるため罪を背負い、自分は生きている価値ないと思って玉森に『殺してくれ』と言いますが、それも玉森を想ってのこと。
水上はこんなにも玉森を想っているのに、独占欲がなく、報われなくてもいい、玉森が幸せであればいい、夢を追ってくれればいい、という考えなので、玉森が不安がるのも当然。
何度も水上の自殺を見ている玉森にとって、水上の執着心のなさは不安でしかない。いつ首をグサっ!とやるかもしれない…これはほんと、トラウマレベル。
そんな水上の生への執着心を自分(玉森)に向けるよう行為に及ぶわけです。

艶シーンも一番長く、水上は何度となく『こんなことするの、やめよう』と言いますが、
『いやいや!ここまで来ておいて引き下がれるか!』…と私も玉森に同感。
大切に労ってくれるのは分かるのだが、しかぁしっ!
…玉森が全て代弁してくれたのでよしとしよう…
水上は水上で自身を落ち着かせるために経を唱え出した!
思いっきり吹き出したよ…
『この罰当たりめ!萎えるからやめろ!』と案の定、玉森に怒られる水上…
艶シーンでこんなに笑ったのは初めてかもしれない…
そんな押し問答がありましたが、行為に及ぶまで丁寧に描写が描かれていたので、満足です。いやぁ、二人らしかったですね~

スチルで可愛く色っぽい玉森が見れて、キススチルが2枚あって、あの玉森に『愛しい』なんて言わせるなんて~!水上~!いや~!
この一言、萌えました…キュンキュンです!
淡白に見える水上ですが、彼もなかなか…むふふ…ありがとうR18!大人万歳!それにしても、過去にも玉森と繋がったことがあったのか…そのシーン気になるなぁ~

ただ、艶シーンで水上が刮目しているスチルなかったのは、とっても残念…刮目しているときは結構レアで、真剣なときか、動揺しているときのみらしい。

刮目ついでに言いますと、
9回目時間跳躍の花澤と刃を交わすラストシーン…
刮目してる(このシーンは殺意がある)水上が格好よくて、普段のほ~んとしているときとのギャップが良すぎて『キャ~!!水上、格好いい~!その目で見つめられたい~!!(Mではない)』と、我興奮。
頬に滴る返り血もいい仕事(?)してます!←
超シリアスシーンなのですが、違った意味で鼻息が荒かったので(ふんふん)、セリフが頭に入らず再プレイしました…
…というか、刮目した水上は川瀬と張り合うほどのイケメンだと思います…ごっつぁんです!
他にも刮目スチルありますが何度見ても飽きないわぁ~シリアスな表情も微笑んだ顔もいいわぁ~…
久々にミーハー心に火がつきました。ファイヤー!!

またお堂の屋根に春彦さんと蛙男がいたことも粋だねぇ…二人を見守ってたんだね…世話になったな!ありがとよ!

玉森がどれほど水上を必要としているか、また水上がどれほど玉森を大切に想っているか、理解するルートでした。

水上のラストスチル、青い目の微笑みで、今までの苦労が報われた思いでした。いい笑顔だ…格好いい…
黒もいいけど、青い目も似合うよな、水上…小さい頃の水上ボーイも見たかった。スチルはあったけど、表情は描かれてなかったんだよな…
チビッ子川瀬はスチルがあったのに!クリクリお目めで、めっちゃ可愛かった!でも、どうしてこうなったのか…劇的ビフォーアフターってヤツですな…家庭内事情のなせる業か…

後日談では田舎に帰って1年と数ヶ月後の二人の日常。
相変わらずの二人みたいですが、水上が一升瓶を飲まされて、酔った姿が見れます。でも酒造家の息子だけあって、酒に強い。見た目は変わらないけど、一升も一気に飲めばさすがに酔ってしまうようで…
水上!?そんなこと言っちゃう!?
…玉森に嫌われないよう普段抑えている分、酔って本音が出ちゃった…ふふ、楽しい…

水上の『いたしてますよ』発言!
水上は当たり前のように、しれっと、さらっと、するっと(?)。
私も奥さんと同じ反応。ぐふふ…

しかし、雨の日の夜にしか抱き合わないとは…溜まりますな…(はっきり言う)
その理由が分かると納得。橋姫の制約で、雨の降る日に他人のために行動すると、その人が一番恐れる災いが起こる。
玉森を優先する水上に、自分本位に行動してほしいという玉森の願いもあるのです。
この艶シーンも、ボイスありきでPC版で見たかった…
酔った水上にタジタジの玉森も見たかった…っ!!
ラストは生きていることに感謝している水上の言葉を聞けて満足でした。玉森もさぞ、嬉しいことでしょう!生きることの執着、玉森への執着が出てきている証拠です。

以上!水上ルートで既に満足してしまった私でありました…フフ!

それにしても、泥水に突っ込まされた川瀬の壊れっぷりがウケました…




【第二話 「悲喜劇の橋姫」】
◎川瀬/本名:瀬川(養子入り→池田)瑛一
ルートテーマ:探偵小説
キャラモデル:黒岩涙香

幼なじみの口の悪い美形。超潔癖症。でも本当は玉森にだけ触れられる偽潔癖症。
帝大医学部生。家は大工の家系。

川瀬ルートをクリアした後で川瀬の言動を振り返ると、川瀬が可愛く見える…これぞ、川瀬マジック!(笑)
『そんなこと言って…実は~とか思っているくせによぉ!可愛いヤツだなぁ!まったく!』と思う愛いヤツです。あんなに玉森のこと、ボロクソに言ってるのに、それは愛情の裏返しってヤツですな。
あれですよ、好きなヤツは虐めたくなるってヤツですよ!強引にまとめると!
この川瀬の告白シーン、よかった…萌えたね!
玉森と接するときだけ、感情を揺さぶられると…いいねぇ!

偽潔癖症のことも玉森に触れないようにしてたのは、玉森が綺麗だからとか…萌える。罪を背負う自分が玉森に触れてしまうと、玉森が汚れてしまうから…
この葛藤をずっと持っていたのか…
可愛いヤツだなぁ!まったく!

家庭内事情も荒れているので、人格形成に影響し、なまじ頭がいい分、洞察力もあるので、一番悶々としているキャラだと思います。
自分の感情を吐露することが一番怖いと思っていたキャラじゃないかな…
玉森のこと好きなくせに『水上に慰めてもらいな』とか平気で言ってたのに実は…ってヤツですよ!

店主の記憶を引き継いでからの川瀬の態度は、おいしかった…
水上が好きだと思っている玉森に対するあの、謙虚にも思える態度。あの川瀬が!
水上推しの私でもおいしかったです。

店主との幻想対決(?)も楽しかった!スチルもよかったですね。
玉森が見ている幻想に触れ、川瀬も自分が今まで見ていた世界がいかに退屈であったか理解したことでしょう!

スチルはで欲しいと思ったのは、
玉森の手にキスして『玉森くんだけには触れられるんだよ』と偽潔癖症告白シーン!
基本川瀬スチルは、ニヒルな笑みか驚きか。表情の変化があまり見られないキャラなので、艶スチルもあんまり普段と表情変わらない…想像するしかない…

川瀬は共犯エンドって、感じかな…
川瀬も玉森との関係は形式に拘らないと言ってますが、端から見れば『恋人』です!玉森認めちゃえよ!好きでもないヤツに抱かれるなんてことできないだろ!と思いました。

艶シーンは、
川瀬よ、既に男に抱かれていたのか?受けの経験者は語る…というセリフがあるので、相手誰だ?と悶々しました…むむむ…副読本に書いてあったりするのかな?副読本や初期資料設定見たいな…

川瀬は自分に移った橋姫の力で過去の自分を殺すために帰郷しようとします。そんな川瀬を玉森が必死に止めるシーンから、艶シーンに雪崩れ込むので、甘くない。切なさより、苦さが目立つ。でもこれはこれでオイシイんだな…そんな印象でした。

後日談では、玉森に惚れている感情を隠す必要がなく、ある意味開き直った川瀬が見れるので、ニヤニヤしてました。


【第三話 「紀元前の橋姫」】
◎花澤/本名:梅澤八々朗
ルートテーマ:冒険小説
キャラモデル:押川春浪

幼なじみの軍人。父親が医者。
上に7人の姉がいる。梅澤家待望の男子。
何事にも動じないように毅然と振る舞うよう教育されていたが、実は好奇心旺盛で冒険好き。玉森の書く物語が好き。

国のため、玉森のためにと、橋姫を花澤に移そうと試みるルートでした。
国を戦争から救った暁には、玉森が書いた原稿の感想を自由に、素直に述べようとしておりました。
そのために、形振りかまわず、水上ルートでの悪役ポジションになります。自身のルートでもそのポジションは変わりません。

5つのパターンを提案しましたが、4つめが艶シーン。
玉森は、眠らされて媚薬を盛られるのですが、憧れていた兄貴分に信頼を裏切られるシーンでもあるので、行為が始終痛々しかったです。身体は媚薬で感覚麻痺してても、心は痛いからね。私、こういう展開、辛いから苦手…

…ですが、夢の中のジャングルのスチルや、ラストの紀元前に時間跳躍し真っ青な海に浮かぶスチルは爽やかで気に入ってます。
基本、このゲームは雨のシーンばかりで、薄暗く、陰鬱としたスチルが多いです。爽やかなスチルが逆に新鮮に見えました。空と海の青さが清々しいです。

紀元前に時間跳躍したことは本当の『地獄』の始まりなのですが、そんな気配のない爽やかさが逆に皮肉。
後日談の内容の方が私的に好きでした。苦悩の末の意志疎通…
花澤の人間らしさがやっと見えたような気がする!
キススチルもvita版で追加されたしね!

花澤ルートの川瀬がオイシイ…
川瀬の酔った姿が見られます。喧嘩上戸の眠り上戸。いつもとちょっと様子が違って何だか可愛く見てるのが不思議(笑)

またこのルートでは、警察署での水上遺体確認のシーンがしっかり描かれておりました。水上の手帳についても少し詳しく触れました。

また、梅鉢堂の火事(花澤の放火)で、玉森が怒るシーンのスチルが印象的でした。

水上ルートで対立するキャラなので、私にとって苦手キャラです。
花澤ルート、どうもプレイし辛かった…


【第四話 「ブリキ細工の橋姫」】
◎博士/本名:氷川喜重朗
ルートテーマ:科学小説

氷川酒造当主でもあり、優秀な科学者でもあり、医者でもあり、吾妻橋の橋姫に憑かれている。
7割変人で3割変態(by玉森)。
花澤の親友。



正直、博士ルートは期待しておりませんでした。
水上ルート終盤の博士はマッドサイエンティストで、自分の思い通りにいかなくて結局壊れたし、玉森に好意だた漏れで、奇人変態なのは態度を見れば明らかなので、ちょっとうんざりしてたのです。すぐに謝る態度もちょっとなぁ…と思ってました…が、

…んん?本人ルート、いいじゃない!!
玉森と一緒に策を考え、水上の自殺を必死で止めようと協力してくれました。このルートで水上の行動を客観的に見ることができました。時間跳躍も博士に憑いているの橋姫の力で一緒にループしてくれたり、全面的に協力してくれます。水上ルートとは大違い!
また、このルートで玉森の本名が判明します。

このルートの玉森は、自分から水上のこと好きだったんだと自覚し、水上に告白します。
ですが、その後は水上より博士のために行動します。

何だか水上ルートと対になっているような印象を受けました。水上ルートで判明したことを使って、博士が掬われますし。玉森のおばあちゃん登場して(スチル有)驚いた!
本編ルートの別視点みたいな感じで楽しめました。

変人・変態だけど、人として根本的に大切なことは分かっている。
玉森に対して真っ直ぐで純粋な心に、玉森も報いたいと思ったのでしょう。そんな博士に似合う人間になれたら、自分を好きになれそうな気がする…と。
玉森がここまで積極的に自分を変えようと思ったのは、このルートが初めてだと思います。

博士の一途で見返りを求めない態度に、玉森の心も良心の呵責を覚え、自分もそんな博士に似合う人間になりたいと。
この過程が丁寧で、博士が変態だということも度々忘れ、キュンキュンしてしまいました。…不覚(笑)。
ストーリー的には、水上の次に好きです。

艶シーンは、やはり変態だった…(笑)どっちが受けだか分からないや…玉森も嗜虐心を煽られて攻めますねぇ~いやはや、ぶはっと笑いが込み上げます。博士は艶シーンより、それまでの策を高じたりする頼りになるシーンの方が格好よく見えました。

砂山さんと一剣さんの二人の博士に対する想いも深い。
砂山さんの『ごめんあそばせ♪』が好きでリピートして聞いてしまいます(笑)『竿森様』は何故か卑猥に聞こえて笑える…水上ルートで水上が砂山さんに一撃食らうシーンも好きです。強い!水上を肩に担ぎ上げてるぜ…一剣さんは『怖い』の一言です。

まさか玉森が博士に眼球移植までするとは思わなかったので、驚きましたが、玉森の本気を見れたのでよかったです。でもよくあの川瀬が移植してくれたよな…そこの説得も凄まじいやり取りがあったんだろうな…

ED曲は『Bibliophilia』
意味は『愛書家』
この曲のサビ部分が好きです。

『古典に潜んだ純愛と時折覗く猟奇に
老いらくの愛を見つけ
始めからあなたにまた恋をする』

博士のEDのみ流れる曲です。
博士ルートは水上ルートとは違った意味で、特別感がしますね。

後日談は、眼球移植直後の手術室(?)から始まります。移植した川瀬の気持ちを思うとモヤモヤしますが、川瀬ルートでないし、仕方ない…
何だかんだ言っても博士には厳しい私です(苦笑)水上ルートでの博士の仕打ちに恨みを持っている…
ただ、vitaの後日談より、公式HPの艶シーンが思った以上に濃厚でしたので、是非そちらも見てくださいね~ふふ…


【第五話 「古書店街の橋姫」】
◎能面の男/本名:水森カオル
ルートテーマ:猟奇小説

真相ルートというか、現実に戻るルート。
今までの幼なじみキャラ三人は既に店主によって殺されており、玉森が『生きていたとしたらこんなヤツだろうな~』という想像の産物でした。
能面の男=カオルだけが唯一、実在する存在。
カオルの存在を認めるということは、三人が存在しないという現実を認めることになる。自分の作った箱庭(物語)の外に出ることは恐怖以外の何者でもない。
現実=恐怖の存在として、玉森はカオルから必死に逃げておりました。

だから、
『何が現実で、
何が幻覚なのか…』
なのね。
全くもってその通りです。
してやられた…
これには呆然としました…

私(プレイヤー)が玉森と必死になって追いかけていたシナリオが全て、玉森の妄想だったとは…
あんなに頑張ったのは何だったんだ…

決っして後味がよくありませんが、この作品らしさを充分理解できたと思います。

いや、でもショックです…!
あんなにキャラの言動に一喜一憂していたというのにっ!

でも、コンセプトに合っているし、納得するしないに関わらず、理解することはできる…

うん…自分の好きキャラのルートが真実だということにしておこう!…と自分を無理矢理納得させよう(苦笑)

バッドEDでもないのに、この後味の悪さはなかなかないさ…はは…笑うしかない…

カオルの艶シーン(PC版)もありますが、恋愛の好きではなく、家族や親愛の好きのような感じでした。

玉森の15年後の姿が立ち絵が出ますが、23年後の店主よりこっちの方が好みですな…

そして何より、このルートの構成が憎い…
ルート最初は、サブキャラ含めて攻略キャラたちで今までの出来事を劇して撮影するんだ、今までの出来事は皆、夢だったんだ~夢オチでよかった!誰も欠けることなく、皆で和気藹々でもって、大団円だぜ!(←この単語も出た)と安心した瞬間、一気に地の底に叩き付けられました。再起不能…しばらくお待ち下さい…now Roading…

一度持ち上げてから落とす方が衝撃があるからね…きっと、それも計算のうちだろうさ…

…そうだね、今さらだけど同人ゲームだったね。尖ってたり、個性的で、突出しているものね。ううむ…何を信じていいのやら…


…と、最終ルートでまさかの衝撃的な事実が発覚しましたが、それも含め楽しめました。
クセはありますが、過程を楽しめますし、実在する小説が登場したり、時代背景も反映されているので、好きな人は堪らんでしょう…っ!

私はこの長文から察せられます通り、そりゃあ、楽しめました!
もともと奇譚とか伝奇、怪奇ものが好きなので、ドンピシャでした。リアルにありそうな不思議で、ホラー要素があるストーリーが好きです。
男女の乙女ゲーでは滅多にお目にかかれない、貴重な作品です。

たくさん感想を書きましたが、文字数でいうと、一万字超えしてます。
400字詰原稿用紙、30枚弱になってます。
自分でもビックリです!
まだまだ細かいところ、書き出すととキリがないのでこの辺りで!

…それにしても艶シーンの感想が殆どなのだが…まぁ、いいか…
艶シーンは、基本暗転しているか、背景画面で、要所要所にスチルが出る感じです。
正直、ここのスチルが欲しいよ!
もっと攻略キャラの表情見せてくれ!と思わなくもないキャラもいましたが…

長文にお付き合いいただき、ありがとうございました~
R18が大丈夫であれば、そちらを強くオススメいたします!


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