危険物に静電気が発生する危険性とは? 静電気対策はあるの?
静電気を知らない、という方はまずいないでしょう。
しかし、空気が乾燥する冬場に発生しやすいちょっとパチッとくるもの、というイメージを
持っている方がほとんどだと思います。
静電気は立派な電気。
火花が散りますし、危険物に引火すれば大変なことになります。
そこで、今回は危険物の静電気対策についてご説明しましょう。
静電気は人体と金属がふれあったときに発生するというイメージがありますが、
それだけが発生源ではありません。
危険物取扱者の試験を受ける予定の方はぜひこの記事を読んで、知識を整理してみてください。
目次
- 静電気とは?
- 静電気の種類とは
- 危険物が帯電する危険性とは?
- 静電気を予防する方法とは?
- セルフのガソリンスタンドでの注意点
静電気とは?
静電気とは、物質の中に帯電している静止した電荷のことをいいます。
これが動き出すと、「電流」になるのです。
私たちの体の中にも、当然静電気はたまっています。
というより、物質であればどんなものにも静電気は発生するのです。
また、「静」という文字から、静電気は弱い電気というイメージを持つ方もいます。
しかし、静電気は決して弱くも小さくもありません。雷も静電気の一種なのです。
ですから、静電気を甘く見てはいけません。
電化製品や危険物を取り扱うときは、静電気を発生させないように注意が必要なのです。
静電気の種類とは?
静電気には、いくつかの種類があります。この項では、静電気の種類をご紹介していきましょう。
2-1.摩擦(まさつ)帯電
静電気を発生させる方法として、最もポピュラーな方法です。
下敷きをこすって髪の毛にあてると逆立ちますね。
あれが、摩擦(まさつ)帯電です。
もの同士をこすりあわせることで、プラスの電荷とマイナスの電荷を帯電させます。
セーターなどを脱ぐと、ぱちぱちと音を立てるのも、この摩擦(まさつ)帯電の一種です。
2-2.接触帯電
別の物質に触ると物質同士の間で電荷の移動があります。
このときに帯電するのが、接触帯電です。
乾いた手で金属性のノブを触るとパチッと感じるのも、この接触帯電になります。
2-3.流動帯電
流動帯電とは、管内を流れる液体が帯電する現象です。
管内を流れる液体というと、水道をイメージする方が多いですが、水は絶縁体なので帯電しません。
しかし、管の中を流れる液体はたくさんあります。たとえば危険物も液体であれば管の中を流れることもあるでしょう。
それが帯電すれば静電気の火花で発火したり爆発したりする可能性もあるのです。
2-4.噴出帯電
液体や粉類が勢いよく空気中に噴出すると、摩擦(まさつ)で帯電します。
「空気で摩擦(まさつ)なんて起こるの?」と思う方もいるかもしれませんが、宇宙空間からいん石が地球に落下するときは、空気の摩擦(まさつ)で燃え上がります。
流れ星が尾を引くのは、空気の摩擦(まさつ)で発火しているからなのですね。
ですから、物質が勢いよく噴出すればそれだけで燃え上がることもあるでしょう。
2-5.そのほか
このほかにも、液体が凍結するときに帯電する「凍結帯電」や個体が破壊されるときに帯電する「破砕帯電」があります。
つまりちょっとしたきっかけさえあれば静電気は発生するのです。
危険物が帯電する危険性とは?
危険物とは、消防法で定められた「そのまま保存していれば、発火、もしくは爆発する可能性がある物質」のことです。
また、危険物の多くが引火しやすく、火の気を近づければ燃え上がったり爆発したりするでしょう。
一例をあげると危険物第4類に分類される引火性の液体のひとつ、石油類です。
特に、ガソリンは常温でも引火します。
ですから、ガソリンが帯電し静電気が発生すれば、その火花で燃え上がったり爆発したりするかもしれません。
しっかりと静電気対策を行うことが大切です。
静電気を予防する方法とは?
では、静電気をできるだけ発生させないようにするにはどうすればよいのでしょうか?
この項では、危険物を扱ったり保管したりしている施設が行っている静電気対策の一例をご説明します。
4-1.アースをつける
アースは、静電気が蓄積しやすい設備につけて、帯電した電荷を地面に流すものです。
ですから、帯電しやすいものの中に入れた危険物には、アースをつけて電荷を逃がしましょう。
4-2.湿度をあげる
冬に静電気が発生しやすいのは、湿度が低くいからです。
水は優秀な絶縁体ですから、空気中に水分が多くなると接触帯電なども起こりにくくなります。
ですから、摩擦(まさつ)帯電などが発生しやすい施設では、意図的に湿度をあげて静電気を発生しにくくしているところもあるのです。
しかし、あまり湿度を高くし過ぎると今度は中で働いている人が不快になりやすくなるので、注意が必要になります。
4-3.流速を遅くする
管の中を危険物が流れる状況というと、ガソリンが給油されるときです。
ビニール製の管の中をガソリンが流れてタンクに流れ出ますね。この速度が早すぎると、流動帯電が起こりやすくなるのです。
ですから、ガソリンスタンドではガソリンの流動速度が決まっています。
早く給油したいからと速度をあげれば大変なことになるでしょう。
また、ほかの危険物を扱う施設でも同じです。
管の中を危険物が通るときには、流速を遅くすることが必要になります。
4-4.化繊(化学繊維)の服を着ない
セーターを脱ぎ着すると静電気が発生しやすいのは、セーターに含まれているアクリル毛糸のせいです。
ウール100%のセーターはアクリルセーターよりも静電気が発生しにくいでしょう。
ですから、危険物を扱うときは化繊の服を着ないように心がけてください。
最も静電気が発生しにくいのは、木綿の服です。
また、洗剤などにも含まれている静電気除去剤などを使ってもよいでしょう。
4-5.危険物を連続して動かさない
ものが動けば摩擦(まさつ)が発生します。
そうすれば、摩擦(まさつ)帯電が起こるでしょう。
ですから、危険物や危険物を含むものを移し替えるときは、時間を置いて次々と移し替えないように注意してください。
しばらく放置しておけばある程度放電します。
湿度が高ければ、空気中の水分内に放電するのでなおよいでしょう。
セルフのガソリンスタンドでの注意点
セルフサービスのガソリンスタンドには、必ず静電気を逃がす装置が設置されています。
危険物を扱う施設ならばいろいろと対策が立てられていますが、セルフサービスのガソリンスタンドでは、客が帯電していれば静電気が発生しやすくなるのです。
特に、冬場は要注意でしょう。
ガソリンスタンドの給油装置は安全性が高いですが、ガソリンは引火点が低いため、わずかでも火花が散れば大変なことになります。
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<iframe id="aswift_1" name="aswift_1" frameborder="0" marginwidth="0" marginheight="0" scrolling="no" width="336" height="280"></iframe>おわりに
いかがでしたか?
今回は、危険物の静電気対策についてご紹介しました。
まとめると
- 静電気は物体同士を摩擦(まさつ)する以外でも発生する。
- 静電気で火花が散れば、引火点の低い危険物は発火したり爆発したりする。
- 湿度をあげたり流体速度を遅くするなどして対応しよう。
ということです。
危険物を扱う施設ならば、静電気対策はほぼ心配ないでしょう。
しかし、危険物を扱う「人」が、帯電していた場合は要注意です。
ですから、冬場は危険物に触る前に手を洗いましょう。
水を混ぜてはいけない物質以外は手がぬれている状態で扱えば、静電気はまず発生しません。
また、セルフのガソリンスタンドで給油をする前に、ウエットティッシュで手を拭いても効果的です。
静電気を除去する装置が見当たらない、もしくは壊れているという可能性はとても少ないですが、覚えておくとよいでしょう。
また、ガソリンを扱う場合も同じです。
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