三月の嵐は
そっと君の頬を撫でるように
こころのかどを削っていく
穴を空けて激しく吹き込む風に
目も開けていられないだろう
あなたの思いなどとは全く関係なく
それは吹き荒れる
優しく
優しい気持ちがその先に待っているかといえばわからない
ただ止めどなく溢れてくる激情に身を任せられずにいると
ふとぬるいぬめぬめとした壁がそそり立ち
身をくるみ
吹き飛ばされる
絶対零度の凍てつく氷原にいても
ぬるい壁が身を包む
繰り返す別れ出会い生きていればこそ永遠の別れ
三月の嵐に乗って
気圧も雲も雨も雪も
山も谷も木も
川も砂も海も波が
狂い乱れる
やがてハルが訪れるやってくる
時間という概念は残酷で無情だ記憶をどんどん浸食していく
そして何事もなかったかのように
三月の嵐は
こころのかどを削っていく