URAKARA9話(2)
URAKARA episode 9 (2)
「ハラが銀行を訪れる」
「うんうん」
頷くスンヨン。
「そこに強盗が登場する」
銀行内は混乱が起きる。
メンバーがその様子を想定して悲鳴をあげる。
ジヨンが強盗の立場で「静かにしろ!」と叫ぶ。
「そして、ハラが人質に取られる」
「なるほど」
うなずくギュリ。
「そして、犯人がハラに気付きます」
「お前! KARAのハラじゃないか。ちょっと歌ってみろ」
「ギェイッ」
社長2号を見て、面白そうじゃない、とばかり拳を突き出すしぐさのニコル。
「仕方なく歌うハラ~」
パンパバーン。ようやくクライマックス。
「そこにドッキリの看板を持った支店長が登場」
「ドッキリ、大成功!」とVサインを出す。
泣きべそのハラが浮かび出る。
「と、いうわけです」
「へえ~っ、支店長も仕掛け人ですか?」
関西のぞみが説明を入れた。
「KARAの大ファンなんやて。銀行も全面協力ちゅうこっちゃーっ!」
ニコルがカメラの前に顔を突き出す。
「ありがとうよーっ」
ギュリが彼女を押しのける。
「ということは・・・銀行に行かせるために?」
社長2号はイエスのマークをつくる。
「そのミッションを与えました」
それを聞いて、メンバーははしゃぎ出した。
銃を持った格好で強盗らの真似を始めるのだった。

しかしここで計算違いが発生している。
ハラだけ内緒のはずのこのミッション。携帯を取りに合宿所へ戻ってきたハラが偶然話を立ち聞きしてしまったからだ。
玄関先にいたハラはつぶやく。
「忘れ物を取りに戻ったついででスゴイ話聞いちゃったみたいだわ」
ハラは携帯を手にせずそのままこっそり合宿所を抜け出した。

「筋書き通り、私が人質になっていいわ。名誉挽回のチャンスだわ」
にんまりしてハラは急ぎ足になった。
すると、その背後にフード付きコートの不気味な男が立って彼女を見送った。
「えっ? ほんまですか? うわーっ、わかりましたァー」
かかってきた電話に出た関西のぞみの応接が何やら変であった。電話を終えた彼女は浮かない表情になっている。それに気付いてギュリが訊ねた。
「どうしたのですか?」
「うん、山本さんからで、借りるはずだった銀行がやっぱりむつかしいんやて。とりあえず、ドッキリは中止です」
がっかりするメンバーたち。
「楽しみにしてたのに!」とジヨン。
「に――っ!」とみんな。
「じゃあ、ハラに連絡した方が」とスンヨン。
「ですね」と社長2号。
さっそくジヨンが電話を入れるが、ハラの携帯はそばで鳴り出した。
スンヨンがそれを手にする。
「忘れていってる!」
ニコルは思い出して言った。
「ハラ…ハゲのおじさん、落としに行ってますよね。ねっ、ああーあ」
ギュリと二人で睨みつけるようにする。
社長2号は自分を指差して気絶してしまった。
「電池切れですか」
それを見て関西のぞみが呆れたように言った。彼女はどうやら彼についてよくはわかっていないらしい。
「じゃあ、迎えに行った方が・・・」
「せやなあ・・・行こか」
メンバーが部屋を出た後、社長2号はむっくり起き上がった。このところ、彼の動きは変調気味である。
ハラはドッキリの筋書きが予定されている銀行へやってきた。ターゲットの支店長はここにいるはずだ。
さて、どこにいる?
銀行に顔出した時からハラはにやついている。それもそのはず、今日のドッキリの主役は自分だからだ。
彼女は銀行内を注意深く観察しだした。
「この人たち、全員役者さんなんだ」
いろいろの人がいる。
「もう、撮影しているのかな」
ふと見ると、支店長が客の苦情を聞いている。がなっているのは中年の女性だ。
「どうなってるの! それは銀行のミスでしょう!」
「はい。はい、おっしゃるとおりです」
支店長は深々と頭を下げている。
「うわーっ! ターゲットの人、すごく怒られてる」
「何とかしてくださいよ。今日とか明日とか、何とかならないかしら!」
二人のやりとりに関心を向けていると、メンバーらが銀行に入ってくる。

呼ばれて、ハラはメンバーを振り返った。
「みんな、どうしたの?」
「ミッションだけど、中止だって」
「どうして?」
「ですよね? 2号さん」
「今回はとりやめです」
社長2号はミッション用紙を握っている。それを二つに破いた。
「何で?」
事情のわからぬハラは訊ねた。
「いいじゃない」ニコルが言った。「あんなオジさん、イヤでしょ?」
見ると、ターゲットの支店長はまだお客に叱られている。
「グルグル(回転?)寿司でも食べに行こう!」
スンヨンがハラの手を取った。今日の主役になりそこねたハラはいやいやメンバーについて行くほかない状況のようだ。
しかし、ここで想定外の出来事が発生した。
二人組強盗の押し入りである。銀行を出て行こうとするKARAの前に彼らは立ちはだかった。黒い目だし帽姿で拳銃を突きつけてきた。メンバーは悲鳴をあげながら中に逆戻りするしかなかった。
「騒ぐんじゃねえや。どけや、このヤロー!」
二人組は全員の位置を掌握した形で銃を構えた。
「ちょっとでも動いたらマジで撃つから」
行内は騒然としてパニック状態を呈したが、ドッキリ、の筋書きがまだ頭にあるハラにとってそれは事件のように思えないのだった。
一人が支店長に近づいて叫んだ。
「金つめろ!」
彼らの動きにハラは感心した。
「わあ、すごいっ! みんな迫真の演技だわ」
自分の出番が近づきつつあるのを感じながら、おもわず手を叩いていた。
支店長は銃をつきつける男に顔を近づけてぼそぼそと訊ねた。
「これって、今日やる予定だったどっきりじゃないですよね。…中止になったはずじゃないんでしょうか」
「何言ってんだ、てめえっ!」
「すみません」
長いすにすわって震えながら、ギュリはメンバーと口パクで言葉を交わした。
ギュリ。(本当に強盗?)
スンヨン。(わかんない)
ジヨン。(ドッキリ中止だって言ったでしょう?)
関西のぞみ。(そうや)
ニコル。(じゃあ、この人たちは?)
みんないっせいに二人組の方を見た。
(ホンモノ!?)
一人が銃を突きつけて言った。
「何しゃべってんだ!」
みなは否定しながら目を落とした。
支店長によって金が用意された。
そのバッグを握って出て行こうとする強盗犯。
人質予定のハラは自分の出番がないのを疑った。
「えっ? 私が人質になるんじゃなかったの?」
強盗犯が銀行を出ようとするのを見て、ギュリやニコルらに安堵の表情が戻ってこようとするが、ハラが彼らの前に立ちはだかった。
「待ちなさい!」
メンバーはハラの行動に唖然となった。
「ハラ! 何でやのん」と関西のぞみ。

出て行くのを邪魔されて一人が言った。
「何だ、お前?!」
「あなたたち、いい加減にしなさい!」
そう言うや、ハラはいきなり二人の目だし帽を顔から剥ぎ取った。
顔をさらして、二人はうろたえ、あわてふためいた。
「どけ、このヤローっ!」
「どくわけないでしょう、このき~…」
「マジで殺すぞ」
男は銃の引金に手をかけた。
しかし、ハラは(いいわ順調!)とばかり余裕綽々だ。

(これで強盗が私に気付いてくれれば予定通り…)
「どけ!」
男たちはハラを押しのけて外に向って走る。しかしハラは、上着のえりをわしづかみにし二人を行内へ引っ張り戻してくる。
「何でやねん!」関西のぞみは叫んだ。
強盗犯も叫んだ。
「あんた、何なんだよ!?」
「私?」

やっと出番を得られたとばかり、ハラは満足そうな顔になった。両手で顔をかくし、ぱっと開いて訊ねた。
「だぁれだ?」
「知らないよ」
(はは~ん、この人たち・・・ちゃんと台本読んでないんだ・・・しようがないわね。自分の方から歌いだすことになるけど…)
「ヒントをあげる」
ハラを見てメンバーは(何やりだすの?)の顔になる。
「ワンツ、スリフォーッ、ララララララン、ララララララン♪」
そう歌いだし、ハラは腰を振って踊り出した。
次は、ジャンピン、の歌だ。
一人がようやく反応した。
「お前、もしかしてKARAの」
「そう」
「ニコル?」
「イエっ、違う。ハラよ、ハラ」
「ああ、そうだ。ハラだ」
もう一人が訊ねた。
「有名なのか?」
「おおっ。K・POPアイドルだよ」
ハラはいたく充足した。
(これでようやく台本どおりになった…)
ハラは二人を振り返った。
「さあ、私を人質に取りなさい。取りなさい」
そう言っておいて、支店長に命令した。
「シャッターを閉めなさい」
「はい」
支店長は言われた通りにする。メンバーは拍子抜けしている。
ハラはメンバーに向けて(グー)の合図を送るが、ギュリたちは首を横に振るしかなかった。
この後、一発の銃声がとどろく。犯人の一人が花瓶を撃ったのだ。
さすがのハラも状況の異変を感じた。
犯人の首領格はハラを見て言った。
「いい加減にしろよ」
「えっ!? ホンモノ?」

ハラと目が合ったメンバーは頷いた。
(そうよ。あなたの勘違いなの…!)
ハラはつぶやき返す。
(これって、ドッキリでしょう?)
これを見て関西のぞみは不思議な顔をした。
(このこと、知ってたんや。道理で…)
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