雨の記号(rain symbol)

藤井聡太竜王 VS 松尾歩八段



藤井聡太竜王 VS 松尾歩八段


第80期順位戦 B級1組8回戦より


 藤井聡太竜王の将棋は攻めても受けても切れ味が鋭い。今日は相手の攻めを巧みに咎めて勝った。
 松尾歩八段の5五銀を見て6五桂と飛んだのがそれだった。
 こうなったら松尾八段も5五銀の顔を立てて引き下がるわけにいかない。4三に角を打って主張を通そうとするが、藤井竜王は玉の顔面受けで対抗した。それが最強の受けだった。飛車と角に睨まれて今にも破られそうな藤井陣は玉の守りが四方に利いて意外と堅い。
 松尾八段は5六歩で追われた右銀を6四から7五、6六銀と三手かけて歩一枚しか取れなかったのは痛かった。結局、6七銀なりともう一枚歩を取って憤死するが、同玉と払われた先手の陣形は玉が突出するものの思いのほか安定していた。
 一連の攻防がここまで進んだところで、松尾八段は4三に打った角が意外と働いていないのを実感したのでは…?
 7四桂打ちを見て6六歩打ちと玉頭を叩くが、このあたりはすでに藤井竜王も勝負の流れを見切っていたようだ。強く同玉と後手の注文に応じ、7四桂打ちに5七玉と引く。
 金気の駒を持たない松尾八段は8六桂と飛んで銀を補充し、次に金取りとする。
 藤井竜王は7七に金をかわす。こうなってみると松尾八段に攻めの継続手段がない。飛車と角の働きは8五と7六の歩で止まったまま。8五に飛車を走っては8六の桂馬が邪魔駒だし、4三の角も7七の金のせいで7六に飛び出すこともできない。
 松尾八段は6六に歩をたらす。藤井竜王は6八歩と打つ。後手8五飛車に8七歩。後手の攻め筋は次々と消されていく。飛車と角の睨みを守っている7七金を狙った8八銀打ちに先手は8六金と飛車に当ててかわす。
 このへんですでに松尾八段は諦めモードで、藤井竜王が7一角と打って席を外した時はため息まで漏らしていた。
 この後、先手の5五桂打ちに松尾八段は5四に角を逃げて席をはずす。藤井竜王はじっくり考え、松尾八段が戻った後、7五金と進撃する。
 松尾八段は上着を着こみ、さらに考え、お茶をひと口飲んで投了を告げた。
 
 今日の藤井竜王の勝利はいぶし銀というか、小太刀を使ったような貫禄の勝利だった。
 竜王となって藤井四冠の強さのスケールが少し見えた気もした。


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