luster lake(ラスターレイク)のファンブログ

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音楽アーティストといって真っ先に思い浮かべるのは

2017-09-05 | 日記
音楽アーティスト、という言葉で真っ先に連想するのは、私の場合はアンドレス・セゴヴィア(Andres Segovia, 1893〜1987年)です。彼はクラシック・ギターにおいて現代的奏法を確立させた人であり、生前も十分な評価があったし、没後も更なる名声を得ていると言って良いでしょう。

彼は常にギター奏者としての自分自身を高めるために、技巧・音楽性・レパートリーの拡充・楽器の質向上に努めてきた人でした。今もって彼の高みを見るギター奏者は存在しない、としても過言ではないでしょう。一番の功績は、田舎の大衆楽器に過ぎなかったギターを、ピアノやヴァイオリンにひけを取らない、コンサート楽器に仕立て上げたことです。同世代の作曲家がギターに注目し始め、セゴヴィア自身に献呈した作品を多数残しています。また教育者としても優秀で、世界中に優れたギター奏者を多数輩出しています。

私は専門家が高く評価する個人に注目したい、と思っています。つまりプロが超一流と認める存在を重視するということです。その意味では、今日のギター奏者がこぞって尊敬するギター奏者にセゴヴィアの名を挙げるというのは重要です。音楽アーティストとしては至高の存在です。

ギターという楽器は、構造上は非常に簡素な楽器です。しかしその音の変化の幅はおそらく楽器の中でも最も大きいと言えるのではないでしょうか。現代音楽の黛敏郎は、パリでセゴヴィアの演奏に接した時、ギターの音があのように千変万化するなどとは考えてもいなかった、という意味のコメントを残しています。また同じくセゴヴィアの演奏に接したストラヴィンスキーは、(あの豊かな音は)どこから聴こえてくるのだろう、という感想を漏らしたとされています。

セゴヴィアはこの千変万化する音を自由自在に操り、彼の演奏におけるアイディアを活かし、また選曲の絶妙さと類い稀な音楽性を発揮した優れた演奏を多数残しています。CDの時代になって体系的に編集がなされたアルバムも発表されていますが、残念ながらとぎれとぎれになったりしていて最良の作品がいつでも入手できるという訳ではありません。レコード会社にはこの偉大な芸術を次代に残す責務を果たしてもらいたいと切に期待します。