https://www.google.com/amp/s/www.sankei.com/world/amp/201012/wor2010120010-a.html
バレット氏は敬虔なカトリック信者であることから、“中絶反対”のカトリックの教義に沿った舵取りが行われることを危惧する左派より警戒される存在でもある。
数年前には今回の公聴会の質問者の一人でもあった民主党のダイアン・ファインスタイン上院議員より「信教の自由」を侵害する発言を受けたこともある。
(ファインスタイン氏はかつて中国スパイとの繋がりが糾弾されたこともある人物である。https://www.google.com/amp/s/www.sankei.com/world/amp/180814/wor1808140005-a.html)
しかし、バレット氏は「自身の政治的・宗教的信条に依拠して司法判断を下すことはない」とあくまで中立の立場を貫く姿勢を示した。
どの宗教に於いても、神への信仰が深ければ深い程人は謙虚になり、人間が人間を裁くことに慎重になるものである。
今回の公聴会では、終始冷静かつ慎重に言葉を選びながら答弁するバレット氏に対する賞賛の声が止まず、これまで執拗な攻撃を加えてきたファインスタイン氏も観念したのか、最後は共和党のリンゼー・グラム上院議員に対し
「私がこれまでに参加した公聴会の中で最も素晴らしい公聴会だったわ。有難う」
と述べ、両者がハグを交わして終了した。
民主党から「裏切り者」とみなされる結果となったファインスタイン氏だが、非の打ち所がないバレット氏をこれ以上追求しても党の印象を下げるだけだと悟ったのかもしれない。
賢明な判断だったと思われる。
それ程公聴会でのバレット氏の存在感は凄まじかった。
質問者が書類を手に入場する一方で、バレット氏は白紙のメモパッドとペンを片手に着席。
四日間に渡って行われた公聴会では、常にバレット氏の背後で七人の子供達が父親と共に母親の姿を見守っていた。
七人の子供達のうちの二人はハイチから迎えた黒人の里子であり、末っ子はダウン症なのだそうだ。
この国で有色人種の子供を連れた白人夫婦の姿を見ることは珍しくない。
筆者も白人夫婦の元で立派に育てられたアジア人男性の結婚式に参列したことがあるが、それはそれは感動的であった。
早くから母親と離ればなれになった子供は甘えん坊になる傾向があると耳にしたことがあるが、3歳児程の大きな黒人の女の子を雨の日も雪の日も抱きかかえて歩く白人の母親を目にしたこともある。
筆者の親戚のシスターが以前ハイチのストリートチルドレンを支援する施設で活動をしていたこともあり、その辺りの現状も伝え聞いている。
バレット氏は判事として中立の立場を示す一方で、カトリック信者の母親としての姿をアメリカ全土、世界中の人々に見せたのである。
「中絶は女性の権利である」との主張がある一方で、中絶後に不妊や乳癌を発症するケースや精神疾患を誘発し自死に至るケースも報告されている。
乳児の年間の母乳摂取量の平均は一日あたり316g〜780gといわれ、完全母乳の母親は年間トータルで最大284700g近くの母乳を排出することになる。
https://unit.aist.go.jp/riss/crm/exposurefactors/documents/factor/other_intake/intake_mothermilk.pdf
中絶と乳癌の関連性を否定する意見もあるが、女性の体は産後授乳の刺激によって分泌されるホルモンの働きで子宮の収縮が促されることから子宮と乳房が繋がっていることは明らかであり、関連性は否定しきれないと考える。
こうした具体的リスクを教育の現場で伝えていく必要もあるのではないだろうか。
女性個人の身体に関することに政治が介入すべきでないとの意見もあるが、これは医療に関わる問題でもあり、男女・個人間の意識のギャップを埋め社会に於ける倫理観を形成する意味でも、母体保護の観点も含め活発な議論が行われることは決して無意味なことではないと考える。
今後産む/産まないの判断を迫られた女性の中に、バレット氏の姿に勇気づけられ産むことを選択する女性が出てくるかもしれない。
バレットファミリーの様な家庭で幸せに成長する孤児だって増えるかもしれない。
知性、品格、慈愛、思慮深さ、神々しさを湛えたバレット氏がギンズバーグ氏同様今後若い女性達のロールモデルになることは間違いないだろう。
バレット夫妻は全人類の模範的存在といっても過言ではないと筆者は考える。