日当たりのいい2階のベランダで養生中のパンジー苗「モルフォ」に水をやろうとしたら花の上で一匹のシジミチョウが日向ぼっこしていた。
写真を撮るため慌ててiphoneを取りに行って戻ってきても同じ場所でじっとしている。
さてはこの冬の寒さで息も絶え絶えかと思いきや、iphoneを近づけるとパッと意外にも俊敏に舞い立った。
そのままどこかに飛び去るのかと見ていると、またモルフォに戻ってきてじっとしている。
どうやら吸蜜を兼ねたサンルームとして居心地の良さを見出しているように見える。
羽の模様などを手掛かりにネットで調べてみると、どうやら「ウラナミシジミ」というシジミチョウの仲間であるらしい。
説明では「暖地を除いては越冬することができず、冬の訪れとともに死に絶えてしまう」とある一方で、別の記述には「房総半島南端などの暖地だけで越冬できる」と書かれている。
つまり「暖地なら越冬できる」らしいのだが、房総半島南端に近いと言えば近いが、鎌倉が果たして暖地と言えるのか…
ともあれ、例年になく寒い冬がやって来ていることは間違いないとは言え、越冬も不可能ではないらしい。
しかし、生き延びる確率はどのくらいあるのだろう。
まっ、ここまでは後付けの知恵だが、最初に見かけた時は水やりすればウラナミシジミを追い立ててしまうことになりかねないと思い、止めておいた。
束の間であろうとサンルームでくつろぐのを邪魔する気にはなれなかったのだ。
村上鬼城の「冬蜂の死にどころなく歩きけり」という俳句を思い出したせいでもある。
実はこの句、高校の現代国語の教科書に載っていて、ボクが俳句に興味を魅かれるきっかけとなった句なのだ。
パンジーにつけられた名前の「モルフォ」はアメリカ大陸原産の大きくてきれいな青いチョウの名にちなんで、作出した日本の種苗メーカーが名付けた名前である。
いわばチョウの上にちっちゃなチョウが羽を休めている図ってことになる。
そういうことも何かの縁なのだ。
それにしても、自然界を見渡して見れば冬の寒さの中でも活発に動き回れる生き物ってのは限られている。
それだけ生き物にとって冬の寒さは大敵なのだということが分かる。
ボクも寒いのは苦手。
今年は「冬・寒」と「春」を隔てる「節分」が例年より1日早い2月2日だということを聞くと、たった1日だけど季節の分かれ目が早くやって来るのが嬉しくて胸の辺りがほっこりしてくる。
「春よ来い ♪」のミヨちゃんの心境なのだ。
寒中の日を浴びてモルフォの上に羽を休めるウラナミシジミ