平方録

杉山愛のサーブを受け止めたぞ!

今日は立春である。
今冬は師走に入ってすぐに寒さがやってきたから、2カ月以上も冷蔵庫の中で暮らしてきた身には、待ちに待った立春といえる。
初めて春の兆しが現れ始めるころ、というのが立春である。
春の兆しはところどころに垣間見られるようになってきているが、寒の戻りというのも現実である。

第一、関東南岸で雪が降るのは立春を過ぎてからのことが多い。
高浜虚子の「鎌倉を驚かせたる余寒かな」の季語「余寒」は春の季語である。
発達した南岸低気圧が関東の沿岸を通過して雨を降らすとき、北の高気圧がもたらす寒さが強ければ雪となって舞い降りる。

南岸低気圧のことを一昔前まで「台湾坊主」と呼んでいた。
この言葉には「乱暴である」「迷惑である」というありがたくないニュアンスがこめられていたように思えるが、言い得て妙なネーミングだったように感じるのだが…

そんな招かざる客、みたいな名前に反応したのが台湾の人々で、「何とかならないか」とぼやいたようだ。
誰が愚痴ったのかは知らない。どういう場所でどういう相手を前にして言ったのかも知らないが、日本側は日台友好が大事と考えたんだろうね。
気持ちは分からないわけではないが、仲良しだと思っている日本人からマイナスイメージで呼ばれるのが嫌だったんだろう。
確かに、坊主と言う単語一つとっても“乞食坊主”だったり“生臭坊主”だったり、イメージはよろしくない。

一夜にして雪が積もり、通勤・通学の電車がストップしたりして交通が大混乱する有様を見て「ああ、台湾坊主の仕業か、しょうがねぇなぁ」と納得していた日本人が多かったんである。
その、味もそっけもなくなってしまった南岸低気圧さまが明日5日にやってくるらしい。暦通りのご挨拶のようである。律儀なことだ。

さて、節分。
鎌倉市内の神社仏閣のいくつかで豆まきが盛大に行われた。
豆まきにわざわざ足を運ぶのは生まれて初めての体験である。
ま、ワルぶって見せたり、善男を気取ったり、自分でも忙しいことだと思うが、他にさしてやることもないのだから機会があれば顔を出してみる。野次馬根性そのものである。そういう仕事を40数年続けてきたんだから、習い性ってやつである。

前日通った人気のないアップダウンの尾根道を一気に辿って長谷寺へ。40分かけて着くころには汗でじっとりしてきて、胸のポケットに入れておいたスマートフォンも汗をたっぷりかいたくらいである。良い運動になった。

びっくりしたことに、檀家の年男年女も混じっていると見えて、豆の撒き手は50人近くがひな壇に並んだ。
名前の知れたところでは元朝潮太郎の高砂親方、テニスの杉山愛、お天気キャスターの森田何某…
かたや善男善女は年寄りばかりかと思いきや、赤ん坊を抱いた若いお母さんやら鞄を手にネクタイをきちんと締めた若いサラリーマンやら、どこから湧いてきたのか若い人たちも目立つ。あぁ、日本は大丈夫なんだろうね。

さてさて、初めての豆撒きで新たな認識を得た。
「正面に飛んでくる豆の袋は取りにくい」
正面に飛んで来ると思わず顔をそらすんである。その一瞬の隙に豆の袋の軌道と受け止めようとする手のひらの位置関係がずれるのである。獲れっこない。
しかし、左側1メートル程度を飛行する豆の袋は、恰好の餌食である。なにせ、子どものころ良く遊んだキャッチボールでグローブをはめるのは左手である。物体の飛行曲線と物体を捉えんとするグローブの位置をピタリと合わせるセンサーが自動的に働くのである。
これは右側1メートルを飛ぶ飛行物体が取れないことからも照明される。如何に自動センサーの働きが優れていることか。
学術論文をものすことができるかもしれない。

ということで、開始早々に左側1メートルを飛行する豆の袋を難なくキャッチした後も、この領空を飛行する物体をあっという間に2機撃墜、じゃあなくて、首尾よくキャッチして、豆屋を開くわけでもないから遠慮して後方に下がって見物に回ったんである。なにせ欲張らない善男であるから…

最初にキャッチした豆は、注目していた杉山愛ちゃんが放った鋭いサービスである。人垣の後方を目掛けて飛んできたサービスをはっしと受け止めたんである。吸い込まれるように手のひらに収まったんである。愛ちゃん、ありがとう。




長谷寺の豆まき風景


杉山愛ちゃん


朝潮太郎の高砂親方


手に入れた福豆3つ。金平糖も入っていた。
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