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平方録

月面着陸に成功した日だ 今日は

今日7月20日は人類が初めて月面に到達し、月の大地に降り立ってその最初の第1歩を刻んだ日である。
1969年のことで、ボクもテレビ中継に見入った口である。
その画面には特別な宇宙服に身を包んだ飛行士が映し出され、動きがとてもスローモーで、なるほど空気のない宇宙では人の動きはかくもゆったりとしか動かせないのかと妙に感心した覚えがある。
言葉を変えれば現実感に乏しく、本当にこの画面は月面からの中継画像なのかと眉に唾したいくらいだった。

そして特に衝撃的で、印象に残っているのが月面に立つ宇宙飛行士の背後に浮かんだ半月のような地球の姿だった。
真っ暗な背景にぽっかりと浮かぶ半円級の「地球」は水色で、そこには白い雲も映っていた。
ボクらが地球から月を眺める時は単に白色や黄色みを帯びた‶明るいお盆〟かナントカ石鹸の顔のようなものが夜空に浮かんでいるのを見るだけだが、自分達の暮らす天体を別の天体から客観的に眺めることができるとは…
そのことにものすごく興奮し、感激もしたものだった。

しかも、1961年に人類初の宇宙飛行に成功したソ連のユーリー・ガガーリンが「地球は青かった」とい名セリフを残していたのを覚えていて、なるほどガガーリンの言っていたことは嘘じゃなかったと、心底ガガーリンに共感するとともに、何よりも宇宙の暗闇に浮かぶ青い地球の美しいことにびっくりさせられたものだ。
あの月面着陸の偉業は月に降り立ったということもさることながら、人類が暮らす地球という星の美しさを初めて客観的に認識することができたという点で、一層意義深いことだと今でも思っている。

この月面着陸に成功したアポロ11号には3人の宇宙飛行士が乗り組み、月面に降り立ったのはニール・アームストロング船長とエドウィン・オルドリン飛行士の2人だが、この時最初に月面に降り立ったアームストロング船長が発した言葉は有名で、今もガガーリンの言葉とともに記憶に残っている。
「これは1人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な飛躍である」
まぁ、平凡と言えば平凡で、緊張しっ放しだったであろうガガーリンの直感的な感想と比べても、地球であらかじめ練りに練って行った言葉だということが分かるが、こういう時には歴史的発言として残ってしまうものなのだ。

この日から13日後の8月2日、東京港晴海岸壁から某新聞社が主催した「洋上大学」船に乗り込み、アメリカ西海岸までを往復する37日間の船旅に出たのだった。
応募したきかっけは1年間、朝夕刊を配達すれば船上で学びながら渡米が実現し、参加費用は主催者が負担するという願ってもない条件だったのだ。
今と違って気軽に海外旅行に出かけられる時代ではなく、これより何年か前に作家の小田実がシベリヤ鉄道経由で欧州を放浪し「何でも見てやろう」という本を出していて、あこがれたが、そうおいそれと実行できるわけでもなかった。
そんな矢先に鼻先にニンジンがぶら下がったようなもので、すぐに応募して丸1年間新聞配達をしたのもいい思い出ではある。

アームストロング船長風に言わせてもらえば「今の若い人にとっては大したことではないだろうが、当時とすれば得難い経験をさせてもらい、その後につながる偉大な一歩だった」ということになるだろう。
蛇足ながら、この時の帰路の船にアポロ11号の一連の取材を終えた主催新聞社の特派員がサンフランシスコから乗り込んできて、ハワイまでのほぼ1週間、講師役を務めた。
聴講希望者が殺到し大いに盛り上がったが、講義の冒頭でいわく「取材を終えた後まっすぐ飛行機で帰国できると思っていたが、宇宙から戻った飛行士同様、隔離期間があるとは思いもしなかった」と冗談とも本音ともとれる口調で言ったのもよく覚えている。

この青く美しく輝く星が今、温暖化という悲鳴を上げて危機に瀕しているということをどう受け止めるかだ。


(見出し写真は仕事でワシントンに出かけた娘がスミソニアン博物館で土産に買ってきてくれた「アポロ11号月面初着陸の記念Tシャツ」 毎年7月20日にはこのTシャツを着ることにしている ♪)
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