坂ノ下海岸を過ぎて南に向かっていた国道が西に緩いカーブを描くと稲村ケ崎の切通に差し掛かる。
緩やかな上り坂になっていて、その頂上付近に来ると、いきなり真正面に富士山が見える。
そういう場所だが、昨日はどんよりと低く雲が垂れこめていたから、まさか富士山が見えるとは思わなかった…
意表を突かれた思いだった。
驚いたのは見えないと思っていたものが目の前に現れたこと。しかも、思いもよらなかったことに、その姿は麓付近まで真っ白な雪化粧に覆われていたことだった。
一夜にして夏姿の青い富士山が真冬の真っ白な富士山に変身している…
そして、その白い衣装がどういうわけか光に照らされてでもいるかのように、白く輝いてもいる。
きっと箱根連山の向こうの駿河の国は雲が薄いか晴れ間が出ているのかもしれない。
そう思いたくなるような見え方、白く積もった雪の映え方だった。
それにしても…! の一夜の大変身。
例年10月になれば雪化粧した富士山が現れるが、どんよりした曇り空に現れた真冬並みの雪化粧の富士山ってのはこれまで見たことがない。
先一昨日の日曜日はパトロールに出て夏富士を見ていたし、一昨日は曇っていたが富士山は見えていた、夏姿のままで。
まさか今回積もった雪が根雪になるとも思えないが、今シーズンの気候は先が見通せない。
このまま、この姿が続く可能性だって、無いとは言えないだろう。
それくらい今年は寒い。
現に今朝4時過ぎのわが家の室内温度は16.8℃。
ジッとしていると、そこそこに寒さが忍び寄ってくるが、やせ我慢してガスストーブは押し入れの中にしまったままだ。
室温が14℃を下回ったら使おうと思っている。
それと「いくらなんでもまだ10月じゃん」という気持ちが、ストーブを使うことにブレーキをかけている。
昨日は木枯らし1号になるかと思っていたら8m以上の北風は吹かず、東京でも条件は満たさなかったらしく、アナウンスは無かった。
今日は晴れ間がのぞくらしい。
イソップ童話じゃないが、やっぱり北風よりは太陽だ。
気温が低くたって太陽さえ顔をのぞかせていれば気分が違う。
もっとも絵画的、写真的には雪化粧した富士山の方が絵になるけれど…

稲村ケ崎から

白い山肌がスポットライトでも充てられているかのように、やけに目立つ


それにしても裾野付近まで見事に雪化粧したものだ

江ノ島へ渡る人道橋・弁天橋上から



