大寒の昨日、大寒だと知って近くまで行ったついでに北鎌倉の円覚寺に寄ってみた。
例年とは違う今冬の寒さにうんざりしていることもあって、佐保姫様の足跡とか後姿でもいいからチラッと見えないかと思ったのだ。
2年前までは毎週定期的に坐禅に通っていて、寒中に「春の息吹」を見つけては密かに喜んでいたのを思い出したのである。
そんなささやかな楽しみまでコロ公に奪われてなるものか。
そんな気持ちも心の片隅にあった。
いくら寒い冬だとはいえ、佐保姫様は忘れたりためらったりすることなく、ちゃんと来てくれていた♪
先ず見つけたのはフクジュソウ。
仏殿横に在家のための坐禅道場である居士林があって、そこの庭には毎年寒中にフクジュソウが数輪咲く。
見出し画像にあるようにまだ地中から顔をのぞかせたばかりで、花びらは完全には開いていないけれど、地際にはっきりと黄色い絵の具を一滴垂らしたように、陽の光を受けてそこだけが輝いている。
つい数時間前、いやっ、昨日か一昨日かもしれないが、硬い地面を突き抜けてようやく地上に顔を出したばかりに違いない。
すぐそばにはまだ黄色の絵の具も必要ないくらいの寝ぼけマナコの芽が2つ、仲良く並んで伸びをしている。
日当たりの良い庭の片隅で、大自然が変わらぬ足取りでいつもの小さな営みを繰り返してくれているのが嬉しい。
やぁ おはよう ♪
開きかけた花の右奥には生まれたばかりの花芽が
大きく開くまでにどれくらいの時間を必要とするのだろう
そしてもう一つの後ろ姿を求めて境内最深部の黄梅院へ。
この塔頭は余り日当たりが良くないのだが、それにもめげず、ミツマタとかロウバイとかヤブツバキなどが寒さに耐えて花を咲かせたり花芽を膨らませたりしている。
でもお目当ては一番の早起きの、雪国では雪中でも花が咲くマンサク。
行ってマンサクの木の前に立ってみると、残念ながら少し早かったようで、まだ黄色い細紐を何本もぶら下げたような独特の花は見られなくてちょっとがっかりする。
しかし、何か小さな変化でも現れてやしないかと目を凝らして見ると…
かすかだけれど、枝先の花芽が少しほころびて黄色い色がのぞいているのを見つけて、思わず「…おおっ♪」と心の中で大喝采を叫ぶ。
何しろ小さな花芽だから、目を凝らさなければここに黄色の絵の具が垂れているなんてことは分からないだろう
それくらいの、誠にかすかな印なのだけれど、気が付いてみれば青い空と実に良く調和して、「やぁ ♪」と親しみを込めて声を掛けたくなる
他の枝にも目をやると…
枯れ葉がしがみついた間から、もう少しお兄ちゃんたちが集まっているところがあった
あずき色をしたウメのような花が中心部に写っていて、ご丁寧に白っぽくオシベのようなものまで写っている
そしてそのウメのような花を囲むように黄色の細紐のようなものが、巻物を解くようにくるくる巻いた花びらを伸ばし始めていた♪
前の写真の花芽が産声を上げる赤ん坊だとすれば、こちらはだいぶ成長して幼稚園に通うようになった辺りだろうか
マンサクの春が始まった♪
かくして、大寒のその日、探しに出かけた佐保姫様はあちこちにその後ろ姿をのぞかせてくれ、次の角を曲がればもう背中に手が届くところまで来ているようである。
後ろ姿をこれほどあちこちで見られるのだから、足音や衣擦れの音が聞こえるようになるまで、あとほんの少しだろう。
そうなれば正面に回ってご尊顔を拝しつつ「ごきげんよう お待ちしておりました」とご挨拶しなければ ♪