平方録

江の島道

今年に入って悪天候で2度も中止になったゴルフをしてきた。
7か月ぶりのゴルフということになる。
午後は雨、という予報のとおりになったが、降り出したのは18番の最終ホールだったため、若干助かった。
しかし、ホール途中でポツポツし始めたなと思う間もなく、いきなり篠突く雨に変わり、あれよあれよという間に5、60メートル先さえ霞んで見にくくなるほどの豪雨に見舞われた。
グリーンの上はみるみる水浸しになり、ボールはまるで転がらない。
ひどい降り方があったものである。

NHKスペシャルで赤道上に現れる活発な雲の活動が、地球規模の気象変動の引き金を引いているという話を放送していた。
「マッデン・ジュリアン振動」と呼ばれているんだそうだが、雲の塊は赤道上を40日間で一周し、時には巨大台風を作り出したり、エルニーヨ現象を呼び起こす役割を担っているんだそうな。

19番ホールへ移動して相模湾の魚をつまみに痛飲してきたが、帰り道、今度はバス停を降りてわずか100メートルくらいしか離れていない我が家にたどり着くまでの間に、傘を差してはいたが道路がまるで川のようになるくらいの猛烈な降り方で、下半身はずぶ濡れになってしまった。
何という極端な降り方だろう。あきれるほどである。
ジュリアンめ!

さて、土曜日の「“緑の衝立”縦走」の続き。
焼き肉屋での豪勢な昼食の後、さらに3キロほどの道のりを歩いて帰ったのだが、途中で「従是江のし○」と書かれた石造りの標識に目がとまる。
○の部分の文字は漢字なのだが「道」なのか「満」とも読めて判然としない。
ここを通る時にいつも気になっていたのだが、ちょうど大きな屋敷の角に建っていて、生垣沿いの下草を取っているおばあちゃんに聞いてみた。
すると、そこの大きな屋敷のおばあちゃんらしく「よく気付いてくれました」と言わんばかりに丁寧な説明で、「この道を進むと道路は三つ又に分かれているから、右端の坂道を登っていくとモノレールの下のバス通りと梶原の住宅地から降りてくる道に合流します。道はそこで途切れてしまうけど、昔の江の島道なんですよ」と教えてくれた。

谷戸沿いに住宅がへばりついたようなところの三叉路を抜けると、急に家がなくなり、道はカーブを描きながら木立の中に消えている。
おばあちゃんの言う通りに坂道を登っていくと、ますます木々が生い茂り、道はトンネル状態の中を登って続いている。
登りきったところで突如視界が開け、なるほど、モノレールの線路とバス通りが真下に見える。
昔の面影をそのまま残す道が、こんなところにも残っているのかと少々びっくりする思いである。
鎌倉では7つの切通しのいくつかや古い寺は境内そのものが昔からの変わらぬ佇まいを今に伝えているから、特段驚くほどでもないのだが、地形というものは案外そのまま残されているものなのだ、ということを実感させられた。

江の島道は2本あって、1本は東海道藤沢宿から境川沿いに江の島までたどる道。
この道は知っているが、住宅に囲まれたごくありふれた生活道路に変わってしまっていて、往時を偲ばせる風景はほとんど残っていないのではないか。
もう1本が鎌倉街道の小袋谷から分かれて江の島へ向かう、まさにこの道なのである。途中は消えてしまっているが、「鎖大師」の青蓮寺付近を経て江の島へと続いている。

江戸時代に江の島へ遊山に訪れる人びとが通ったであろう道が、現代にもこうして一部であっても昔の面影を伝えつつ続いているという現実。
「道」というものの持つ不思議な魅力の一端に立ち止まって、はるか延々と続く道筋を眺める思いがするのである。




「従是江のし○」





住宅が途切れる辺りから道は緑の中に消えてゆく


“緑のトンネル”を抜けると眺望が広がり、道は途絶える
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