鎌倉市内はもちろん、東京や横浜でも看板やメニューにわざわざ「鎌倉野菜」と目立つように書いて、売り物にしているレストランや居酒屋が随分とある。
聖護院ダイコンや京ニンジンなどで知られる「京野菜」というのもよく耳にする。
立派なブランドなんである。
おでんにすると美味しい「三浦大根」や春の味が格別の「三浦キャベツ」などが三浦半島で栽培されているが、ひとくくりにして「三浦野菜」とはいわないようである。
こちらは単品でのブランド化ということか。
ブランド化してしまえば消費者はありがたがる。同じトマトだって「鎌倉」とついた方が売れるし、美味しく感じられると思い込んでいる。ブランドによる“魔力”のようなものだろう。日本人はこういう“魔力”に簡単に引っ掛かる性癖を持った国民である。一斉にありがたがり、一斉に飛びつく。
この即売所は通称「レンバイ」という。レンバイでは市内の農家がたくさん出て、小さな販売スペースで自分のところで採れた自慢の野菜を売っている。
似たような野菜が並ぶのだが、ここの特徴として、普通のスーパーなどで決してお目にかかれないような珍しい野菜も随時お目にかかれる。
だからイタリアンやフランス料理のシェフたちが、朝早くからわざわざ買い出しに来るのだ。
常に30種類くらいの野菜が並んでいるようである。買うつもりがなくても、色や形を眺めるだけでも楽しい。
鎌倉野菜といっても、市境の横浜市の農家も店を出している。横浜市戸塚区××と所在地と名前を掲げているが、所在地の次にカッコ書きで(旧鎌倉郡)と書いてあるから現金なものである。旧郡の名前を持ち出すこともなかろう、と思うのだが、レンバイに持ち込んだ方が売れるのだと思う。涙ぐましいのである。
鎌倉郡は境川以東の柏尾川流域が郡域で横浜市戸塚区、泉区、栄区、瀬谷区と港南区の一部、藤沢市の一部も含まれていた。
レンバイは昭和3年から存在するというから、それなりの歴史を刻んでいる。しかし、大正5年から8年に掛けて鎌倉に下宿していた芥川龍之介は存在を知らない。作品に残ったかもしれないのだから、惜しい気がする。
わが家からそう遠くないところに広がる畑が鎌倉野菜の産地である。確かにいろいろな種類の野菜が栽培されていて、散歩道の一つである。春先には野蒜が自生しているので抜いてきて味噌をつけて酒の肴にするのが楽しみである。
食べ過ぎて下痢してしまったことがある。野生の植物は草食動物にたくさん食べられないように防御物質を備えているから注意が肝心なのだ。
上の写真の野菜はニンジンのようだ。春になると土手の斜面に野蒜が出てくる
最新の画像もっと見る
最近の「日記」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
人気記事